発送電分離や電力の自由化、またはソーラーパネルの性能向上や生産コストの値下がりなどで、売電価格が年を追うごとに安くなっています。いつまで値下がりが続くのか、今後、太陽光発電システムを導入するメリットはあるのか、調べてみました。

太陽光発電システムに未来はあるのか?

電力自由化の影響で売電価格が年々下がっていますが、そもそも、この価格はどのようにして決められているのでしょうか?売電価格は経済産業省内の資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)で決定されています。

この制度は、地球温暖化などにともない、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーを利用した発電を普及させるために設けられたものです。一般的な電気の価格よりも高い値段設定で契約後の一定期間(10年または20年)、固定で買い取ってもらえます。

具体的には、一般的な電力会社から電気を購入した場合には1kWあたり約18円~29円ほどですが、太陽光発電システムで発電した電気を売る価格は、1kWあたり約30円~33円ほどに設定されています。両者には1円~15円の開きがあります。

再生可能エネルギーを利用した発電を普及するための制度でありながら、どうして買取り価格が下がり続けているのでしょうか。その理由の一つにソーラーパネルを生産するためのコストダウンと発電効率(変換効率)の改善にあります。

コストが安くなり初期投資費が抑えられる分、買い取り価格の値が下がってゆく傾向が見られます。

しかし、いくら値下がりするといっても、正規電力の相場である1kWあたり約18円~29円以下になることはまずありません。ですから正規電力の相場に近付くにつれて買い取り価格の折れ線グラフもなだらかなカーブを描くようになってゆくと考えた方が妥当でしょう。

ただし売電価格は、契約を結んだ時点の価格で10年間(産業用で20年間)は変動しないことになっているので、年々下がり続けている状況下で、太陽光発電システムの設置を検討しているのであれば、できるだけ早く契約を結んだ方がお得です。

結論として、太陽光発電システムはこれからも需要が伸び続け、全電力発電量の多くの割合を占めるようになると予想されます。ましてや地球温暖化による異常気象などが頻繁に発生している昨今ではなおのこと、太陽光発電システムを導入するメリットが無くなることはありません。

発想を転換させて電力の自給自足というメリットについて考える

先ほど、ソーラーパネルの発電効率(変換効率)のアップと生産コストのダウンが、電力買い取り価格の低下を招いているという話しをしましたが、どれだけ発電効率の高いソーラーパネルが誕生しても蓄電システムが発達しなければ意味がありません。

蓄電地の開発が再生可能エネルギーを利用した発電システムの未来をにぎっているといっても過言ではありません。最近では、実用に耐える高性能の蓄電システムが次々に開発されて登場しているので、近い将来、昼間に蓄電した電力を夜間はもちろん、雨天時などでも長時間にわたって利用できるようになるはずです。

発想を転換して、電力を販売することよりも、電力の自給自足を目的にして太陽光発電システムを導入するという考え方もあります。

特に、離島などで無尽蔵にある太陽エネルギーを利用して電力の自給自足ができるようになれば、これほど心強いものはありません。また、電力の自由化によって売電価格が低下しているという現状にあって、自宅だけで使用するための発電であれば、売電価格を気にする必要がありません。

大規模な太陽光発電システム(産業用太陽光発電・メガソーラー)の場合はどうだろうか

家庭用向けの太陽光発電システムについて述べてきましたが、産業用太陽光発電・メガソーラーのような大規模な太陽光発電システムの場合ではどうなのでしょうか。

現在、大小含めてさまざまな企業が太陽光発電システム(産業用太陽光発電・メガソーラー)を運営していますが、運営をはじめて撤退した企業はありません。また毎年新規に事業を始める企業が登場しており、その発電量は日本全国で原子炉30基分相当にのぼるといわれています。

今後も電力の需要が飽和状態に達するまで、また蓄電システムの発展次第では、火力発電所や原子力発電所が淘汰されるまで伸び続けると予想されています。

具体的な課題としては、規模の大きい太陽光発電システムの場合は土地代が大きなネックになっています。言い換えれば土地代さえかからなければ十分採算はあうのですが、土地の賃貸料を差し引いて見積もる必要があります。

さらには、毎年かかる固定資産税とメンテナンス費用も考慮しなくてはいけません。

北海道のような広大で格安な賃貸料の土地を利用するのであれば、採算はあいますが、都市近郊の土地単価の高いエリアでは事業運営が厳しいというのが現実です。

事業を始める場合は、できるだけ自分が所有する土地で行うか、地方の賃貸料の安い土地を利用するように工夫する必要があります。

ただし、一番の課題は各地域にある電力会社との兼ね合いや連携の問題です。常時安定して電力を供給している原発や火力発電とちがって、太陽光発電システムの場合は天気の良い昼間に発電のピークを迎え、雨の日や夜には発電しません。

大量に電気を備蓄するシステムがない現状では、常時安定供給というわけにはゆきません。そのため、どうしても安定供給しやすい火力発電などの電気を優先する必要があり、余った太陽光発電システムで発電された電気は抑制されることになります。

大規模な太陽光発電システム(産業用太陽光発電・メガソーラー)をはじめる場合には、以上の点を充分検討し、地域の電力会社との連携なども考慮したうえで見積もりを立てる必要があります。