家庭用太陽熱発電は設置できる?太陽光発電との違いも解説!

この記事では、「太陽熱発電は家庭に設置できるのか?」と疑問に対し、太陽熱発電の特徴や主な発電方法を解説しています。さらに、同じく太陽エネルギーを活用している「太陽光発電」との違いも紹介し、太陽光発電と比較してメリットとデメリットを分かりやすく解説しています。

これから家庭用に太陽熱発電を導入するか検討している方に対し、家庭用に導入するのはどちらが良いかを判断するための情報をまとめました。

太陽熱発電とは?

再生可能エネルギーの「太陽熱発電」とは、太陽熱を利用して発電する方法です。レンズや反射鏡と呼ばれる設備に太陽光を集め、その熱から創り出した蒸気でタービンを回して発電します。この発電設備は火力発電のタービン式と同じですが、エネルギーが太陽熱のため自然に優しい発電といえます。

同じ太陽のエネルギーを使用する「太陽光発電」とは名前が似ていますが、太陽熱発電とは発電方法がまったく違うため、それぞれの設置条件や注意点は異なります

太陽熱発電の特徴

他の発電方法よりもコストパフォーマンスが良いため、太陽熱発電は効率の良い発電ができる発電方法として海外で導入が進んでいます。蓄熱設備を導入することで、通常は発電が難しい夜間や雨天での発電も可能となります。

しかし、太陽熱発電は広い土地と安定した日照時間が必要なため、日本では地理的な要因から太陽熱発電の普及が遅れているといわれています。それでは、太陽熱発電の3つの特徴を見ていきましょう。

コストパフォーマンスが良い

太陽熱発電は燃料費のかからない太陽熱と呼ばれる自然エネルギーを活用しているため、火力発電のようにわざわざ発電するために石油や石炭といった燃料を購入する必要がありません。毎日の発電にどのくらい燃料費がかかるかは、売り上げに影響してしまいます。そのため、太陽エネルギーで発電できる太陽熱発電は、火力発電よりも固定費を抑えることができます。

また、太陽光発電の場合は太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの高価な発電設備が必要で、導入後の発電効率は最大で20%ほどです。一方で、太陽熱発電は専用設備のコストが安価にもかかわらず、発電効率が最大で50%ほどと高いためコストパフォーマンスが良い発電方法といえます

夜間や雨天でも発電可能

太陽熱発電は太陽エネルギーを使用して発電するシステムのため、一般的に夜間や雨天では太陽エネルギーが足りないため発電できません。しかし、太陽熱発電向けの蓄熱装置を設備導入することで、日中や快晴のときに蓄えた熱エネルギーを利用できるようになります。そうして、発電が難しい夜間や雨天の際に、途切れることなく発電を続けることを可能にしたのです

しかし、日本の梅雨時期などは湿度が高くなるため太陽熱発電の発電量が下がりやすく、アメリカなど大々的に太陽熱発電を導入している国と比べて発電効率が良くありません。いくら蓄熱設備を活用したとしても太陽熱発電は日本の気候に適さないため、日本の風土のマイナス面を改善できるような技術革新が求められています。

日照時間の多い地域に適している

日本はオーストラリアなどに比べて土地が狭く、赤道直下の国々よりも日照時間が短いことが影響し、日本では太陽熱発電は適していないと考えられています。太陽熱発電は発電設備の立地条件によって発電効率が変わることから、日照時間の少ない地域での導入は慎重に行われてきました。

しかし、近年では太陽熱発電の技術革新により発電効率が向上したことで、改めて日本でもクリーンエネルギーの1つとして太陽熱発電が注目されてきています。また、太陽熱発電は火力発電のタービンと併用できるため、日照時間の少ないことによる発電量の減少を軽減できるようにハイブリット化(既存の火力発電+太陽熱発電)も可能です。

太陽熱発電の仕組み

太陽熱発電では大きく分けて4つの仕組みがあり、構造が異なる設計となっています。最も太陽熱発電で歴史のある「トラフ・パラボラ型」を始め、低コストで風圧に強い「リニア・フレネル型」や発電効率に優れた「タワー型」があります。

また、「ディッシュ型」は蓄熱装置が従来よりもコンパクトなため、より発電効率を高められると注目されています。それぞれの発電する仕組みや設備の特徴を紹介し、どういった条件の土地に向いているかを解説しています。

トラフ・パラボラ型

太陽熱発電 トラフ・パラポラ型

出典:NEDO再生可能エネルギー技術白書

筒状の反射鏡である「集光ミラー」を用いて、太陽エネルギーを「集熱管」へ集めて管内の熱媒(水または水蒸気と溶融塩)を400℃くらいまで加熱します。その後、「熱交換器」で約380℃の蒸気を生成して発電します。トラフ・パラボラ型の発電効率は15%ほどで、シンプルな構造のため設備コストが安価なのが特徴です

1980年代にアメリカのカリフォルニア州でビジネス利用の実績があり、太陽熱発電のシステムとしては歴史のあるタイプです。他の太陽熱発電のシステムに比べて太陽エネルギーを集める力が弱いため、高温環境での運転には適していません

広大な土地に設備を設置しなくてはいけないトラフ・パラボラ型は配管が長くなるため、配管の加熱温度を保つのが難しく、熱触媒を流すための動力も必要なのが課題です。

リニア・フレネル型

太陽熱発電 リニア・フレネル型

出典:NEDO再生可能エネルギー技術白書

細長い凹面のある「集光ミラー」の角度を少しずつ変えて並べており、「集熱管」を数メートル上部に設置しています。太陽エネルギーを集熱管へ集め、250~500℃の蒸気を生成して発電します。リニア・フレネル型の発電効率は8~10%ですが、トラフ・パラボラ型は集光ミラーの設置コストを抑えることが可能です

トラフ・パラボラ型よりも風の影響を受けにくいため、リニア・フレネル型は風圧が強い地域に向いた太陽熱発電のシステムといえます。また、土地面積の効率性にも差があり、リニア・フレネル型は狭量地や高値の土地にも導入しやすいでしょう。

発電方法 稼働目安(風圧) 土地面積の比率
トラフ・パラボラ型 風速15m/s 以上で運転中止 30%
リニア・フレネル型 風速20~25m/s まで運転が可能 60~80%

タワー型

太陽熱発電 タワー型

出典:NEDO再生可能エネルギー技術白書

平面状の集光ミラーである「ヘリオスタット」を設置しているのが特徴の発電システムです。ヘリオスタットには太陽を追尾する機能があり、太陽の動きに合わせて太陽エネルギーを「集熱器」へ送っています。集熱器では850~1000℃の蒸気を生成し、高温の蒸気を用いて発電しています。

タワー型の発電効率は20~35%と高く、タービンの出力を上げることで多くの発電を可能としています。技術革新が進んでいる発電システムのため、蒸気タービンだけではなくガスタービンを用いて発電する場合もあります。また、タワー型には「ビームダウン」と呼ばれる集光システムもあり、二次反射鏡をタワー上部に設置することで発電効率を高める方法もあります。

ディッシュ型

太陽熱発電 ディッシュ型

出典:NEDO再生可能エネルギー技術白書

パラボラアンテナのような「集光ミラー」を用いて太陽エネルギーを集め、中心部にある「スターリングエンジン 」または「マイクロタービン」で発電します。ディッシュ型で導入されているスターリングエンジンとは、外熱を用いてエンジン内部の主にヘリウムを膨張や収縮することにより動かすエンジンのことです。

ディッシュ型の集光ミラーは直径5~15mで、発電出力は1基あたり5~50kWと小規模な太陽熱発電のシステムです。アメリカやオーストラリアでは、多数の集光ミラーを設置して大規模な発電試験が行われています。

太陽熱発電のシステムの中でディッシュ型は比較的に新しいため、今後の技術革新が期待されています。発電効率は20~35%と高く、小さい蓄熱設備で高温での蓄熱が可能なため、将来的な設備コストの価格競争で優位となっていくでしょう

家庭用太陽熱発電は設置できる?

太陽熱発電は北緯37度より南のエリアで普及しており、日照量の多さが導入判断に重要となっています。日本の梅雨時期や湿度のある気候も太陽熱発電とは相性が悪く、大規模な発電システムを導入する土地も少ないため、そもそも日本では太陽熱発電に適していません

さらに、太陽熱発電には広い土地が必要で、家庭向けに太陽熱発電を設置することは難しいです。そこで、家庭用に設置するなら、太陽エネルギーを活用した「太陽光発電」がおすすめです

家庭用に太陽光発電がおすすめな理由

家庭向けに「太陽光発電」がおすすめの理由は2つあります。まず、狭いスペースでも発電が可能なため、屋根や庭などを有効活用できます。また、新電力会社やハウスメーカーなど多くの業者が家庭用の太陽光発電システムを取り扱っているため、予算やデザインなどから納得のいく業者を自由に選べるのが魅力です。

狭い土地でも発電可能

大規模な土地がないと発電ができない太陽熱発電に比べて、太陽光発電のシステムは家庭向けの発電設備が多く販売されています。屋根の代わりに太陽光パネルを導入すると耐熱性も高まり、屋根のメンテナンス費用も抑えることが可能です。庭や畑などの土地を活用することもでき、スペースに応じた太陽光発電の設置プランを検討できます。

沢山の業者の中から選べる

太陽光発電の設備販売やメンテナンス対応を行っている業者は数多くあります。そのため、サービスや価格などを比較し、利用者が気に入った業者を自由に選択できます。初期費用の予算や設備デザイン、メンテナンス費用、保守サービスなどを幅広く検討できるため、利用者にとって身近な再生可能エネルギーの発電方法といえます。

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太陽熱発電の今後の動向

 

世界の総電力において2050年には太陽熱発電が約11%になると予想され、世界的な発電量は約4,750TWhになると見積もられています。太陽熱発電に敵している中東やアフリカ、北アメリカ、インドでは、今後とも有力な自然エネルギーとして太陽熱発電の普及が進んでいく見込みです。

しかし、日本では土地の広さや日照時間の関係で、太陽熱発電の普及が遅れているのが現状です。日本で普及できるような技術革新はもちろんのこと、既存の火力発電の設備を活用したハイブリッド運用が期待されます。

また、日本企業は太陽熱発電の優れた技術を持っているため、海外への技術展開が今後とも活発になっていくでしょう。

まとめ

太陽熱発電は太陽エネルギーを集め、その熱で生成した蒸気でタービンを回転させて発電します。太陽光発電とは発電システムが異なるため、導入できる条件や発電設備が違う点を注意しましょう。設備投資に対して発電効率に優れていることから、太陽熱発電はコストパフォーマンスが良い発電方式です

蓄熱設備を用いることで夜間や雨天でも稼働を止めることなく発電が可能ですが、太陽熱発電は広大な土地と日照時間が重要なため日本での普及は遅れています。日本の風土に適した発電を行うための技術革新や、火力発電と併用したハイブリッド化などによって、日本でも太陽熱発電は注目されています。

太陽熱発電の発電システムは4つあり、それぞれの特徴や強みは以下の通りです。

発電方法 発電効率 特徴
トラフ・パラボラ型 15%ほど 設備コストが安価
リニア・フレネル型 8~10% 風圧に強く、土地面積の効率性が高い
タワー型 20~35% 太陽の動きに合わせて、太陽熱を集められる
ディッシュ型 20~35% 発電効率が高い

しかし、太陽熱発電は狭い土地には不向きで、取り扱う事業者も少ないため、家庭用としては太陽光発電の導入をおすすめします。屋根や庭などの小スペースでも太陽光発電のシステムは導入することが可能で、家庭用の販売業者が多いのも利用者にとってメリットといえます。

太陽光発電の売電システムはFIT制度からFIP制度へ切り替わっていき、市場価格に応じて発電した電気の販売タイミングを自由に選べるようになります。しかし、FIP制度の対象区分は50kW以上のため、家庭で余った分の売電がどのようになるかはFIP制度の審議によります。

また、家庭用の太陽光発電の導入目的としては、余った分の売電利益よりも電気を自給自足することが主な目的となります。蓄電池と併用することで、災害時でも電力を利用できる可能性が高くなるのです。

家庭用の再生可能エネルギーの導入を検討している方は、太陽熱発電ではなく太陽光発電を検討してみてください。

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