産業用太陽光発電のメリット・デメリット【住宅用太陽光発電との大きな違いとは】

東日本大震災以降、再生可能エネルギーに対する注目と需要が高まっている2018年現在、太陽光発電の種類についてご存知でしょうか?

太陽光発電と聞くと、一般的に住宅の屋根に取り付けるタイプの発電方法がイメージされますが、実は産業用太陽光発電というタイプもあるのです。

「太陽光発電はどれも同じじゃないの?」、「産業用太陽光発電は事業として活用できるの?」など、産業用太陽光発電に対する疑問が生じた方に向けて、住宅用との違いや概要、メリットやデメリットについて解説していきますよ。

産業用太陽光発電について知りたい方、産業太陽光発電の導入を考えているが、メリット・デメリットについて理解してから検討したい方は特に参考にしてみてください。

産業用太陽光発電の概要と住宅用太陽光発電との違い

産業用太陽光発電のメリット・デメリットを知る前に、産業用太陽光発電の概要を住宅用太陽光発電との違いと共に解説していきます。

発電量や適用される制度など、様々な部分で住宅用太陽光発電と違うので、しっかり産業用太陽光発電の基本を押さえておきましょう。

産業用太陽光発電は1000kW以上の出力能力を持つ発電設備

太陽光発電システムは大きく分けて、「産業用」と「住宅用」に分かれます。

産業用太陽光発電システム

  • 発電量が10kW以上
  • 国、自治体補助金対象外

住宅用太陽光発電システム

  • 発電量が10kW未満
  • 国、自治体補助金対象

上記のように発電量・出力能力、補助金制度の対象などで大きく違いがあります。
また、産業用太陽光発電システムは発電量50kWを境として2つに分類されます。

これは、売電の関係で電力会社との系統連系が50kWを境として、50kW未満の太陽光発電システムは一般的な低圧電力として、50kW以上の太陽光発電システムは高圧電力として連系することになります。

高圧連系では、高圧受電設備を設置しなければならないので太陽光発電システムの導入費用コストが一気に上がります。

届け出の有無

続いては、届け出の有無から、産業用太陽光発電と住宅用太陽光発電の違い及び、メリット・デメリットについて解説していきます。

産業用太陽光発電も出力規模によって届け出の有無が変わる

届け出が必要か必要でないかは、出力の規模によって分かれます。従って、産業用太陽光発電といっても、50kW以上・未満かによって手続きが変わります。

50kW未満(低圧連系)の場合

不要(「一般用電気工作物」に該当する為)

50kW以上500kW未満の場合

必要(「自家用電気工作物」に該当する為、経済産業局に保安規定を届け出)

500kW以上1000kW未満の場合

必要(工事計画書の届け出や使用前安全管理審査な)

になります。
50kW以上の高圧連系の場合は、カスタマイズや手続きが多くあります。

太陽電池モジュールの違い

住宅用で使用する太陽電池モジュールと産業用で使用する太陽電池モジュールは基本的には同じものを使用しています。つまり、性能は同じという事です。従って、産業用太陽光発電だから、太陽電池についてメリット・デメリットがあるという訳ではありません。

しかし、産業用の太陽光パネルがあるメーカーによって違いがあり、主にパネルの「サイズ」です。

住宅用は小さな屋根に効率よく設置する為、サイズが小さく(だいたい、たたみ1畳分くらいの大きさ)スペースを有効活用できるような大きさになっています。反対に産業用のパネルは広いスペースに設置する為、1枚あたりのサイズが大きくなっています。

住宅用のパネルよりも一回り大きいイメージです。1枚当たりの出力も250Wが平均です。

「高層ビルの屋上で風が強い」、「海岸沿いなので塩害対策が必要」など、住宅用よりも過酷な環境へ設置する場合もありますが、その場合はその環境に適したパネルを使用します。

また、太陽光パネルのサイズが大きいことで、地震や豪雨被害などに対する影響も大きくなる点がデメリットではありますが、設置予定の周辺環境について災害マップや過去の資料から確認することが必要です。

産業用太陽光発電のパワーコンディショナにも違いがある

住宅用太陽光発電のパワーコンディショナは、通常2kW~5kW用です。例えば、住宅用太陽光発電で8kWを設置する場合は2台のパワーコンディショナを連結させて利用します。

一方、産業用太陽光発電のパワーコンディショナは10kW用が一般的ですが、50kW以内での設置であれば、住宅用の5kWパワコンを複数台連結させて設置が可能です。

50kWを超える高圧電力扱いのものは、 大容量のパワーコンディショナが必要になり、高額になります。

また、パワーコンディショナは通常屋内に設置しますので、産業用のパワーコンディショナでは大型化し、設置用の建屋を造るなどの必要も出てきます。ただし、一部のメーカーでは、屋外型のパワーコンディショナも販売しているようです。

架台の違い

産業用太陽光発電の場合、住宅用のように瓦やスレートの屋根に設置する事は少なく、たいていが陸屋根や折板屋根、土地への設置となりますので、1件1件、現地調査などを元にオーダーメイドで架台を組んでいきます。

住宅用は屋根の形状にあわせていくつかのパターンが決まっておりキット化されて生産されている為、割安なのです。

設置環境が大きく異なる産業用太陽光発電の場合は、通常使用する架台と合わせて部材が必要になることや、基礎をつくる必要がでてきますので特注になります。

産業用太陽光発電のメリット

ここからは、産業用太陽光発電のメリットを中心に解説していきます。基本的に住宅用太陽光発電の導入メリットと同じですが、事業者として導入することで得られるメリットもありますよ。

災害時に非常用電源として活用できる

最近では西日本豪雨などの災害もありましたが、近年の異常気象や地震大国でも日本では他国と比較して災害リスクが高い傾向にあります。

従って、事業者も災害に対する備えという意味や、地域貢献という意味で産業用太陽光発電を設置するメリットがあるでしょう。

東日本大震災以降、原子力災害及び原子力発電所がストップしたことによって、電力の供給体制が見直されています。その1つが太陽光発電であり、これからは事業者や個人も産業用太陽光発電・住宅用太陽光発電を使って、非常電源の確保に努める必要があるでしょう。

そういった意味でも産業用太陽光発電の設置・運営は、大きなメリットとなります。

事業として売電収益を確保できる

産業用太陽光発電の主な導入理由として挙げられるのが、収益確保という点です。事業はボランティアではないので、何かしら収益に繋がるものでなければ設置するメリットが少ないです。

産業用太陽光発電は、太陽光を電気に変換するシステムですので、基本的に日中の晴れた日であれば常に発電します。また、メガソーラーと呼ばれる規模の産業用太陽光発電の場合は、1年間で約300世帯の年間電力消費量を賄うことができ、その売電収益は約2000万円を超える計算です。

初期投資コストをなるべく抑えれば、基本的に晴れ間に自動で発電してくれるので、効率よく売電収入を確保することが可能です。

従って、産業太陽光発電を導入することで、収益面でもメリットがあるといえます。

制度面で産業用太陽光発電のメリットがある

政府による再生可能エネルギー促進の動きによって、固定買取価格制度が施行され2018年も運用されています。この制度は、太陽光発電を含む再生可能エネルギーによって、発電された電気の買取価格を設備導入年から10年間は固定価格に優遇される制度です。

産業用太陽光発電も同じく固定買取価格制度の適用対象なのですが、住宅用太陽光発電よりも優遇されている面があります。それが、全量買取・固定価格適用期間20年という部分です。

全量買取とは、発電した電気を全て売電に回してもよい制度のことで、産業用太陽光発電の売電は全量買取が適用されています。対して、住宅用太陽光発電の場合は、余った電気しか買取に回すことができないので、メリットが少ないです。従って、産業用太陽光発電が住宅用太陽光発電よりも優遇されていて、売電収入のメリットとなることが分かります。

また、買取期間についても、住宅用太陽光発電が10年間に対して、産業用太陽光発電は20年間なので期間に関しても大きなメリットがあります。

産業用太陽光発電のデメリット

最後に紹介するのは、産業用太陽光発電の導入・運営に関するデメリットです。売電収益が見こめる反面、初期投資費用の総額が高コストであったり、設置までのハードルが高かったりします。

初期投資コストが高いデメリットが存在する

当たり前の話ですが、住宅用太陽光発電と違って産業用太陽光発電は主に事業用の発電を目的としています。従って、何100枚と太陽光パネルを設置し、周辺機器や建屋なども必要となるので、総額費用が高いことがデメリットといえます。

従って、個人では導入が難しいことは勿論で、事業者も導入後の売電収益などで元が取れるのか綿密に計算しなければいけないです。

自然災害リスクによるデメリットも考慮する

産業用太陽光発電導入に関して、難しい課題の1つですが災害時の非常用電源として活用できる反面、豪雨による冠水や地震や台風による設備の損傷リスクがあります。

最近起きた西日本豪雨でも、河川の氾濫などによる冠水によって住宅用太陽光発電が故障し、漏電の危険性が取り沙汰されました。また、台風などによって配線に傷が入ったり、太陽電池モジュールが損傷したりといったことも考えられます。

こうした自然災害によるデメリットを軽減するためには、太陽光発電メーカーが独自にお行っている自然災害補償などの保険に入ることが必須です。

産業用太陽光発電のメリット・デメリットのバランスを考える

ここまで産業用太陽光発電の基本的な事柄と、基本的なメリット・デメリットについて紹介してきました。

住宅用太陽光発電と共通点のあるメリットやデメリットがある反面、事業規模が大きいので資金が必要であったり、適用される制度に違いが表れたりします。

産業太陽光発電のデメリットの1つである、初期投資コストの高さ及びローンと売電収益のバランスを考えながら、設置に関する一括見積を出してみましょう。