投資回収とは、初期投資がどのような収支バランスでどれだけの期間があれば費用回収できるかを指します。
太陽光発電の初期費用がどれくらい早く回収できるかが、より多くの利益を得るために重要なポイントとなります。
この記事では、固定価格買取期間中に初期費用を回収することはできるのか、どのような要因が回収期間を左右しているのかについて、住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電にわけて説明していきます。
投資回収の計算というと難しいイメージがあるかと思いますが、できるだけ簡単に説明していきます。
太陽光発電の投資費用回収期間の目安は10年前後
太陽光発電の初期費用は、住宅用太陽光発電の場合は、150〜300万円、産業用太陽光発電は1,000万円以上かかります。
このように投資金額が高額なので、いつまでに投資費用が回収できるかが利益を出せるかのポイントとなってきます。
実際に、太陽光発電の投資費用の回収にかかる期間は、住宅用太陽光発電の場合は7〜8年、産業用太陽光発電は10〜12年と言われています!
そのため、固定価格買取期間内に初期費用を回収することができ、残りの期間は全額利益になるということです。
初期費用を全額ローンで支払う場合は、利息も初期費用と合わせて考えるので、上記の回収期間よりもプラス2〜3年程度回収期間が長くなります。
太陽光発電の初期費用回収シミュレーション計算方法
①住宅用太陽光発電
経済産業省が提示している2020年度の太陽光発電システムの設置費用想定値は、1kWあたり29kWです。
また、年間のメンテナンス費用は1kWあたり約3,450円となっています。
住宅用太陽光発電の投資回収の計算方法は、初期費用とメンテナンス費用から売買損益を割って算出します。
初期費用を早く回収するためには、そもそもの初期費用を抑えることと、できるだけ多く発電するような設備にすること、使う電気の量を減らして節約することがポイントになります。
これについては後ほど解説していきます。
②産業用太陽光発電
産業用太陽光発電の場合、初期費用に加え、メンテナンスや保険料などのランニングコストを売電益で割って回収年数を計算します。
初期費用の回収年数は、ランニング費用や設備の破損、そして産業用太陽光発電ならではの出力制御によって左右されます。
また、産業用太陽光発電の投資費用回収年数は、実質利回りと表面利回りのどちらの数値を使うかによって異なります。
より正確な数値を知りたい方は、実質利回りで計算するようにしてください。
表面利回り=年間収益÷初期投資費用×100(%)
実質利回り=(年間収益-年間支出)÷初期費用×100(%)引用元: 太陽光発電の収益に関わる利回りの計算方法【怪しい罠に引っかからないためには?】 | 太陽光発電所の物件売買ならソルセル
計算式は上記の通りです。
【住宅用太陽光発電の場合】費用回収にかかる期間を左右する原因
①初期費用を抑える!メーカー別の投資回収期間の違い
太陽光パネルメーカーごとの投資費用回収期間は以下の通りとなります。
ただし、太陽光発電を設置する環境によっても発電量は変わります。あくまで参考程度としてください。
設置容量(パネル枚数) | 5.00kW(20枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 197.1万円 |
相場kW単価(税込) | 39.4万円/kW |
回収期間 | 10.88年 |
設置容量(パネル枚数) | 5.15kW (21枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 196.5万円 |
相場kW単価(税込) | 38.2万円/kW |
回収期間 | 10.65年 |
設置容量(パネル枚数) | 5.28kW (24枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 191.3万円 |
相場kW単価(税込) | 36.2万円/kW |
回収期間 | 10.47年 |
設置容量(パネル枚数) | 5.15kW (21枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 195.5万円 |
相場kW単価(税込) | 38.0万円/kW |
回収期間 | 10.39年 |
設置容量(パネル枚数) | 5.58kW (18枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 213.6万円 |
相場kW単価(税込) | 38.3万円/kW |
回収期間 | 10.88年 |
設置容量(パネル枚数) | 5.00kW (20枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 172.9万円 |
相場kW単価(税込) | 34.6万円/kW |
回収期間 | 9.67年 |
設置容量(パネル枚数) | 5.40kW (24枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 181.7万円 |
相場kW単価(税込) | 33.6万円/kW |
回収期間 | 9.70年 |
設置容量(パネル枚数) | 5.28kW (24枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 172.6万円 |
相場kW単価(税込) | 32.7万円/kW |
回収期間 | 9.38年 |
設置容量(パネル枚数) | 5.16kW (24枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 179.3万円 |
相場kW単価(税込) | 34.7万円/kW |
回収期間 | 10.88年 |
設置容量(パネル枚数) | 5.06kW (22枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 181.5万円 |
相場kW単価(税込) | 35.9万円/kW |
回収期間 | 11.22年 |
設置容量(パネル枚数) | 5.28kW (24枚) |
---|---|
相場価格(税込) | 192.5万円 |
相場kW単価(税込) | 36.5万円/kW |
回収期間 | 11.46年 |
長州産業 (Bシリーズ)とカナディアンソーラー、Qセルズの3つのメーカーでは初期投資の回収期間が10年を下回っており、コスパが良いということがわかりますね。
②発電量が多くなる環境
太陽光発電は光をエネルギーに変えるので、当然たくさん光を集められれば、より多くの電気を発電します。
太陽光パネルの最適な設置角度は真南30度とされています。
しかし、緯度によって最適な設置角度が変わったり、周辺の環境によってあえて角度を変えた方が発電量が多くなるケースも少なくありません。
太陽光発電を設置する際は、その地域の環境に詳しく、実績がある太陽光発電施工業者を選びましょう。
③電気代
住宅用太陽光発電は、余剰売電の対象となるので、家庭内で消費しきれなかった電気を電力会社に売ってお金にすることができます。
しかし売電価格は年々下落しており、2021年度の売電価格は19円です。
固定価格買取制度が開始した当初の住宅用太陽光発電の売電価格は42円だったので、下落率は55%となりました。
そのため、
2018年以降に太陽光発電を設置した方は、電気代よりも売電価格が安くなるため、節電した方がより早く初期費用を回収することができるのです。
例えば、売電価格19円/kWhで年間の自家消費量5,500kWhの場合、
年間104,500円の電気代を太陽光発電で発電した電気を利用し削減できるということになります。
このように、太陽光発電の投資回収に関する計算は、初期費用や売電収入、自家消費に伴う電気の削減金額から算出することが可能です。
【産業用太陽光発電の場合】費用回収にかかる期間を左右する原因
①メンテナンスや保険などのランニング費用
産業用太陽光発電はは規模が大きい分、草刈りやパネル清掃の範囲が広く、費用もかかります。
また、4年に1度の定期点検が推奨されているため、さらに点検費用が追加されます。
さらに、産業用太陽光発電は屋外に設置されており、いつ設備が破損・故障したり、盗難被害を受けるかわかりません。
このような予測できない事態に備えて保険に加入しておくことが推奨されています。
保険料もメンテナンス費用と同様、ランニングコストとして実質利回りを計算する際に含まれるため、この部分がどれだけ膨らむかによって、初期費用の回収期間を左右します。
②出力制御
出力制御とは、電気の需要と供給のバランスを保つために、太陽光発電所からの送電を電力会社がストップしたり、減らすことを指します。
出力制御されると、その間売電することができなくなるので売電収入がなくなります。
そのため、費用回収にかかる期間が長引いてしまうのです。
(参考:出力制御について|なるほど!グリッド|資源エネルギー庁)
③設備の破損
太陽光パネル自体の不良や故障の場合、メーカーの保証期間内であれば無料で修理・交換してもらうことができます。
しかし、メーカー保証期間外であったり、パネル自体の破損ではない場合は修理費用が自己負担となってしまいます。
しかも、台風や地震などの自然災害で被害にあった場合もメーカー保証対象外です。
産業用太陽光発電は設備規模が大きいので、その修理費はかなり高額になるのは予想できると思います。
自己負担金額をなるべく減らすために、保険に加入しておくことをおすすめしますが、保険料がかかることから、「多分大丈夫だから、保険には入らなくてもいい」という考えで未加入の所有者も多いです。
しかし、近年増えている自然災害によって、いつ所有している太陽光発電所が被害を受けるかはわかりません。
修繕費を全額自己負担しなければならなくなると考えれば、年間の保険料を負担して、万が一に備えておく方がいいですよね。
まとめ
太陽光発電の投資回収期間は、住宅用太陽光発電は7〜8年、産業用太陽光発電は10〜12年となります。
太陽光発電で利益をより多く得るためには、いかに早く初期費用を回収できるかにかかっています。
初期費用を回収するためには、保険やメンテナンス料金をさらに追加した方がいい場合もあるので、住宅用・産業用のどちらを所有するかに関わらず、太陽光発電を初めて所有する方にとっては調整が難しいかもしれません。
太陽光発電初心者の方は、見積もりの際にランニングコストを含めた実質利回りで計算してもらうように業者に依頼てください。
ただし、業者によっては、見積もりに不要な工事を追加したり、必要な工程を含めなかったりする悪質な業者もあるので要注意です。
“どの業者にしようかな” と思っている段階の方は、優良な業者しか登録できない見積もりサイトの利用をおすすめします。
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