近年、自然災害や記録的豪雨によって停電することも珍しくなくなりましたよね。
このような災害をきっかけに、一戸建て住宅に住宅用太陽光発電の導入を検討している方が増えています。
しかし太陽光発電の売電単価は年々低下し、初期費用の回収ができるかどうかが心配で導入まで至っていないケースが多くあります。
確かに売電価格は安くなっていますが、それでも太陽光発電を導入するメリットはたくさんあります。
この記事では、2023年に一戸建て住宅に太陽光発電を設置したら、得するのか損するのかについて、太陽光発電の特徴やメリット・デメリットを踏まえて解説していきます。
太陽光発電は一戸建て住宅にも取り付け可能?
太陽光発電とは、太陽光で発電するシステムの総称になります。
システムには太陽光パネルの他に、パネルで発電した電力を家庭で使えるものに変換するパワーコンディショナーなどが含まれます。
最近では投資目的の大規模なものだけでなく、住宅街の一軒家の屋根にも取り付けられているのをよく見かけるようになりました。
そんな太陽光発電は、システム出力の性能によって住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電の2種類に分けられており、住宅の屋根に設置するのは出力10kW未満の住宅用太陽光発電になります。
そのため今回は、一戸建てに設置可能な10kW未満の住宅用太陽光発電に関して解説していきます。
住宅用太陽光発電のメリットと活用方法
住宅用太陽光発電の主なメリットは売電・節電・非常用電源の3点です。住宅用太陽光発電は、サイドビジネスとして収入を得る手段だけでなく、家計や生活基盤を支えるシステムとしても役立ちます。
①売電して収入を得る
住宅用太陽光発電を設置する主なメリットは、売電収入を得られることです。売電収入は、発電量次第なので、パネルメーカーや設置状況・設置枚数・日射量・日照時間によって変わります。
<例>
出力制御対応機器なし、関東地域に居住、システム容量5kWの太陽光発電システムを2023年に設置(1kWあたり1000kWh/年の発電量と仮定)
2023年の売電単価は10kW未満で16円/kWhなので、年間約8万円の売電収入となります。
売電とは、太陽光を受けた太陽光パネルが発電・パワーコンディショナーで変換した電気を東京電力や関西電力などの大手電力会社へ売る(買い取ってもらう)仕組みを指します。
このように売電できるのはFIT制度(固定価格買取制度)という強みがあるからです。
FIT制度とは、太陽光発電を含む再生可能エネルギーで発電した電気を「固定価格」「一定期間」大手電力会社が買取義務を課す制度のこと。たとえば住宅用太陽光発電を2023年に導入した場合、2023年から10年間は政府が決めた売電価格で大手電力会社が買取してもらえます。
また、住宅用(家庭用)太陽光発電(出力10kW未満)の場合は、家庭で使用した電気から余った電気のみ売電できるルールです。(余剰買取と呼ぶ)
固定価格買取期間は10年間ですが、期間終了後も売電価格は下がるものの売電自体は継続することができます。売電先はご自身で選ぶのではなく、居住地域に合わせて、それぞれの企業へ自動的に振り分けられます。
<例>
・関東に住んでいる:東京電力へ売電
・関西に住んでいる:関西電力へ売電
まとめると、このFIT制度のおかげで、10年間は安定した価格で発電して電力を買い取ってもらえるので売電収入を見込むことができるのです。
②節約して家計を助ける
住宅用太陽光発電で発電した電気は、自宅で使用している家電製品や電気自動車の充電などに使用することができます。
ここで注意してほしいのは、住宅用太陽光発電の場合、発電した電気全てを電力会社に売って利益にすることが不可能だということ。なぜなら、住宅用太陽光発電所の場合は余剰売電が適応されるからです。
全量売電することはできないので、「収益につながらない」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、発電した電気を自宅で使用することで節電できるので、結果的に電気代の節約になり浮いたお金が利益になります。
さらに蓄電池と併用すれば、日中に発電した電気を蓄電池で蓄えておき、夜間に消費することでより節電効果を伸ばせます。
一般的なご家庭は、照明やテレビなど電気機器の使用頻度が高いため、夜間の消費電力も多くなりがちです。蓄電池を併用すれば、夜間に太陽光がなく発電できない状態でも、日中に蓄えた電気を使用すれば買電量を抑えられます。
光熱費が家計を圧迫しているけれど解決策を見いだせない場合は、一戸建て住宅に住宅用太陽光発電を設置してみる選択肢もおすすめします。
もちろん予算が少ないと、100万円単位で費用がかかる住宅用太陽光発電の導入をためらうかもしれません。ただ、2022年の導入でも、設置費用を売電収入で回収できるので検討の価値はあります。また、売電単価が下落傾向といっても現段階であれば、設置費用を10年程度で回収できるだけでなく、その後は利益を残せるので早い段階で導入を決めるべきです。
③災害への備え
2011年の東日本大震災や2019年の台風被害などでは、1週間以上も停電や断水などのライフラインが使えませんでしたよね。
数年以内に首都直下型地震や南海トラフ地震などの大きな地震が起こると言われています。気温上昇により台風の移動速度が遅くなり、より長い時間日本列島上に台風がとどまるとも言われています。
しかし、個人でできるライフライン対策は限定的です。(ろ過装置を使いながら雨水を溜める、備蓄、ガス式発電機の準備など)
まだまだ知らない方も多いですが太陽光発電は、災害への備えとしても力を発揮します。
住宅用太陽光発電があれば、ご自宅の周りが停電していたとしても、太陽光発電自体が故障していなければ、普段と変わらず住宅内へ電気を供給できます。蓄電池も活用することで、冷蔵庫やIHクッキングヒーターなど、家電製品の稼働も1日数時間程度可能です。(太陽光パネルの設置枚数によって変わります)
また、災害時には混乱に乗じた犯罪(家財道具の盗難など)もあるため、太陽光発電の電気で自宅に照明を付けたり防犯装置を起動させたりできるだけでも助かります。
太陽光発電設備のパワーコンディショナーには、停電時に起動する自立運転機能がついているので、災害が発生すると自動的に売電をストップし、自宅へ送電(専用のコンセントから使用)するようになっています。
太陽光発電や蓄電池は複雑な操作をしなくても、非常時に使用できるのも大きなメリットです。
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住宅用太陽光発電の設置費用と補助金
住宅に太陽光発電を設置する際に一番気になるのが、設置費用ではないでしょうか?ここでは住宅用太陽光発電の設置費用の相場をご紹介します。
住宅用太陽光発電の設置費用
設置費用に関しては、設置枚数や工期などで変わります。目安としては1kWあたり25.5万円程度(2024年度の相場予想)です。
トップランナー水準の設定にあたり、これまでの本委員会と同様に、
2022 年に設置された案件の中央値が、2年前(2018 年)に設置された
案件のどの程度の水準に位置するか分析したところ、上位 43%水準に位
置していた。2022 年設置の上位 43%水準は 25.49 万円/kW であり、2023
年度の想定値(25.9 万円/kW)を下回った。
こうしたトップランナー分析に基づき、 2024 年度のシステム費用の想
定値として 25.5 万円/kW を採用することとした。
一般的に、住宅の屋根に設置する太陽光発電の規模は5kW~8kWとされています。つまり、設置費用の相場は25.5万円×設備規模によって求めることができます。
こちらの設置費用は、太陽光発電が注目され始めた2012年前後と比較すると、1kWあたり10万円以上低価格化しています。
(引用:令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)- 経済産業省)
このように、費用も下落し設置に対するハードルが下がっている2023年は太陽光発電を導入するにはうってつけの時期だといえるでしょう。設備費用の回収もおおよそ10年前後で可能です。
相見積もりをすれば設置費用が100万円安くなるケースがある!
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太陽光システムを選ぶ際には、お住まいの家の屋根の形や、どの場所に設置するかが重要となります。
発電効率がもっともよくなる設置方法を素人が考えるのは難しいですが、専門業者への見積もりの段階でそれを考慮してもらうことができれば、より多くの電気を発電することが可能です。
太陽光システムの導入を本気で考えているのであれば、無料見積もりサービスを利用するのがおすすめとなります!
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住宅用太陽光発電に補助金はあるの?
太陽光発電の設置費用が安くなったといっても、100万円以上の大きな買い物に変わりはありません。そのため、導入の際に「補助金などがあればいいのに!」と感じる方も少なくないでしょう。
結論から申し上げますと、地域によっては太陽光発電導入に対しての補助金が出ます!
補助金の内容に関しましては、各自治体によって異なりますので、それぞれの自治体のHPなどで確認してみてください。
令和5年度に利用できる補助金を例として紹介します。
例1.東京都
新築住宅に太陽光パネルを設置の際、1kWあたり12万円(上限36万円。3.6kW超の太陽光パネルの場合、1kWあたり10万円)が補助されます。
また、既存住宅に太陽光パネルを設置する場合は1kWあたり15万円(上限45万円。3.75kW超の太陽光パネルは1kWあたり12万円)が補助されます。
参考:東京都「太陽光発電設備の設置に対する東京都の助成事業」
例2.宮城県石巻市
設置した太陽光発電システム1kWあたりに2万円(上限8万円)の補助金がでます。
参考:石巻市「令和5年度太陽光発電等普及促進事業補助金のお知らせ」
補助金を利用してお得に太陽光発電システムを設置しよう
また、最近では太陽光発電と同時に蓄電池を導入される方が増えていますが、この蓄電池を導入することで補助金がもらえるケースもあります。
蓄電池とは、文字通り発電した電力を蓄えることができる装置で、太陽光発電が発電することのできない夜間にも蓄えた電力を使うことができるという優れもの。
この蓄電池を導入すると、東京都では商品金額の1/6、もしくは1kwhあたり40,000円、または240,000円の3パターンのうちどれか一つの補助を受けることができます。
まとめると、自治体ごとに補助金制度がある場合があり、蓄電池を導入した際の補助金も存在するということになります。
しかしお住まいの自治体で補助金制度を実施しているかわからないという方もいると思います。そんな時に便利なのが太陽光発電一括見積もりサイトです。
ちょっとしたご自宅の情報を入力するだけで、太陽光発電のプロがご家庭に適したメーカーや設置方法を提案してくれます。
住宅用太陽光発電の2つのデメリット
住宅用太陽光発電の導入にあたって、気を付ける点を紹介しておきます。デメリットも理解した上で、設置を検討してくださいね。
①売電単価下落による利回り低下の可能性
住宅用太陽光発電(産業用含む)の売電単価は、太陽光発電システムの普及によってFIT制度開始以降下落し続けています。
そのため、2023年に一戸建て住宅に住宅用太陽光発電を設置する場合は、2022年以前に設置しているケースと比較すると利回りが低くなってしまいます。
【売電単価の比較】
年 | 価格 |
2012年 | 10kW未満:42円 10kW(ダブル発電):34円 |
2023年 | 10kW未満:16円 |
だからといって、売電収入に期待できないということはありません。
固定買取価格制度には10年間の固定価格買取義務があるので、申請年から10年間は同じ売電単価で売電できます。つまり、安定して売電収入を得られる期間が保証されています。
また、初期費用回収期間は約8~10年程度ですので、固定買取期間10年の間で費用回収の見通しも立てられます。
最近では新電力や大手電力会社が、固定買取制度終了後も電力の買取を継続(1kWh:8円~11円程度)することを発表しているので、今後もしばらくは売電収入を得られるようです。
②発電量が一定ではない
住宅用に限らず太陽光発電システムは、発電量が一定ではありません。
晴れの日以外は発電量が低下しますし、晴れの日でも雲の量や日光と太陽光パネルの角度・気温によって発電効率も変化します。ちなみに曇りの場合は、晴れの日の発電量に対して40%~60%程度が見込めます。
しかし、太陽光を遮るものがなく太陽光パネルへ直接当たる(晴れの日:直接光)場合と違い、雲の中で屈折・反射した(散乱光)太陽光はエネルギーが小さくなってしまいます。
当然ですが、夜間は太陽が出ていないので発電量は0です。
そのため、大手電力会社も火力発電や原子力発電に代わる主力発電として活用できないのです。
太陽光発電を設置して赤字にならないようにするには、事前に発電シミュレーションの実施や利回りの計算、日照条件などを確認しておく必要があります。
太陽光パネルは、湿度や温度変化によって発電効率が変わりますし、メーカーによって条件は異なります。
そのため施工担当者や営業担当者へ、太陽光パネルの発電効率と動作環境に関する仕様を細かく確認し、発電効率のいい太陽光パネルを導入したり、居住地域の気温・湿度に合ったメーカーから比較検討したりするのがおすすめです。
住宅用太陽光発電で損しないための6つの対策法
一戸建てに太陽光発電を設置するときに、後悔しないための方法を紹介します。太陽光のメリットを生かすために、チェックしておきましょう!
- 新築一戸建てにパネルを設置する
- 設置する向きや場所を気を付ける
- 相見積もりを行う
- 売電収入のシミュレーションを行う
- 太陽光発電の訪問販売には注意
- 将来的には自家消費型太陽光発電へ切り替えることも視野に入れる
①新築一戸建てにパネルを設置する
太陽光パネルを後付けするよりも、新築一戸建てに設置する方がメリットが多いです。
理由としては、家の設計段階で日当たりの最良なパネルの角度を計算したり、太陽光パネルの設置面積を増やしたりできるからです。
だからといって後付けするのがダメ、ということではありません。後付けしても住宅用太陽光発電を設置できるのはもちろん、東向きや西向きに設置しても一定の発電量は確保できます。
しかし、十分な発電量とはいえないため、蓄電池も同時に導入するのがおすすめです。蓄電池の導入によって、少ない発電量でも電気を蓄えて消費電力の多い時間帯で集中的に活用できます。
ただし注意すべきケースもあります。たとえば年間の発電量が1,000kWhを下回る環境に設置した場合です。
たとえば5kwの出力で、年間の発電量が500kWhの場合は以下の計算となります。
・売電収入:47,500円(年間)=19円×5kW×500kWh
・初期費用(10年間で割った場合):137,500円
・ランニングコスト:15,000円前後
・年間の収支:-105,000円 (=47,500円-152,500円)
<例>
・屋根が小さすぎる
・周囲の障害物によって日陰になる面積が大きい
発電量が少なすぎると、固定買取期間に初期費用を回収できなくなったり、毎年の維持費用コストで赤字になる可能性が高くなるため、住宅用太陽光発電の設置を検討し直したほうがいいかもしれません。
②設置する向きや場所を気を付ける
太陽光発電を効率よく発電するためには太陽光パネルの設置角度も重要です。
一般的に推奨されている角度と向きは以下の通りです。
・設置角度:地面に対して25°~40°(低緯度は角度が低く、高緯度は角度が高い)
・設置向き:南向きに多くの太陽光パネルが設置できるのが特に効率よく発電できる
ただし、推奨されている角度にや南向きに設置できないなどの制限がある場合でも、基本的には日光に対して直角にパネルを設置してもらうことは、立地状況に限らず、原則どのご家庭でも可能です。
また、太陽光パネルを設置する方角は南向きが一番発電効率が良く、どの屋根に設置するかも重要になります。一番効率的に発電できる屋根に設置するように業者の方にもお願いしましょう。
③相見積もりを行う
住宅用太陽光発電をお得に設置するには、設置費用が安くて設置工事技術も高い業者へ依頼する必要があります。
たとえ設置費用が安くても、正しく施工できなければ修理費用がかかる上に、発電不良などのリスクもあり余計な支出が発生します。設置費用が高いと、単純に初期費用回収まで時間が掛かります。
住宅用太陽光発電の設置業者を検討する際は、相見積もりがおすすめです。また、先ほども説明した「タイナビ」や「ソーラーパートナーズ」といったサイトなら、無料で複数社に見積もり依頼ができますので、気軽に利用することができますよ。
相見積もりとは、2社以上の業者へ同時に見積もりを作成・提示してもらい、比較検討する方法です。同時に比較検討できるので、各費用項目の違いを一目で判断できます。
そのため、購入までの準備に手間がかからないのでスピーディに検討・契約・設置が可能です。また、1社のみの見積りでは、費用が高いのか安いのか分からないので、ぼったくりにあってしまう可能性もあります。
まずは、相見積もりで設置業者を探すのが大切です。
④売電収入のシミュレーションを行う
一戸建て住宅への太陽光発電の設置金額を見積りした後は、初期費用を回収できるくらいの発電量が得られるかや、売電収入のシミュレーションをしておきましょう。
最近では、太陽光発電メーカーや施工業者が無料のシミュレーションツールを提供しており、発電量や年間の売電収入が簡単に計算できます。
ここでは売電収入の計算方法と計算例をご紹介します。
【計算式】 売電収入(年間)= 売電単価 × 年間発電量 年間発電量 = 平均日射量 × 365日 × システム容量 × 損失係数 ÷(日射強度は1となるため通常省略) |
【計算例】 売電収入92,272円 = 16円(2023年)× 年間発電量5,767kWh 年間発電量= 3.95 × 365日 × 5kW × 0.8と仮定(発電損失20%) ※東京都、8月の日射量を基準に計算。 |
今回はNEDO太陽光発電導入ガイドブックの計算式を参考にしました。また、日射量のデータは「NEDO日射量データベース」にて確認できます。
簡易的に求める場合は、売電収入(年間)=売電単価×(システム容量×1,000kWh)で大まかな金額を算出可能です。
⑤太陽光発電の訪問販売には注意
住宅用太陽光発電を導入する際は、訪問販売業者に要注意です。
訪問販売業者の中には、悪質な業者も存在していて高額で粗悪なシステムを購入させられるリスクもあります。販売業者だけではなく施工業者も悪質なケースがあり、架台と屋根の間に行う防水工事をしなかったことで雨漏りしてしまったり、配線が間違っていたりといった被害に遭うケースもあります。
過剰な営業・提案をされた場合は、他の業者の見積もりもしてみる、太陽光発電の設置をする予定がないといって断るようにしましょう。
押し切られそうになっても、一度持ち帰って検討することをしっかりと伝えてください。
⑥将来的には自家消費型太陽光発電へ切り替えることも視野に入れる
売電単価は今後も下落すると予想されておりく、固定買取制度もいつまで続くか分かりません。2022年度からは欧米諸国にならってFIP制度という新しい売電制度がスタートします。
しかし2023年に住宅用(家庭用)太陽光発電を導入する場合は、FIT期間の終了後に “自家消費型太陽光発電” へ切り替えるのがおすすめです。
自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を一切売電せずに自宅で全て消費する運用方法です。
売電収入を得られなくなりますが、売電単価の下落や固定買取価格制度終了後を考慮すると、節電するために活用した方がメリットを得られます。
なぜならFIT制度終了後に売電を継続しても、売電単価1kWhあたり8円~10円程度と非常に安くなってしまうだけでなく、いつ終了してしまうかが不明だからです。また、ランニングコストや老朽化によるパネル交換なども考慮すると、節電によってカットできた電気代から捻出するのもおすすめです。
<例>
1kW出力・単価8円で収支を比較(東京電力従量電灯B)
・売電:年間約8,000円の売電収入
・自家消費(2人世帯、従量電灯B40A、毎月150kWhの消費量):年間約30,700円前後の節電(電気料金5,116円/月、発電量80kWh/月と仮定)
ランニングコストは一般的に年間15,000円程度ですので、その他の突発的な補修費用10,000円を足しても、自家消費型太陽光発電で節電した金額(利益)でカバーできます。対して、売電収入の場合は、売電単価に左右されるためFIT制度終了後は不安定です。
自家消費型太陽光発電へ切り替えるためには、パワーコンディショナーを専用の機器へ交換する必要があるため、施工業者へ有料の交換工事を依頼します。
明確な費用・相場は見積もりをとってみないと分からないため、相見積もりにて比較するのがおすすめです。
一戸建てに太陽光発電をつけるのならZEH化住宅もおすすめ
これから一戸建て住宅へ住宅用太陽光発電を取り付けるのであれば、ZEH化も同時に進めるのがおすすめです。
ZEHとは?
ZEHとは、断熱性能向上や室内の環境を良好に保つシステム(フィルター式空調システムや高機能断熱材の設置)を活用することで省エネルギーを実行しつつ、太陽光発電システムなどでエネルギーを生産できる住宅のことです。
太陽光発電の他には、エネファーム(ガスで電気を作る電気機器)やエコキュート(空気を熱して水を温める給湯器)などの最新の省エネ設備を完備しているのもZEH住宅の大きな特徴です。
また、ZEH住宅は、年間の消費エネルギー収支0を目指しているという特徴もあります。
政府が推進している政策の1つで、
①創エネ:太陽光発電などでエネルギーを創り、外部からエネルギーを購入、消費を抑える
②省エネ:省エネ家電や設備を使用するだけでなく住宅性能を高めることで暖房機器などの使用頻度を抑える
③蓄エネ:蓄電池などエネルギーを蓄える機器を設置し、創エネと省エネを更に高める
これらの3つの方針のもと政策への取り組みが行われています。
これまでのように「太陽光発電だけ」「断熱性能の高い家を建てるだけ」といった考え方とは大きく異なり、様々な方向からエネルギーの有効活用ができるので、光熱費 “ゼロ” の実現を目指せるようになります。
住宅用太陽光発電を設置するよりZEH住宅の方がお得な理由
住宅用太陽光発電だけでも、節電効果や売電収入といったメリットがあります。しかし、固定価格買取制度の課題や長期的な運用を考えると、ZEH住宅の方がお得と考えられます。
主な違いとお得な理由を、表でご紹介します。
住宅用太陽光発電の設置のみ | ZEH住宅 | |
期待できる効果 | ・売電収入 ・電気代削減効果 ・非常時の電源確保 | ・光熱費0円を目指せる ・暖房や冷房機器の使用頻度を抑えても快適に過ごせる(ヒートショックリスク低下など) ・非常時の電源確保 ・資産価値の向上 |
ZEH住宅の資産価値の向上とは、BELSの高い評価を得られる可能性のことです。
BELSとは、2016年4月に政府が定めた省エネ住宅に関する5段階の資産評価制度のことで、ZEH住宅にも関係しています。
高い資産評価を受ければ、住宅を売却する際に高値で設定できます。
さらに、ZEH住宅は消費エネルギー0を目指しているため、節電効果をより発揮できる自家消費型太陽光発電との相性の良さも魅力です。
また、通常の住宅太陽光発電の場合、設置後10年間で固定買取が終了するため、長期的な運用を考えた場合ZEH住宅の検討がおすすめです。
まとめ
2023年でも、住宅用太陽光発電を一戸建て住宅に設置すれば、売電収入を得られたり、節約できるのでお得な側面が多いです。
しかし、より多くの利益を見込むためには、初期費用を抑えるために相見積もりをしたり、売電価格の見直しを予測した上で本当に収益がでるのかをシミュレーションしたりしておかなければいけません。
売電価格の下落や固定買取期間終了後などを考慮せずに、住宅用太陽光発電を無計画に設置すると損する可能性もあります。
損する可能性をさらに減らすためには、一戸建て住宅に住宅用太陽光発電の設置を検討するよりも、ZEH住宅の新築もしくはリフォームがおすすめです。
ZEH住宅であれば、自家消費型太陽光発電として長期に渡り運用でき、消費エネルギー収支0を目指せるので、太陽光発電だけを設置するよりもメリットが多くなりますよ!
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