太陽光発電の仕組みと世界・日本の普及率、企業が再エネを導入するメリットと事例を解説

太陽光発電の仕組みと世界・日本の普及率、企業が再エネを導入するメリットと事例を解説

太陽光発電は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する技術です。

環境に優しい再生可能エネルギーであり、カーボンニュートラル実現に向けて企業での導入も進んでいます。

この記事では、太陽光発電の仕組みと基礎知識をわかりやすく説明していきます。

太陽光発電とは

太陽光発電とは、太陽の光エネルギーを電気に変換する技術です。

半永久的に枯渇することないエネルギーであり、発電時に地球温暖化に影響を与える温室効果ガスを発生しないことから、火力発電に変わる発電方法としてさらなる普及が見込まれています。

太陽光発電の仕組み

(出典:京セラ)

太陽光発電は、太陽光を直接電力へと変換するため、多数の太陽電池が連なったソーラーパネルを使用しています。

太陽電池の重要な構成要素は、光電効果を利用して電気を発生させるための「n型半導体」と「p型半導体」です。

n型半導体には自由電子が豊富にありますが、p型半導体には自由電子はなく、電子を受け入れる「正孔(ホール)」があります。

太陽光のエネルギーがこれら半導体に影響を与えると、電子と正孔(ホール)が互いに引き合い、この動きが電流として取り出されるのです。

ただし、これはシリコン系が主流の太陽電池技術に限ります。

発電効率やコスト、耐久性などに応じてさまざまな種類のパネルが開発されています。

発電効率の目安 特徴
結晶シリコン太陽電池 13~20% 現在主流の太陽電池で、さまざまな形状がある。
薄膜シリコン太陽光パネル 7~10% 薄型で軽量
CIGS系太陽光パネル 8~12% 高温になっても出力低下が少なく、デザイン性が高い。

太陽光発電の種類

太陽光発電は規模や使用用途によって、以下のように分類されます。

  • 産業用太陽光発電
  • 住宅用太陽光発電
  • メガソーラー
  • 自家消費型太陽光発電

詳しく見ていきましょう。

産業用太陽光発電

発電規模が10kWを超える太陽光発電を産業用太陽光発電といいます。

産業用太陽光発電には、余剰買取と全量買取の2種類があります。

余剰売電 全量売電
容量 10~50kW未満 50kW以上
FIT期間 20年
条件 発電した電気を自家消費し、
余った電力を固定価格で電力会社に売却

買取対象は発電した電気の50%まで
発電した電力を一切自家消費せず、
固定価格で電力会社に売却

250kW以上は入札制

全量買取型太陽光発電とは、発電した電力を一切自家消費せず、固定価格で電力会社へ20年間売却するシステムです。

太陽光発電をビジネスとして捉え、大規模な産業用施設などにおいて、幅広い規模での展開が見られています。

一方、余剰買取型太陽光発電とは、太陽光発電で生産された電力のうち、社内の工場やオフィスで使用する分を差し引いた後の余剰分を売電する方法です。

太陽光発電から得られる電力で自家消費をまかなうため電気代が削減できるのに加え、余剰電力は売電することで収入も得られます。

エネルギー自立や環境負荷低減といった社会的責任を果たす企業活動として、その価値が見直されているのです。

電池アレイ 太陽電池は、複数の太陽電池モジュールを直並列接続して、架台に機械的、電気的に固定したもの。
太陽電池モジュール(PV) 太陽光モジュールとは、太陽の光を受けて直流電力を発生する装置です。
太陽電池架台 太陽電池モジュールを適切な角度で固定するための支持構造。多くの場合、鉄やアルミニウム製。
接続箱 太陽電池モジュールを直列に接続するときに必要なボックス。このボックスは、配線を一本にまとめ、また点検や保守の際も使われる。
パワーコンディショナー(PCS)

分電盤

太陽電池モジュールの直流電力を最適化して交流電力に変換する装置。商用電力系統に連系する際には、保護装置が必要である。自立運転機能があれば、停電時にも一部の負荷に電力を供給できる。
分電盤 建物内では、分電盤やブレーカーなどの機器が、電力を必要な分だけ各部屋や機器に分配する。
買電用受変電設備 商用電力系統(6.6kVなど)から電力を供給されると、この設備は低圧の動力電源(3相3線200V)や電灯電源(単相3線200/100V)に変換することができる。
買電用積算電力量計 電力量計は、電力会社が電気の使用量(需要電力量)を把握するために設置された機器。
売電用積算電力量計 商用電力系統に太陽電池で作った電力を売る時には、売った電力の量を計る電力量計が必要。この電力量計は需要者が自分で購入する。売電の契約によって機器が違う場合があるので、注意しなければならない。
PAS この開閉器は、電力の供給や停止を制御する役割を持つ。

住宅用太陽光発電

(出典:京セラ)

家庭の屋根にパネルを設置し、太陽光発電を行うのが住宅用太陽光発電システムです。容量は10kW未満となっており、余剰売電の対象となっています。

家庭に太陽光発電システムを導入する1番のメリットは、電気代を削減できることです。

近年の燃料費高騰によって、大手電力会社を始めとする電力会社各社で電気代の値上げが相次いでいます。自家発電した電気を使えれば、電気料金を気にすることもありません。

また、余剰電力は売電することができるので、売電収入も得られます。

「夜間にも太陽光発電した電気を使いたい。」「災害時の長期停電にも備えたい。」という方には、蓄電池も一緒に導入するのがおすすめです。昼間発電した電気を夜間や停電時に使用できるので、自家消費を効率よく行えます。

太陽電池モジュール 太陽光モジュールは、太陽の光を受けて直流電力を発生する装置。
アレイ 太陽電池は、複数の太陽電池モジュールを直並列接続して、架台に機械的、電気的に固定したものである。
接続箱 太陽電池モジュールを直列に接続するときに必要なボックス。このボックスは、配線を一本にまとめ、また点検や保守の際も使われる。
パワーコンディショナー
(パワコン)
太陽電池モジュールの直流電力を最適化して交流電力に変換する装置。商用電力系統に連系する際には、保護装置が必要である。自立運転機能があれば、停電時にも一部の負荷に電力を供給できる。
分電盤 建物内では、分電盤やブレーカーなどの機器が、電力を必要な分だけ各部屋や機器に分配する。
電力量計 電力会社との取引において、売買した電力の量を測定する装置。
蓄電池 電気の貯蓄装置。
太陽光発電システムで昼間に発電した電気をこの装置に貯めておき、夜間に自分で消費できる。また、夜間に貯めた電気を昼間に使うことで、ピーク時の電力需要を抑えられる。
発電量モニタ 電力消費や発電状況を示す機器。
電気の使用量が分かると節電につながる。

メガソーラー

大規模な太陽光発電設備であるメガソーラーは、その名の通り、メガワット級(1,000kW以上)の力を持つ発電施設です

一般的な家庭で用いられる太陽光発電システムと比較すると、その発電能力は圧倒的で、10kW未満のシステムが一般家庭に設置されるのに対して、メガソーラーは少なくとも100倍の規模を誇ります。

そのため、専用の広大な敷地が必要となり、例えばサッカー場約2面分、約2ヘクタールのスペースが一つの指標とされています。

メガソーラーの重要な役割は、地域社会にクリーンな電力を供給することです。

太陽光の豊かな地域に設置されることが多く、工場や事業所など産業界にとっての安定的な再生可能エネルギー源として位置付けられています。

太陽電池モジュール 太陽光モジュールは、太陽の光を受けて直流電力を発生する装置。
アレイ 太陽電池は、複数の太陽電池モジュールを直並列接続して、架台に機械的、電気的に固定したものである。
架台 太陽電池モジュールを適切な角度で固定するための支持構造。多くの場合、鉄やアルミニウム製である。
接続箱 太陽電池モジュールからのケーブルを一つにまとめ、発電した電気をパワーコンディショナに送り込みます。パワーコンディショナと一体になっているものもある。
パワーコンディショナ 太陽電池モジュールの直流電力を最適化して交流電力に変換する装置。商用電力系統に連系する際には、保護装置が必要である。自立運転機能があれば、停電時にも一部の負荷に電力を供給できる。
電力量計(売電メーター) 商用電力系統に太陽電池で作った電力を売る時には、売った電力の量を計る電力量計が必要。この電力量計は需要者が自分で購入する。売電の契約によって機器が違う場合があるので、注意しなければならない。
発電量モニター 電力消費や発電状況を示す機器。
電気の使用量が分かると節電につながる。
昇圧機 設置場所によっては、1系統の枚数の倍数にならない場合もある。その場合、余ったスペースに太陽光発電モジュールを設置しなければ発電効率が悪くなる。そこで、昇圧装置を使って、余った系統の電圧を他の系統と合わせることができる
(例:19枚乗る場合、4枚×4系統+3枚となるので、3枚の系統に昇圧装置をつける)
蓄電池 電気の貯蓄装置。
太陽光発電システムで昼間に発電した電気をこの装置にためておき、夜間に自分で消費できる。また、夜間にためた電気を昼間に使うことで、ピーク時の電力需要を抑えられる。

自家消費型太陽光発電

太陽光発電システムを自社で活用するにあたり、事業施設の屋根に設置する自家消費型太陽光発電は、その利便性から注目されています。

例えば工場の広大な屋根空間を活用することで、電気代の低減に寄与しつつ、環境保全への貢献も可能です。

最近では、企業がカーボンニュートラル実現を目指し、再生可能エネルギーを導入するための方法として取り入れられています。

初期費用ゼロで太陽光発電システムを設置できる「PPAモデル」を導入する企業も増えています。

PPAモデルとは、PPA事業者が需要家(電気を使う企業や自治体)の屋根や土地を借りて太陽光発電システムを設置し、発電した電気を需要家が使う仕組みです。需要家はPPA事業者に、電気の使用量に応じてサービス料金を支払います。

(出典:環境省)

PPAモデルには「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」があります。違いは次の通りです。

オンサイトPPA オフサイトPPA
設置場所 需要家の屋根・敷地 需要家の敷地外(遠隔地)
供給 PPA事業者→需要家 PPA事業者→一般送電網→需要家
初期費用 不要
維持管理費用 不要
サービス料金 必要(安め) 必要(高め)
発電量 設置場所によって限りがある 大規模発電所も設置できる
再エネ賦課金 なし あり
災害時の備え 非常用電源として使用できる 停電時には使用できない
電池アレイ 太陽電池は、複数の太陽電池モジュールを直並列接続して、架台に機械的、電気的に固定したものである。
太陽電池モジュール(PV) 太陽光モジュールは、太陽の光を受けて直流電力を発生する装置。
太陽電池架台 太陽電池モジュールを適切な角度で固定するための支持構造。多くの場合、鉄やアルミニウム製。
接続箱 太陽電池モジュールからのケーブルを一つにまとめ、発電した電気をパワーコンディショナに送り込みます。パワーコンディショナと一体になっているものもある。
パワーコンディショナー(PCS)
分電盤
太陽電池モジュールの直流電力を最適化して交流電力に変換する装置。商用電力系統に連系する際には、保護装置が必要である。自立運転機能があれば、停電時にも一部の負荷に電力を供給できる
分電盤 建物内では、分電盤やブレーカーなどの機器が、電力を必要な分だけ各部屋や機器に分配する。
自動制御システム 発電や蓄電、消費などを総合的に管理するための自動制御システムを搭載。
自動制御システムの機能はメーカーによって異なりますが、インターネットと接続したタイプの場合、気象情報などを取得し電力の需給バランスを算出する。

太陽光発電とFIT制度(固定価格買取制度)の関係

FIT制度(固定価格買取制度)とは、太陽光や風力などの再生可能エネルギー源から生み出される電気を電力企業が法定の価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。
この制度は発電者にとって収益の安定化を約束するとともに、再生可能エネルギーの普及を促進させるために制定されました。

もともとFIT制度は、世界各国における環境負荷の低減とエネルギーセキュリティの向上を目的に、ドイツ、イギリス、スペインなどの国々で採用されてきました。これらの国々では早期に導入されたことにより、再生可能エネルギー市場の迅速な拡大と技術開発の促進がみられ、着実な実績として成功を収めています。

(参考:なっとく!再生可能エネルギー

特に2023年度のFITの適用により、50kWを超える太陽光発電設備については、20年にわたり1kWh当たり9.5円(税抜き)で電力を売却可能です。

この長期間にわたる価格保証は、設備投資に関する不確実性を低減し、投資家に安定した収益の見込みを提供します。

同様に、10kW以上の設備に対しては20年間10円での買取が約束されており、さらに住宅用に設置された10kW以下の設備は、10年間12円(税込)での買取が行われています。

(参考:資源エネルギー庁

太陽光発電によって生産された電力は送配電事業者によって買い取られた後、供給網を通じて電力市場に流通します。

売電価格(FIT価格)の推移

売電価格は年々低下し、2023年の産業用太陽光発電の売電価格は9.5〜10円/kWh、住宅用太陽光発電の売電価格は16円/kWhです。FIT制度開始時の2012年には、産業用太陽光発電の売電価格は40円/kWh、住宅用太陽光発電の売電価格は42円/kWhでしたので、比較するとかなり安くなっています。

売電価格低下の原因には以下のようなものがあります。

  • 太陽光発電設備費用の値下がり
  • 再エネ賦課金の負担軽減
  • 再エネ発電設備の増加

昔は太陽光発電設備の設置費用が高かったため、高い売電価格でないと設置費用の元が取れませんでした。しかし、太陽光発電設備の需要増加で大量生産ができるようになったり、技術開発で発電効率があがったりしたおかげで、設置費用は安くなってきています。

そのため、売電価格が安くなっても、電気代の削減分や余剰電力の売電収入で、FIT期間内で元が取れる可能性が高いです。

また、FIT制度の買取費用は、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」として全ての方の電気代に上乗せされています。再生可能エネルギー発電設備の普及に伴い、この再エネ賦課金の負担は増加傾向にあるため、売電価格を下げることで負担を軽減しています。

太陽光発電のメリット

太陽光発電のメリットを以下に説明します。

  • 発電の過程で温室効果ガス(CO2)を発生しない
  • エネルギーが永久的に枯渇しない

それでは詳しく見ていきましょう。

発電の過程で温室効果ガス(CO2)を発生しない

太陽光発電は、太陽光をエネルギーに電気を発電します。

その最大の利点は、発電過程でのCO2排出量が非常に少ない点です。

例えば、1kWhを生成する際、太陽光発電の二酸化炭素排出量はわずか38gに留まります。

CO2排出量
太陽光発電 38g
火力発電(石炭) 943g
火力発電(石油) 738g
火力発電(LGN) 599g

(参考:電気事業連合会

火力発電のCO2排出量と比較すると、排出量が極めて少ないことがわかります。

エネルギーが永久的に枯渇しない

化石燃料を使用する電力生成と異なり、太陽光発電では燃料費がかからず、エネルギーが永久的に枯渇しません。

(出典:関西電力)

現在の確認されている埋蔵量と消費ペースで計算すると、石油は54年・石油は49年・石炭は139年で枯渇すると考えられています。次世代につなげるエネルギー源とは言えません。

比べて太陽光発電設備は、一度設置すれば太陽が輝く限り安価でクリーンなエネルギーを供給することができ、安定したエネルギー供給源となります。

そのため、太陽光発電システムは、持続可能な社会を目指す取り組みの中心に位置付けられています。

2021年、パンデミックからの回復途上にあった世界経済においてエネルギー需要が急増しました。

原油や天然ガスの価格が急騰し、多くの国々でエネルギー危機が顕在化しました。

日本も例外ではなく、燃料価格の高騰と寒波による電力供給のひっ迫が生じ、経済に及ぼす影響は非常に甚大でした。

このような国際情勢の変動に左右されるリスクを回避し、エネルギーセキュリティを強化する手段として、太陽光発電はその重要性を一層高めています。

1kWシステムの年間発電量が約1,000kWhとすると、その結果得られるCO₂削減効果は約399.5kgです。これは化石燃料を燃やした場合と比較すると、石油換算で約227リットルもの節約に匹敵します。

(出典:太陽光発電協会

太陽光発電のデメリット

太陽光発電のデメリットを以下に説明します。

  • 設置コストが高い
  • 発電量が天候で左右される
  • 夜間発電できないため発電効率が悪い

それでは詳しく見ていきましょう。

設置コストが高い

太陽光発電の設備投資は、初期費用が高額であることが欠点です。

以下のグラフは、産業用太陽光発電システムの設置費用の推移を表したものです。

資源エネルギー庁のデータによれば、2022年に設置された産業用太陽光発電システムの設置費用の平均は23.6万円/kWです。

設備容量が増えるほど1kW当たりの設置費用は安くなります。容量が50~250kWの設備では平均17.3万円/kWの費用がかかっているので 、もし100kWの太陽光パネルを設置する場合、単純計算では約1,730万円かかります。

発電量が天候で左右される

太陽光発電は、太陽光をエネルギーとして発電するため、太陽が出ていない時間や天気によって発電量が左右されてしまいます。

晴天時の発電量を100%とすると、

曇りの日の発電量は40〜60%、雨の日は10〜20%、そして夜間の発電量は0%となります。

また、太陽光パネルは熱に弱いという欠点もあり、気温が30℃を超える夏には発電量が低下することがあります。

とはいえ、基本的に太陽光発電の発電量は1年間を通して計算されるため、年間の発電量で見ると、年によっての発電量の差はほとんどありません。

夜間発電できないため発電効率が悪い

前述した通り、夜間は太陽の光を確保できないため発電量は0となります。

電気を使う時間が長い夜間に発電できないため、自家消費をするのであれば、蓄電池を設置して昼間に発電した電気を貯めておく必要があります。

世界・日本の太陽光発電の普及率推移

世界と日本の太陽光発電の普及率推移を以下に説明します。

世界の現状

世界の太陽光発電の導入事例

(引用:太陽光発電協会

太陽光発電の普及において世界の潮流を牽引するのは、中国です。

中国がこの分野で顕著な存在感を放つ要因は、技術革新よりも、量産体制の構築に力を入れる戦略を採用したことに由来しています。

中国は太陽光発電パネルの製造において大規模な設備投資を行い、低コストかつ高効率な製品を市場に供給することで、普及率を飛躍的に伸ばしてきました。

製造プロセスに精通した労働力と組織的なサプライチェーンの構築は、太陽光発電技術のコストダウンと性能の向上に寄与しています。

これは、再生可能エネルギーへの需要増大という国際的な潮流に呼応する形で、太陽光発電がエネルギーミックスにおける主要な選択肢となる土台を築いたと言えるでしょう。

日本の現状

太陽光発電の日本の普及率推移

(引用:太陽光発電協会

日本では2011年の福島第一原発事故を契機に、2012年再に生可能エネルギーの導入を促進するためのFIT制度が始まりました。

この制度の導入以降、住宅や企業、発電事業者における太陽光パネルの需要が飛躍的に拡大しました。

2011年、住宅用太陽光パネルの出荷量は1,000MWに達していましたが、産業用はまだ十分な量には至っていませんでした。

FIT制度の影響で、2012年に入ると、この数字は住宅用で約2,000MW、産業用でも1,000MWを超える勢いで伸びています。

さらに太陽光発電の普及に拍車をかけたのは、中国の太陽光パネル産業の躍進です。

中国の製造能力は急激に増強され、大量生産によって得られたコストダウンの恩恵は日本市場にも波及しました。

安価かつ効率的なパネルが供給されることで、太陽光発電システムの設置コストが低減し、より多くの消費者が太陽光発電を導入しやすい環境が整いました。

2013年には、この傾向が一層顕著になります。

太陽光パネルの出荷量は、住宅用だけではなく、商業施設や産業用途、さらには大規模発電プロジェクトを対象としたものまで含めて、前年度にも増して大きな数字を記録しました。特に産業用では出荷量が3,000MWを超えるなど、日本国内における太陽光発電の基盤が大きく育つ年となりました。

企業が太陽光発電の導入を進めるべき理由

企業が太陽光発電の導入を進めるべき理由を以下に説明します。

  • 節税対策として使える
  • 社会的評価を得られる
  • 電気代が削減できる
  • カーボンニュートラルの実現に貢献できる

それでは詳しく見ていきましょう。

節税対策として使える

太陽光発電設備を導入する法人企業には、税制上の優遇措置があります。

例えば、「中小企業経営強化税制」や「中小企業投資促進税制」などが該当します。これらの税制を利用した際のメリットは以下の通りです。

  • 設備費用を初年度に全額償却できる
  • 設備費用の10%または7%を税額控除できる
  • 対象施設の固定資産税が3年間半額になる

これらのメリットにより、太陽光発電の投資回収期間を短縮できます。

社会的評価を得られる

太陽光発電はCO2排出量を減らす有効な手段です。

しかし、この取り組みには大企業だけでなく、中小企業の協力も必要です。

なぜなら、多くの大企業が自社だけでなく「サプライチェーン」全体の環境負荷を低減することを目指しているからです。

このような背景のもと、中小企業にとってもCO2排出量を減らすことは避けられない課題となります。

この課題は早期に対策を講じる中小企業にとっては新規のビジネスチャンスにもなり得るでしょう。

電気代が削減できる

多額の電力費がかかるような製造業や大規模なビル経営において、太陽光発電で発電した電気を自社で使用すれば大幅に電気代を削減することができます。

空いた敷地や屋根などの活用していないスペースに太陽光パネルを設置することもできるため、新しく土地や設置場所などを購入する必要もありません。

カーボンニュートラルの実現に貢献できる

太陽光発電を活用することで、会社の事業によるCO2の排出量を抑制できます。

2050年カーボンニュートラル実現のために、SDGsやESGといった社会的責任の重要性が高まっており、ビジネスを通じて環境や社会に貢献できる企業が評価されています。

その一例として、世界の銀行や機関投資家がCO2排出量の多いビジネスから資金を引き揚げたり、新規投資を見送ったりする「ダイベスト」が注目されています。

自社のCO2排出量を削減することは、イメージアップだけでなく、経営上の利点にもつながると言えるでしょう。

まとめ

これからの産業用太陽光発電は、自社ビルや工場で電気を消費する「自家消費型」が主流になりつつあります。

制度が変わっても、太陽光発電の電気を生み出す機能には変わりがありません。

災害の多い日本において、国内のエネルギー自給率を高め、CO2を排出しない再生可能エネルギーである太陽光発電は、今後も一層期待され、脱炭素社会への実現に向けて重要な役割を担うでしょう。

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