SDGsウォッシュとは|リスク回避の方法とSDGs13番目のゴール気候変動対策

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SDGsウォッシュとは何かを解説する前に、まずはSDGsについて知っていただきたいと思います。

SDGsは、持続可能な社会を目指して、2015年の国連サミットで採択された国際目標です。SDGsは、大きく分けて17の目標(ゴール)が設定されており、169のターゲット(ゴールを目指す具体的な提案・目標)から構成されています。

そのなかでも、13番目のゴールである「気候変動」への取り組みは、今後の地球環境にとって最も重要視されているものです。

SDGsウォッシュはこうしたSDGsの取り組み、特に13番目のゴール達成への取り組みを巧みに利用し、投資家らから資金を集め環境保護とは全く関係のない事業を展開しよとするビジネスモデルです

本記事では、SDGsウォッシュの仕組みや具体例、回避方法について、気候変動の視点から見ていきます。

SDGsウォッシュ・SDGsに関心を持つ方は、是非最後までお読みください。

1.SDGsウォッシュとは

SDGsウォッシュは、SDGsの事業を計画していると金融機関や投資家を欺き、巨額の資金を運用するユニバーサル・オーナーなどの投資家らから、資金を調達するビジネスモデルです

SDGsの13番目のゴールである「気候変動」についても同様で、メガソーラーなど大規模な施設の建設をおこなうといいながら、まったく関係のない事業に資金を投入してしまうのです。

さらに、この問題を複雑にしているのは、SDGsに真剣に取り組んでいるつもりの金融機関が、資金融資した企業がSDGsウォッシュを疑われる事業をおこなっている場合です

この場合、金融機関もSDGsウォッシュに加担していると見なされ、ステークホルダーの信用を失ってしまいます

日本での具体的事例では、メガバンクといわれる3行(三菱UFJFG・三井住友FG・みずほ銀行)が、石炭火力発電事業に出資、加担していることで、G20加盟国らから批判を浴びています。

1-1. クリーンエネルギーの具体的事例

SDGsの13番目のゴールには、「気候変動とその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことが明記されています。

つまり、気候変動を抑えるための対策として、クリーンエネルギーの積極的な導入が目標達成の大きな課題となっており、そのため大きな市場を生んでいるのです。

具体的なものとしては、太陽光発電システム、風力、地熱、バイオマス、水力などが存在しており、なかでも太陽光発電システムはその中心の存在です。

太陽光を利用して地球上のどこででも発電できる太陽光発電システムは、蓄電池の開発によってさらに大きな市場となることが予想されており、それだけにSDGsウォッシュにおちいるリスクも高くなります

何故なら、太陽光発電システムは、メガソーラーから家庭用の小型のものまでラインナップが豊富で、大企業だけでなく中小規模の企業が参入しやすく、SDGsをしっかり理解していない事業者も多いことからSDGsウォッシュとなりやすいのです。

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1-2. 太陽光蓄電池の実用化事例

太陽光発電システム用の蓄電池は一部地域で実用化が始まっており、日本では北海道の苫小牧市にメガソーラーと共に大型の蓄電池が設置され、稼働しています。

この事業用蓄電池は、レドックスフローと呼ばれる仕組みを使ったもので、出力は15MW、蓄電容量は60MWhにのぼり、標準的な家庭の6,000世帯が1日で消費する電力量に相当する世界最大級の蓄電池です。

国内リサーチ会社の2018年の調査では、大型蓄電池の世界市場は自動車向けで3兆9,174億円、電力貯蔵分野向けは8,187億円となっています。

こうして大きな市場に成長していくと予想される太陽光発電システムは、SDGsウォッシュを狙う事業者にとってもうま味のある市場なのです。

1-3. 家庭用蓄電池もSDGsウォッシュの標的に

SDGsウォッシュの標的は大型蓄電池だけでなく、家庭用畜電池もその対象となっています。

2018年までに出荷された家庭用蓄電池は249千台に上っており、国の家庭用蓄電池の補助金制度によって2020年には、さらに大きな市場になると予想されています。

こうした動きは海外でも見られ、ドイツ、イタリア、イギリスといった欧州諸国や、米国やオーストラリアといった国にも広がっています。

アジアでは中国なども積極的に家庭用蓄電池の導入を進めており、2030年には2018年比の3倍にあたる2,617億円になると予想されています。

したがって、こうした巨大市場に目を付けた中小企業が、SDGsウォッシュによって多額の資金を調達しようと考え、その数も増加していくことが予想されています。

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2. SDGsウォッシュに陥るリスク

SDGsはそのカラフルなロゴマークから、ステークホルダーや消費者にも馴染みやすく、それだけにSDGsウォッシュに取り込まれやすいといったリスクがあります。

つまり、上記した気候変動事業に関しても、十分な調査をせずに気候変動に貢献できるならと、SDGsウォッシュに出資を決断してしまうのです

英国のリサーチ会社であるエシカルコーポレーションの2018年の調査に回答したグローバル企業250社のうち、SDGsに貢献していると回答した企業は全体の56%で、具体的な目標を設定している企業はわずか10%でした。

このように具体的な目標を持たない企業は、SDGsウォッシュ企業が持ち掛けるSDGsの13番目のゴールである気候変動プロジェクトの落とし穴にはまってしまうリスクが高いといわれています。

出典: https://www.ethicalcorp.com/risk-sdg-wash-56-companies-fail-measure-contribution-sdgs

2-1. SDGsに取り込まれるリスクとは

実態の伴った活動をおこなっている企業がある一方で、意識的に、または意図せずにSDGsウォッシュになってしまう企業もあとを絶ちません。

一度でもSDGsウォッシュと認定されると、社会的な信用を失い投資家らからの資金調達が困難となるばかりか、ステークホルダーとのコミュニケーションも難しくなってしまいます。

したがって、単に既存の事業にSDGsを紐づけるだけでは真にSDGsに取り組んでいるとはいえず、投資家やステークホルダーを満足させるこはできません。

つまり、SDGsに取り組んでいるという実態を示すレポーティングが、もっとも大切な行動のひとつといえるのです

2-2 企画段階でSDGsウォッシュに陥らないためには

商品を販売するうえで欠かせないものは、テレビや新聞などのメディアを使った広告ですが、広告を作成する前に、企画の段階からSDGsウォッシュに陥っていないか立ち止まって考える必要があります。

この広告の立案、つまり企画の段階で自社にとってふさわしい施策であり、達成可能なものかを見極めることが必要なのです。

まずは、その施策の成果が明確で途中経過が目に見える(報告できる)ものなのかを考えることです。さらに、持続可能な事業であり、自社ならではの施策であるかを熟慮する必要があるでしょう。

こうしたプロセスを踏むことで、企画の段階で自社がSDGsウォッシュに陥いるリスクを回避することができます。

2-3. SDGsを踏まえたコミュニケーション

SDGsウォッシュに陥らないために必要なことのひとつは、「取り組みへの意思表明」と「誠実さ」を重要視することです。

ステークホルダーから、何らかの指摘を受けても誠実に答えられる準備(レポーティング)や、それに対する誠実な対応が求められます。こうした行動は、企業にとって必ずプラスとなり、次回のビジネスチャンスにつながります。

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3. 日本企業の取り組み事例

日本でも多くの企業がSDGsの達成に向けた活動をおこなっており、グローバル企業がSDGsウォッシュに取り込まれないよう、最新の注意を払い活動しています。

具体的な事例としては、グローバル企業である住友化学がSDGsチームを編成し、気候変動の防止などの取り組みを始めました。

SDGsの13番目のゴール(目標)である、気候変動(環境問題)について、人類全体の問題と捉え持続可能な社会の実現のために活動しています。

再生可能エネルギー分野は、今後の成長産業でもあるグリーンプロジェクト(環境問題への取り組み)だけに、過剰な宣伝によりSDGsウォッシュにおちいらないよう、その活動には細心の注意が必要となります。

同社ではエコカーや電気自動車向けに、リチウムイオン二次電池用セパレータ―を開発し、温暖化ガスの削減に向け、中国などアジアを中心に貢献しています。

まとめ

ここまで解説してきたように、SDGsウォッシュを防ぐ一番の方法は施策が身の丈に合った事業であるかを見抜くことです。

これは、投資をする側も資金を調達する側にも共通することで、企業の規模と事業の規模があまりに乖離している場合は注意が必要です。

例えば、太陽光発電システムでメガソーラーを建設するためには多額の資金が必要ですが、気候変動対策といった聞こえのいい言葉に騙されて、企業の規模や実績を無視した投資を検討してはいけません。

また、気候変動へ貢献したいという思いから、自社のパフォーマンスを超えた事業をおこなうこともリスクが高く、SDGsウォッシに陥ってしまいます。

消費者もSDGsのカラフルなロゴマークを見て安易に商品を選ばず、事前の情報収集を怠らないように注意を払うことが寛容です。

SDGsウォッシュは簡単にできてしまう悪質な資金調達の手法であり、また意図せずおこしてしまうものであることを投資家、企業ともに認識しておく必要があるでしょう。

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