太陽光パネルの寿命は何年?長く使えるパネルの選び方とメンテナンス方法

太陽光発電を始める上で、太陽光パネル(ソーラーパネル)選びは発電量を左右する重要なポイントです。

ただ、発電量が良いからという理由でソーラーパネルを選ぶと予算がオーバーしてしまったり、寿命が短く長期間の使用ができなくなったりすることもあります。

太陽光パネルの寿命は、経年劣化やメンテナンス不足が原因で、期待している寿命よりも早い段階で大幅に発電量が減ってしまったり、最悪の場合発電できなくなるケースがあります。

経年劣化が少なく長持ちする太陽光パネルを選ぶことと、定期的なメンテナンスが必要です。

ソーラーパネル(太陽光パネル)の寿命はどのくらい?

①法定耐用年数

ソーラーパネルの法定耐用年数は17年と定められています。
この17年という法定耐用年数は、「会社設備とした場合に減価償却を17年で計算してください」という基準の年数です。

「17年」の算出基準は、主に金属でできた電気設備であるというところにあり、実際のソーラーパネルの寿命とは関係のない計算によって算出されているのです。

そのため、17年しか使えないというわけではありません

②期待寿命

耐用年数ではなく、実際のソーラーパネルの寿命はメーカーが算出している期待寿命を参考にします。

パネルメーカーのデータによると、期待寿命は約20〜30年間です。

パネルの寿命が、パワーコンディショナーなどの太陽光発電設備と違って長いのは、可動する部分がないことが挙げられます。

寿命を超えてもなお発電中のソーラーパネルもある

①桑野邸太陽光発電

桑野邸太陽光発電

出典:エネゲート

ソーラーパネルの寿命を算出することが難しいとされている理由の1つは、実際に稼働している住宅用太陽光発電設備に30年を越えるものがほとんど存在しないからです。

現状稼働している最も古い住居用の太陽光発電は、「桑野太陽発電所」で1992年の7月31日に当時三洋電機(現パナソニック)の技術者であった桑野幸徳氏が自宅の屋根に設置したものとされています。

また、「桑野太陽発電所」は2017年に25周年を迎えた時点で、ソーラーパネルとパワーコンディショナーも故障せず稼働し続けています。したがって、現時点で住宅用ソーラーパネルの寿命は、少なくとも25年以上だと考えてよいでしょう。

②壷阪寺の太陽光発電

壷阪寺の太陽光発電

出典:シャープ

業務用の太陽光発電の中には、30年を越えて安定稼働を続けている実例があります。その1つが千葉の「佐倉ソーラーセンター」であり、もう1つが奈良にあるシャープの「壷阪寺」です。

これらの実例から考えると、メーカーの算出したソーラーパネルの寿命はかなり慎重なもので、適切な管理の下であれば30年以上安定稼働も可能だということがわかります。

パネルの寿命を左右する経年劣化率【種類による違い】

パネルの寿命は、パネル自体の経年劣化や、パネルの破損・故障により短くなってしまうケースがあります

ここではパネルの種類によって経年劣化率に違いがあるのかを説明していきます。パネルを選ぶときは、価格だけではなく経年劣化率も合わせて確認するようにしましょう。

①多結晶シリコン

多結晶シリコンは、5年で2.3~2.8%劣化

低コストで導入しやすく、人気がある多結晶シリコンですが、5年間で2.3〜2.8%劣化し、劣化による発電量の低下は97.7〜97.2%というデータがあります。

②単結晶シリコン

単結晶シリコンは、5年で3.2~3.9%劣化

単結晶シリコンは太陽電池に使われている材料の中でも、比較的発電効率が良いソーラーパネルとして評価されていますが、多結晶シリコンよりも導入コストがやや高いです。

発電効率を考えて長い目で見た場合、多結晶シリコンよりも単結晶シリコンの方が良いのでは?と思えますが、劣化速度は単結晶シリコンの方が早く、5年で3.2から3.9%の劣化が進み、96.8から96.1%ほど発電効率が低下します。

多結晶シリコンと比べると、1%近く劣化速度がはやいという結果になります。

③アモルフォス

アモルフォスは、5年で5.7%劣化

アモルファスの太陽電池は多結晶シリコンや単結晶シリコンと違い、規則性を持たない素材で作られているので発電効率は他の材料よりも劣りますが、本体の厚さを薄くすることや低コストで作れる点で優れています。

しかし、5年で5.7%劣化するため、他のパネルの種類と比較すると長寿命というわけではありません。また、発電効率も低い傾向にあるので、短期間かつ使い捨てに近い利用を考えるか、まず他の材料から選ぶことをおすすめします

④ヘテロ接合

ヘテロ接合は、5年で2.0%劣化

ヘテロ接合の太陽電池と言えば、パナソニックのHIT太陽電池が有名です。

ヘテロ接合の太陽電池は、発電効率が単結晶シリコンよりも良く、劣化速度も5年で2%程度なので、低劣化高発電効率のソーラーパネルと言えます。さらに、省資源で作ることができる点で優れています。

ただ、製造コストが高いためコスト重視の方にはネックで初期費用をなるべく抑えたいという方には不向きです。

⑤CIS

CISは、5年で1.5%劣化

CIS太陽電池はソーラーフロンティアの次世代ソーラーパネルの部品として人気です。

CISパネルは、出荷状態から最初の1~2年は太陽光を浴びると出力係数が上がるので、導入から2年程度は他の太陽電池と比べ発電効率の伸びが良いことが最大の特徴です。

そのため、5年後までの劣化率は1.5%と群を抜いて低いのですが、10年・15年と長期のシミュレーション結果とデータがないため、実際の経年劣化率は検証段階にあります。

パネルを長持ちさせるための方法

①定期的なメンテナンス

ソーラーパネルを長い間大切に使うためには、何よりも発電効率を下げないことが重要です。

パネル自体の経年劣化による発電効率は避けることができませんが、外的要因による経年劣化は定期的なメンテナンスで予防することができます。

資源エネルギー庁は、4年に一度の定期点検を推奨しています。定期点検はあくまで推奨で、一定の発電量を低下させないことと安全を考慮したものです。

点検にかかる費用は、1回につき1〜2万円とされていますが、メーカーによっては無償でメンテナンスをしてくれるメーカーもあるようです。

メンテナンスコストがかかるからという理由で自分で実施してしまうと、かえってパネルを破損させてしまう可能性もあるので、業者に任せるのがおすすめです。

②故障・不具合を早期発見できるように毎日モニターチェック

故障や不具合があることに長期間気づけなければ、当然発電量も売電収入も減ってしまいます。

産業用太陽光発電の場合、ご自宅から離れた地域に発電所を設置するケースも多いです。そのため、定期的に発電所に通ってパネルや設備に不備がないかを確認するのは難しいです。しかも、産業用太陽光発電は規模も大きく、1人でチェックするというわけにもいきません。

遠隔監視システムを利用する方法もありますが、コストがかかるので最初から導入すると初期費用がかさんでしまいます。

住宅用の太陽光発電設備は小規模ですが、屋根に設置するため屋根に登って確認するのはとても危険です。

住宅用・産業用ともに、毎日の発電量をモニターでチェックするだけで、コストもかけずに安全に不具合を発見にすることができます

③施工業者選びは慎重に

太陽光発電は長年使い続ける設備なので、信頼性の高いメーカーと施工店を選ぶのはとても重要なことです。

太陽光発電の設置を検討している方は、見積もりサイトを利用して施工会社を比較したり、クチコミサイトで評判を確認することは忘れずにやっておきましょう。

その中から、安心感や具体的な見積もり案を提出してもらえる施工会社を選ぶようにしてください。

納得できないのに妥協して購入を決めるのはおすすめしません!

まとめ

ソーラーパネルを設置する際には、単純に「安いから」と理由だけで選ばずに、経年劣化率を考えてパネルを選ぶようにしましょう。

コストがあまりにも安すぎると、期待寿命よりも早くに発電できなくなり、交換費用がかかってしまうケースも考えられます。

ソーラーパネルの寿命や種類による経年劣化率をよく理解した上で計画的に導入し、長く使えるように大切に扱いましょう。

(参考サイト:ソーラーパネルの寿命っていったい何年?|太陽光発電システムやソーラーパネルの設置・メンテナンスのLooop

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