太陽光発電契約から法定書面を受け取ってから8日間はクーリングオフとし、契約後も解約はできる。

しかし、通常150万円で済む工事を250万円で契約し、数カ月後にその事実に気づいた場合解約はできるのだろうか。

と、その前に「クーリングオフ期間を大幅に過ぎてから契約解除に成功した話」をする前に「太陽光発電の裏話」をしようと思う。

太陽光発電の契約解除に成功した話を早く見たい方はこちら

太陽光発電はどこで買えるのか、と聞かれたとき、「ああ、それならあそこに行ったらいいよ」というところを思い浮かべることができるだろうか?

「太陽光発電ならここ」という会社はなかなか思い浮かばないのではないだろうか。

そこで街の情報誌タウンページをあたってみた。

分厚いタウンページをぺラペラペめくってみると、意外にも「太陽光発電」の項目がある。確か数十年前にはこの項目はなかったから、最近追加されたのだろう。

ちなみに太陽光発電はソーラー(温水器)と一緒に掲載されている。そこにはいくつかの業者の名前が広告とともに掲載されているので拾ってみた。

「エコ○○○」「サン○○○」「○○ソーラー」といったカタカナ文字の会社がズラーと並ぶ中に、ちらほらと○○電機や○○瓦店、○○設備、○○建材といった文字が並んでいる。

明らかに太陽光発電を専門にしていると思われる業者もあれば、本業が何か他にあって、片手間で太陽光発電の仕事もしていると思われる業者もある。

これだけいろいろな業者があるにはあるが、さてどこに相談したらいいのかさっぱりわからない。どの業者も似たり寄ったりで、これといって決め手がないのだ。

そこで電力会社に相談してみる


「弊社では太陽光発電の扱いもしていませんし、特定業者の紹介もしておりません」。

けんもほろろである。

実際、電力会社は機器の販売は原則していない。また、あっせんや紹介もしてくれない。

特定業者を紹介することはいろいろと問題になるようだ。

次は太陽電池を作っているメーカーに問い合わせてみる


さすが一流メーカーである。丁寧な口調で太陽光発電システムについて説明してくれた。

しかし電話ではわかりにくい部分も多い。「一度家に来て、見てもらえませんか?」と聞くと「それはできない」という。「近くの代理店を紹介するのでそちらに相談してくれ」とのこと。

実は太陽電池のメーカーが直接お客さんに販売するということはない

メーカーは全国にたくさんの卸業者や代理店(特約店・FC店など呼び名はいろいろ)を配置し、そちらから商品を供給している。メーカーが直接お客さんの家に訪問販売に来たり、設置工事をしたりすることは決してない

メーカーは直接販売しないという、この明白な事実も一般の人はほとんど知らない。

そのため、たまたまやってきた訪問販売の業者をメーカーの人とカン違いして契約をしてしまう人もあるのだ(もちろんあたかもそう思わせるようなトークを業者がするからなのだが)

太陽光発電メーカーは何も知らない


実際のところ、メーカーはどんな販売会社がどのように販売しているのか、あるいはどのような施工をしているのか、その実態を正確に把握しているわけではない。特約店や一次代理店といった、メーカーが直接取引をしているところまではある程度把握しているだろうが、その先となると、どのように売られているのかを把握するのも難しい。

メーカーによって掌握の程度に差があるとはいえ、どのメーカーも末端まで完全には管理するのは不可能というのが実態なのだ。

つまり簡単に言うと、売り方は販売店にお任せというわけだ。

このような業界の仕組みのため、実際にやろうと思えば、誰でも太陽光発電システムを販売することはできてしまう。

極端な話、昨日まで布団を売っていた業者が今日から太陽光発電システムを販売するということも可能なのだ(もちろんちゃんとした知識があり、正しい設置ができれば布団屋さんが売ってもいいのですよ。念のため)。

そこに、知識のない業者でも、安直な工事をする業者でも入り込む余地があるわけだ。

太陽光発電の6〜8割が訪問販売で売られている事実


そこで消費者にとっては悩ましい判断をしなければいけなくなる。

「この業者は本当に信頼できるか?」
「正しい売り方と正しい施工をしてくれるのか?」

消費者自身が業者をしっかりと判断しなければいけなくなるのだ。

太陽光発電システムは6〜8割が訪問販売業者によって売られていると言われている。

もちろん、それら訪問販売業者のすべてがいわゆる『悪徳業者」というわけではない。地元に根付いて、まじめに取り組んでいるところも多いが、タウンページの項目でもソーラーと太陽光発電が一緒になっていたように、ソーラー温水器の販売から太陽光発電に乗り換えているところも多い。

最近、「ソーラー」業界の努力により、昔の「悪徳」のイメージはかなり薄れた。とはいえ、相変わらず亡霊のように昔のイメージを引きずっているのがこのソーラーの業界だ。

それだけでなく、浄水器の販売業者やリフォームの業者など、ありとあらゆる業種から参入しているのが実態なのだ。

クリーンな太陽光発電のイメージに似つかわしくない、魁魅遡趣とした販売業者が暗躍しているのが太陽光発電の業界といえる。

残念ながら、私の友人が感じてしまった太陽光発電へのダーティなイメージはあながち間違いではないようだ。

しかし、そういった業者が一部にいるからといって太陽光発電システムそのものが否定されるべきでは、もちろんない。

太陽光発電業界の裏事情


太陽光発電というのは天の邪鬼な商品である。

商品そのものは主に電機メーカーが作っている。純粋に電気の製品である。しかし、メーカーから出荷された段階ではまだ完成品ではない。

そこでプランニングと設置工事が必要になるわけだが、その時には、建築の知識と経験なしにはできない。もちろん電気の知識も必要である

ご存知のように、屋根は家にとって最も重要な部分のひとつである。太陽の直射をまともに受け、台風の雨・風から家を守る。夏場は屋根表面は、70℃にもなる。靴を履いていても熱いぐらいだ。何十年もの間、風雪にさらされるという過酷な条件に耐えきる必要がある。

それほど重要な屋根の部分に設置をするのだから、間違いがあってはのちのち大変なことになる。電気屋さんがエアコンを取り付ける工事とはわけが違う。

さらに日本の屋根は実に千差万別である。屋根の形はいくつもあり、屋根材も無数といっていいほど種類がある。ひとつとして同じ屋根はないといってもいいくらいなのだ。

そんな複雑な日本の屋根に最も適した設置のプランと方法を設計するためには、本来電気の知識と建築の知識の両方を必要とする。つまり、電気と建築の融合が必要なのだ。融合とカンタンにひと言で言うが、これがなかなか難しい。そこには目には見えないが超えがたい壁があるのだ。

実は建築業界と電機業界はそれぞれ歴史も違い、考え方も慣習も違う。普段使う専門用語も知識もまったく別物だ。言ってみれば水と油の関係なのだ。住宅用太陽光発電システムの歴史は両者のせめぎあいの歴史といっても過言ではない。今の太陽光発電の販売の形態はそんな電機業界と建築業界の綱引きの中から生まれてきたといえる。電化製品のように製品だけでは使用できないので、どうしても設置のため建築の専門知識が必要である。そのため電気店でカンタンに売れるというものではなかった。

また、電気の知識が必要なため工務店が屋根のついでに薦めることもできない。非常に売りづらい、どっちつかずの商品であった。

しかも今までにない仕組みのため、ややこしい説明が必要である。一般的に建築業界には職人的な気質の人が多い。彼らは商品を説明し売り込むのは余り得意ではない。

そんな間隙をぬってこの商品に目をつけたのが訪問販売業者であった。

彼らは一般には売りづらいものを口八丁手八丁で売ってくる。そういう意味では太陽光発電の普及の中で訪問販売業者が果たした役割は大変大きなものがある。

ただ、販売方法がどうしても強引になりがちであり、また、オーバートークになって、後々クレームになりやすいという点が問題なのだ。

商談、即契約はしてはいけない


訪問販売業者はまさに販売のプロだ。相手をその気にさせるのがほんとうにうまい。だからこそプロでいられるのだが。

太陽光発電システムはあなたにとって初めてのことばかりである。ついつい営業マンの説明に聞き入ってしまうかもしれない。もちろん、わからない点はよく聞いておくべきだろう。納得行くまで何度聞いてもかまわない。むしろ、くどいぐらいのほうがいい。本当に誠実な営業マンならあなたの質問にきちんと答えてくれるはずだ。

ここで注意が必要

一通り説明が終ると、おもむろにカバンから契約書を取り出し、すぐにでも契約を迫る業者がある。

ここで契約書にサインをしたらあなたの負け。

ほんとにそのプランでいいのか?ほんとにその業者でいいのか?ここでじっくりと考えよう。また、家族にもじっくりと相談してみるべきだ。

安くなったとはいえ何百万もするシステムだ。少なくとも数日は冷静に考えるべき。

後でも述べるが、太陽光発電の導入でもっとも大切なのは入念なプランニングだ。これには時間がかかる。この段階を飛ばしていきなり契約を迫る業者は少なくともあなたにとって良い業者ではない。その場でお断りするのがベストだ。

なかには「モニター販売」とか「キャンペーンは今日まで」などといって、チャンスがもう無くなってしまうと思わせる手口もある。

しかし、太陽光発電に限って言えば、今日でなければ買えないとか、明日から高くなってしまうというのは業者の作り話にしか過ぎない。そんな話に乗ってはいけない。

消費者側に使用経験がある商品ならば、消費者自身である程度の判断ができるだろう。ところが、太陽光発電に関しては消費者側が十分な情報を持っていないため、業者の言いなりになりやすい。

訪問販売業者のセールスを受けたときには、その場で返事をせず、必ず何社かの見積りをとって比較検討したうえで決定することが必要だ。

クーリングオフ制度

「どうもおかしい」と思ったら契約しないこと

訪問販売の業者は言葉巧みに近づき、欲しい気持ちにさせる。そして、その場で契約を迫る。中には「今しかこの値段で買えない」というような錯覚を起こさせて契約を取ろうというセールスマンもいる。

しかし、「今しか!」という話の多くは業者の作り話である。契約を迫られても、決してその場では契約をしないことが肝心だ。いったんは頭を冷やしてじっくりと考えてみること。

場合によっては他の業者をあたり、複数社の見積りを取ってみる必要もあるかもしれない。

「しつこいので、つい、契約してしまった・・・」。そんなときは契約解除ができる。

「夜中までねばられて帰らないのでつい契約をしてしまった」、あるいは、「契約はしたのだが、どうも価格が相場よりもずいぶん高いようだ」、「契約はしたもののどうも業者の対応に不審な点がある」、こんな場合も、安心してほしい。いったん契約したものでも理由を問わずに契約解除することができる。

それが「クーリングオフ」といわれる制度だ。

クーリングオフ期間を大幅に過ぎてから契約解除に成功した事例

Aさんは40才の女性。耳が少し遠くなった母親と2人暮らしである。「環境にやさしい暮らしをしたい」という思いが強いAさんは、それを実践する形で質素に暮らしていた。

家が古くなってきたので建て替えの計画をしていた時である。

太陽光発電のセールスマン現る

太陽光発電にも関心のあったAさんはセールスマンの語る話に夢中になり、ちょうど家を建てる計画もあったので、新築の際に設置するという契約を交わした。雪が舞う2月のことであった。

新しい家の構想もまとまり、いよいよ着工にかかろうとする5月に、太陽光発電を契約した会社からの電話。

業者業者

クレジット会社から連絡が入ります。その際は工事完了した、とお答え下さい


AさんAさん

えっ、ちょっと待ってください。まだ家もできていないのですから


業者業者

いや、形式的なものですから。支払いの開始は家が完成する9月からですよ

不審に思ったAさんは、後日回答するという事で電話を切った。

そして家の設計士に相談する。この話が工務店を経由して、太陽光発電専門コンサルタントのB(つまり私)のところに伝わる。

業者の資料を見た私は驚いた

屋根は十分広く、システムを大きくする事は可能である。にもかかわらず1.52kwというシステム。これでは太陽光発電による経済効果はほとんど期待できない。
そして価格。1kwあたりの単価が151万円!法外な価格である。

私の設計では倍の3.04kwシステムで同じ価格で十分設置可能である。

私の太陽光発電設置の提案書をAさんの設計士に渡した。

設計士設計士

Bの提案書を見ましたが、今の契約は解約した方がいいですよ

Aさんは先の販売会社に電話し、解約したい旨を伝えた。しかし、

業者業者

契約してから既に3カ月も経過していますから解約はできません。また既に部材は仕入れてしまっていますから、解約したとしてもその代金はかかりますよ

確かにこの会社の言うとおり、クーリングオフのできる期間は契約してから20日間。
3カ月も経っていればクーリングオフはできないと考えるのが普通である。

AさんAさん

ちょっと待ってください。太陽光発電の工事どころか、家すらもこれから建てる状態ですよね?

業者業者

いや、でもクーリングオフの期限が過ぎてますから。

AさんAさん

いやいや、そんなの家も建ってないのにクーリングオフも関係ないでしょう?

業者業者

それとこれとは別ですよ。

相手はクーリングオフの期限が過ぎている事を理由に頑として受けつけようとはしない。

Aさんはあきらめ、設計士に言った。

AさんAさん

カクカクシカジカで、期限が過ぎているので解約できないそうです。自分が愚かだったとあきらめてそのまま設置しようかとも思ってます。

この話を設計士から聞いた私は心の底からその販売業者に対する怒りが込み上げてきた。太陽光発電で後悔する人をつくってはならない、という自らの信念に反する事だからである。

私

私が何とかしましょう。それまで販売会社の要求は断り続けて下さい

解約してもらう隙間を探す

私にはひとつの目論見があった。それは以前、友人の司法書士に聞いた「契約書に不備があれば、期限にかかわりなく契約破棄できる」という言葉だった。

その間にも先の販売業者からほぼ毎日「工事完了の連絡をせよ」という電話。「できません」と断り続けるAさんはノイローゼになる寸前まで追い込まれていた。

私は契約書を隅々まで確認した。が目立った不備は見当たらない。「ダメかもしれない」

という考えも頭によぎる。しかしこのままでいいはずがない。

私は思い切って業者との直接交渉に踏み切ることにした。立場上、Aさんの弟を名乗って直接電話をした。

私

Aの弟ですが、今回の契約は解約したいのですが

業者業者

Aさんにも何度もお伝えしているとおり、期限が過ぎているので、できません

私

契約書に不備があれば期限は関係ないと聞いています。今、知り合いの司法書士に契約書をチェックしてもらっています

業者業者

・・・・・

私

大体、工事も着工していないのにクレジット契約の締結を迫るのもおかしいですね

業者業者

・・・・・

私

解約してもらえますか?

業者業者

それはちょっと・・・。上司に相談して、またAさんに電話します

その後何度かやりとりがあり、最終的には契約を解除することができた。

「司法書士に相談している」という言葉が決め手になったようである。

聞くところによると、強引な販売を行なっている業者のクーリングオフは1割近くもあるらしい。業者は最初からそれを計算に入れて販売しているのである。

もし訴訟を起こされ法的な判断をされる事になれば、そのための時間や費用がかかる。

そんな時間と費用をかけるくらいならクーリングオフに応じた方がマシ、という考え方のようである。

Aさんの場合は工事が着工されていなかった、という事が幸いしているが、期間が過ぎてもクーリングオフは可能という実例である。

おわりに

このように法定書面を受け取ってから8日を過ぎてからでもクーリングオフができる場合がある。それぞれの事例により判断が異なるので、いざという場合は専門家に相談するのが良いだろう。

決してあきらめず、妥協せず、法的な解決も厭わないという、強い意思を示す事が重要である。

また、太陽光発電は一部悪徳業者がいるということも忘れてはいけない。必要以上の見積もりを出されて契約をしてしまわないように業者選びは慎重に行おう。

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