10年後の太陽光発電は売電の意味がなくなる?11年目以降はどうなるのか

住宅用太陽光発電でよくいわれている2019年問題は、オーナーの多くの方が聞いたことのある話です。また、2019年問題というと、2019年のみに注目しがちではありますが、実際は住宅用太陽光発電を導入して10年後に問題が発生するということです。

しかし、2019年問題や10年後に売電に関して問題があるといっても、何がどのように売電へ影響を与えるのか分からない方もいるでしょう。更に、10年後、11年目以降の運用をどのようにしていけばいいのか、知りたいところでもあります。

そこで今回は、住宅用太陽光発電でささやかれている2019年問題、つまり10年後の問題の意味や対処法について詳しく解説していきます。

売電価格と導入から10年後の関わりについて理解できれば、住宅用太陽光発電の新たな運用方法についても理解できるでしょう。

2019年問題とは
2019年問題とは、2009年11月に開始した余剰電力買取制度(10年間は余った電気を高く買い取りますという制度)の固定買取期間10年間が満了する人が出てくることを指す。

2019年問題についての詳しい記事はこちら
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太陽光発電の固定価格買取制度と余剰電力買取制度


住宅用太陽光発電導入から10年後に発生すると予測されている問題を把握するためには、そのきっかけの1つである固定価格買取制度と余剰電力買取制度の仕組みやこれまでの敬意について知る必要があります。

太陽光発電の余剰電力買取制度とは

余剰電力買取制度とは
太陽光発電をつかってできた余力電力を電力会社が買い取ってくれる制度。

住宅用太陽光発電は、10年以上前から既に導入が進んでいました。2008年までは売電に関する取り決めが違っており、大手電力会社が自主買取という形で売電が可能となっていました。つまり、太陽光発電の買取は義務ではなく、あくまで電力会社ごとの判断ということです。

また、売電価格の設定についても、電力会社ごとに取り決めていましたが、基本的に買電価格と同等の約24円/1kwhで買取していました。

しかし、当時は現在よりも太陽光発電の生産・販売コストが高く、売電価格については買電と同程度と定められていたので普及が進んでいない背景がありました。そこで政府は、住宅用太陽光発電の売電に関して、普及促進のための制度を発足しました。

それが余剰電力買取制度です。

現在の固定価格買取制度と同じような内容で、住宅用太陽光発電システムを導入した方に対して、導入から10年後までは固定価格で売電が可能となりました。また、売電価格は政府が定めて、買取に関しては電力会社の義務という形が取られました。

余剰電力買取制度発足当時の売電価格は、48円/1kwhと高額で買取が行われていたので、初期費用回収も含めても売電収入が残るような計算でした。

2012年から始まった固定価格買取制度

固定価格買取制度とは
産業太陽光発電や住宅用太陽光発電だけでなく風力発電、小水力発電、地熱発電、バイオマス発電の再生可能エネルギーを一定価格で電気事業者が買い取ることを義務付けた制度

出典:首相官邸
住宅用太陽光発電の余剰電力買取制度は、2012年に発足した固定価格買取制度に統合されました。

2011年の東日本大震災以降、エネルギーに関する問題が取り沙汰されていて、固定価格買取制度の発足も重なったことから多くの方が、住宅用太陽光発電の導入を行いました。こちらの制度に統合されたのですが、内容は余剰電力買取制度と変わらず導入から10年後までは、固定価格で売電できて尚且つ電力会社は義務として買い取らなければなりません。

そして、制度発足当時に10年後すなわち11年目以降の売電価格については、買電価格と同等の24円/1kwh程度で、引き続き売電を想定している旨を発表していました。

しかし、これが後述で解説する10年後の問題に繋がっていきます。

固定価格買取制度は以下の記事で詳しく解説しています
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住宅用太陽光発電導入から10年後は売電に関して課題が残っている


住宅用太陽光発電の固定買取の流れと仕組みについては、把握できたでしょうか。続いては、最近取り沙汰されている住宅用太陽光発電導入から10年後、11年目以降の運用に関する問題を解説していきます。

住宅用太陽光発電は導入から10年後に制度適用外となる

まず、10年後の運用についてですが、既に決まっていることは住宅用太陽光発電導入年から10年後、11年目以降は固定価格買取制度の適用外となっています。

つまり、固定価格買取制度のルールとして定められていた、政府による売電価格の決定や売電権利についても制度適用外ということです。

住宅用太陽光発電の売電権利について詳細な発表等がない

住宅用太陽光発電導入から10年後の売電権利など、詳細については現時点でも明確な指針が出ていない現状となっています。

2019年11月より、固定価格買取制度の保証期間が過ぎるため、一部家庭のみ売電価格が下がると予想されています。
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最近では、各電力会社が少しずつ制度適用外となった売電についても引き続き買い取る準備を進めていることや、新電力会社が準備するなど個別に動きはあります。

ただ、全体としてまとまった1つの指針は示されていないので、多くの住宅用太陽光発電オーナーの方が、売電方法について悩むこととなっています。

本来であれば、固定価格買取制度が発足された段階で、導入から10年後の売電権利についても示されていれば大きな問題にはならなかったのですが、実際は枠組みが作られていない現状です。

売電価格が制度発足当時の想定よりも下がり11円/1kwhとされている

住宅用太陽光発電導入から10年後に、売電について問題があるとされる理由の1つは、制度適用外となってからの売電価格にあります。

冒頭でも解説したように、固定価格買取制度発足当初に示された、導入から10年後の制度適用外となった際の売電価格については24円/1kwhとされていました。

2019年現在の売電価格
2019年24~26円

なぜ、24円かといいますと、買電価格の相場が24円台なので収支バランスを考慮しての想定価格と言えます。

しかし、時が経ち最初の適用外が出てくる2019年に近づくにつれて、その想定価格が変わってきました。

現時点で、10年後すなわち11年目の売電価格については11円/1kwhと示されました。想定価格なので決定ではありませんし、電力会社ごとの事情もあるので今後変更される可能性もありますが、当初の想定から大幅に下落していることが分かります。

なぜ、11円/1kwhと想定しているかといいますと、経済産業省が発表した資料にて電気事業者が太陽光発電を使用した際のコストから算出したと発表しています。

簡単に説明しますと、電力会社の発電コスト10,72/1kwhを太陽光発電からの電気によって抑えていたので、そこから売電価格=価値を算出したということです。

住宅用太陽光発電導入から10年後の課題に対応するためには

住宅用太陽光発電の固定買取期間が終了する10年後及び11年目以降の運用については、現在いくつかの対処法が考えられています。そこでここからは、固定価格買取制度適用外となった後の運用方法と、海外の事例を紹介していきます

住宅用太陽光発電導入から10年後も売電自体はできる可能性がある

現時点では、固定価格買取制度適用から10年後の売電について明確な指針は示されていませんが、現在各電力会社や新電力会社などが個別に引き続き買取を行う準備を進めています。

従って、11年目以降も住宅用太陽光発電で発電した電気を、電力会社へ売電できる可能性が残されています。また、現実的に考えて11年目から売電が禁止となると、普及が進んできた太陽光発電が一気に衰退する可能性があるので考えにくいでしょう。

しかし、政府が想定している売電価格が、11円/1kwhですので売電収入としては縮小傾向であることに変わりないといえますが、手元に残るケースもあります。それは、太陽光発電の初期費用が固定買取期間中に回収できていた場合で、そうなっていれば売電収入を電気代や収入源に回すことができます。

効率的な運用を考えると10年後は自家消費型がおすすめ

売電自体は10年後も継続される可能性がありますが、効率的な運用という観点で考えると売電価格11円/1kwhでは難しいといえます。そこで、近年太陽光発電業者などが示している運用モデルとして、自家消費型太陽光発電があります。

自家消費型とは、太陽光発電で発電した電気を全て自宅で消費することを指します。こちらの運用方法であれば、11年目以降の売電について悩む必要はありませんし、電気代削減に効果が期待できます。

つまり、売電収入ではなく買電による支出を減らす運用方法です。

また、蓄電池を活用すれば日中に貯めた電気を、夜間に使用できるので更に電気代節約に繋がります。自家消費型に切り替えるためには、余剰電力を売電する装置でもあるパワーコンディショナを、自家消費できるよう自動調整するタイプに交換する必要があります。

最近では、国内でも販売されているので比較的手軽に、パワーコンディショナの交換が可能です。

蓄電池については以下の記事で解説しています。
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ドイツは既に同様の問題に直面し対処している

ドイツは、世界でも有数の再生可能エネルギーを軸にした国の1つです。ドイツでは、1998年に電力自由化を始めており、再エネ賦課金の上昇など様々な問題に関して既に取り組んでいます。

2019年現在のドイツの再生可能エネルギーの状況ですが、売電ではなく自家消費型が主流となっています。売電となると電気事業者や再エネ賦課金の兼ね合いから、オーナーの負担が増えていたので、少しずつ自家消費型へとシフトしていきました。

ドイツの事例を見ると、太陽光発電の運用方法についてヒントが得られるでしょう。自給自足型の運用が、個人の負担を軽減する方法といえます。

住宅用太陽光発電自体は導入メリットが存在する

2019年問題及び10年後の運用について不安になった方の中には、太陽光発電システムにメリットがないと感じたかもしれません。しかし、その考え方は早計といえるでしょう。

固定価格買取制度は、あくまで普及促進の一環として始まった制度であり売電が全てではありません。

ドイツの事例を見ても分かるように、一定の水準まで普及が進むと売電に関する問題が生じる傾向にあるので、自家消費型の方が太陽光発電のメリットを得やすい側面があります。

また太陽光発電システムを導入していれば、災害時に緊急用電源として活用できますし自家消費型なら電気代の節約に繋がるので、固定費を減らすことができます。これから太陽光発電の導入を考えている方も、10年後の運用を見据えながら検討してみてはいかがでしょうか。

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