太陽光発電の設置を検討したら、まず太陽光パネルをどこのメーカーで購入するかを決めていきます。その際、太陽光パネルの価格や発電効率は重視すると思いますが、案外忘れてしまうのが “メーカー保証” がどんな内容で何年間は無料なのかという確認です。
通常、太陽光発電の寿命は20〜30年間です。メーカー保証によっては、無償保証期間が10〜25年とかなり差があるので、保証期間外にパネルが故障・破損した場合は自己負担で修理しなければならなくなります。
パネルの交換費用は、一般的に1枚あたり10〜15万円程度なので、数枚のパネルが一気に故障してしまうことを考えると、それだけでゾっとする額になります…。
だからこそ太陽光パネルを選ぶ際には、パネルのメーカー保証までしっかりとチェックしておく必要があるのです!
この記事では、メーカーごとの保証期間や保証内容の比較はもちろん、保証が適用されない悲しいパターンも紹介します……。
万が一の事態に備えて、メーカー保証がきちんと受けられるように準備しておきましょう。
太陽光発電のメーカー保証比較一覧【2023年最新版】
太陽光発電の人気メーカーを調査し、その保証内容を比較表にまとめてみました!品質の高さを売りにしているメーカーばかりですので、全体的に保証は厚いですが、やはり違いはあります。
メーカー名 | 区分 | メーカー保証 | 自然災害 補償 | その他の保証 | |
---|---|---|---|---|---|
システム 保証 | 出力 保証 | ||||
長州産業 | 無料 | 10~15年 | 20年 | 15年 (補償加盟店 から購入) | 施工保証:10年 (雨漏り保証も含む) |
パナソニック | 無料 | 15年 | 25年 | 15年 (補償加盟店 から購入) | – |
シャープ | 無料 (BLACK SOLAR) | 15年 | 20年 | ー | – |
無料 (標準) | 10年 | 10年 | ー | – | |
有料 (まるごと15年保証) | 15年 | 15年 | ー | – | |
Qセルズ | 無料 | 15年 | 25年 | 10年 (補償加盟店 から購入) | 日照補償制度:1年 |
京セラ | 無料 | 10年 | 20年 | 10年 | – |
有料 (トリプル保証) | 15年 | 20年 | 15年 | – | |
カナディアンソーラー | 無料 | 10年 | 25年 | 10年 (補償加盟店 から購入) | – |
有料 (エクストラ保証) | 15年 | 25年 | – | ||
東芝 | 無料 | 10年 | 10年 | – | – |
有料 (20年パワフル制度) | 15年 | 20年 | – | – | |
有料 (15年パワフル制度) | 15年 | 15年 | – | – | |
ソーラーフロンティア | 無料 | 10年 | 20年 | – | – |
有料 | 15年 | 20年 | – | – |
パナソニックやQセルズは他のメーカーと比較すると保証期間が長く、自然災害補償などが付帯しているため、追加で保険に加入する必要がなく、ランニングコストを抑えることができます。
太陽光発電のメーカー保証期間と保証内容
太陽光発電のメーカー保証にはどのようなものがあるのか、詳しく解説していきます。
保証期間
太陽光パネルは、大抵システム保証は10〜15年、出力保証は15〜25年間は無料で保証を受けることができます。
一般的にパネルの寿命は20〜30年(耐用年数は17年)なので、寿命のうち半分の期間はパネルのメーカー保証が対象になります。
また、上記に記載したようにメーカー保証は10〜15年ですが、これは無料の場合の保証期間となり、メーカーによっては、有料で保証期間を延長できることもあります。
システム保証とは
太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの太陽光発電設備が、製造上の問題で故障したり、メーカーの説明書通りに使用していたのにも関わらず故障してしまった場合に、メーカーの保証を受けることができます。
修理はもちろん、パネル自体に問題がある場合は取り替えなども行ってくれます。
パネルや設備を設置する際には、あらかじめメーカー保証の内容を確認しておくようにしましょう。
出力保証とは
モジュール(太陽光パネル)の出力値が、メーカーが規定している最大出力値よりも低くなったときにメーカーが保証するのが出力保証です。
出力保証の対象となった場合は、パネルの交換や修理をし、モジュール(太陽光パネル)の出力をメーカー規定値の最大出力値まで戻してくれます。
出力保証を受ける場合は、規定値を下回っていることを証明しなければならないので、設置後は毎日発電量を記録しておきましょう。
メーカーごとの出力保証の保証期間と保証内容は以下の通りです。
メーカー名 | 保証期間 | 保証内容 |
長州産業 | 20年 | 公称最大出力の90%に対して、1年~10年目で81%未満、11年目から10年間でで72%未満 |
パナソニック | 25年 | 公称最大出力に対して、10年で81%未満、25年で72%未満 |
シャープ | 20年 | 公称最大出力の90%に対して、1年~10年間で90%、11年~15年目で85% |
Qセルズ | 25年 | 公称最大出力に対して初年度98%を保証。2年目以降は毎年0.5%の出力低下を下限に出力を保証 |
京セラ | 20年 | 公称最大出力に対して、1年~10年目で81%、11年~20年目で72%未満 |
カナディアンソーラー | 25年 | ・単結晶 公称最大出力の90%に対して、1年目で97%未満、2年~25年目で実出力の年次の低下が0.7%を下回る場合また、25年目で80.2%未満の場合 ・多結晶 公称最大出力の90%に対して、1年目で97.5%未満、2年~25年目で実出力の年次の低下が0.7%を下回る場合また、25年目で80.7%未満 |
三菱電機 | 25年 | 公称最大出力の90%に対して、1年~20年目で80%、21年~25年目で72%を下回る場合 |
東芝 | 10年 | 公称最大出力の90%に対して、10年間で90%未満 |
ソーラーフロンティア | 20年 | 公称最大出力の95%に対して、1年~10年目で90%未満、1年~20年目で80%未満 |
自然災害補償
台風や地震などで、太陽光パネルが故障・破損したり、破損したパネルが人にあたって怪我をさせてしまったりという場合に、修理費や治療費を補償してくれるのが自然災害補償です。
通常、メーカー保証には自然災害補償が付帯していないことが多く、自然災害における補償を対象にしている任意保険に加入する必要があります。
メーカーごとの珍しい保証
メーカーによっては、特殊な保証を付帯しているケースもあります。
例えば、Qセルズの場合、『日照補償制度』という制度があり、気象庁が公表する年間日射時間が基準値よりも下回った場合に、不足した発電量を補償してくれます。
悪天候が続いたり、大型台風が頻発している近年は、このような制度はあると安心して太陽光発電を始めることができます。
他にも、工事後の雨漏りなどの不具合や破損を保証してくれるメーカーもあります。
パネルを選択する際は、パネルの価格や発電効率はもちろんのこと、保証内容もしっかりと確認しておきましょう。
メーカー保証が無効・適応外になるケース
通常太陽光パネルを購入するのは、個人ではなく施工会社です。なので、きちんとした施工会社に設置を依頼すれば、メーカー保証の対象となります。
しかし、中にはメーカー保証が受けられないケースもあるんです…。
①メーカーが認定していない会社から購入した
太陽光発電システムにおける販売店(施工会社)とは、そのメーカー(例えばパナソニック)の施工研修を受講して、IDと呼ばれるメーカー認定の免許を取得した業者のことをいいます。
近所で長年やっている工務店でも設置工事はできるかもしれませんが、メーカーの認定を受けていなければ “太陽光発電の販売店” ではありません。
ただし、設置をしてはいけないという決まりはないので、自分で太陽光パネルなど一式を独自に購入したあと、知り合いの工務店や電気工事士などを手配して設置してもらうことはできます。
また、しかるべき手続き等を行い、自分で太陽光発電システムを作ってしまうことも違法ではありません。
しかしながら、以上のような方法で太陽光発電システムを作った場合、メーカー保証は無効となります。
なぜなら太陽光パネルの販売店がメーカー基準を満たした住宅や発電所に、正しい工事と手続きを行ってはじめて、メーカー保証の対象となるからです。
したがって、メーカー認定を受けていない施工は、製品個々の部分的な保証は有効かもしれませんが、システム全般としてみた場合の保証はないので注意しましょう。
なぜこのような話をするかというと、実際に(ごく稀にですが)太陽光発電を自作される方がいるのです。このような場合、せっかく太陽光発電所を作ったのに、後々システムに異常が起こったときに責任の有無や保証問題などに直面してしまうという声が多く聞かれます。
太陽光発電は、大切に使えば20~30年と長期間使用できます。上記のようなトラブルを避けるためにも、メーカー認定を受けたプロ(太陽光発電の販売店)に設置を依頼してくださいね。
②メーカー保証では保証適応外になるのはこんなケース!
先ほども説明しましたが、
台風や地震などの自然災害の場合、メーカー保証では保証の対象外となるパターンが多いです。
メーカー保証で対応できない範囲については保険に加入してカバーしておきましょう。保険は任意なので、絶対に入らなければいけないわけではありませんが、もしもの時の備えがあるのはとても心強いです。
他にも、パネルが破損して発電できない場合に、稼働できるまでの間の売電収入を補償してくれる保険もあります。
当然ですが、太陽光発電所が稼働できない間の売電収入はゼロです。融資を受けていて売電収入で返済している場合は、返済が滞ってしまうかもしれません。
そんなときに売電収入を補償してくれる売電利益補償の保険に加入していれば、返済も問題ありません!
時々、「メーカー保証があるからうちの発電所は大丈夫!」だと思っている方がいますが、メーカー保証だけではカバーできない内容もあるので注意しましょう。
太陽光パネルの保証に関するよくある質問
太陽光発電の保証について、気になる点についてまとめました。太陽光発電システム購入前に、確認してくださいね。
太陽光発電システムの保証外のトラブルにはどう備える?
メーカー保証外のトラブルには、以下のような保険で備えることができます。住んでいる地域やニーズに合わせて選んでください。
火災保険
屋根の上に設置している太陽光パネルは、火災保険の補償対象です。新築ではなく、後付けで太陽光発電システムを導入した場合は、火災保険の契約を見直すようにしてください。
地震保険
地震・噴火・津波などの被害に備えるためには、地震保険への加入が必要です。火災保険や、メーカー保証の自然災害補償では補償されません。地震の被害想定地域にお住まいの方は検討してみてください。
損害賠償保険
強風でパネルが飛び、第三者へ損害を与えたなどの賠償には、損害賠償保険で備えられます。
基本的に、太陽光パネルは風速60mの大型台風レベルの風にも耐えられる設計になっていますので、そこまで心配することはありません。ただし、施工不良やメンテナンス不足では被害が出てしまうことも考えられます。
風の強い地域の方は、加入を検討しても良いでしょう。
太陽光発電システムの保証書がない場合は?
太陽光発電の保証申請は施工業者が行います。施工完了後に保証書がもらえない場合は、業者が申請を忘れている場合もあるので、一度確認してみましょう。保証書は大切に保管するようにしてください。
施工完了後は保証書を受け取ったけれど、紛失してしまったという場合は、施工業者もしくはメーカーの問い合わせ窓口に連絡しましょう。保証書の再発行ができたり、保証書がなくても補償をしてもらえたりすることもあります。
太陽発電の保証を使いたい場合はどこに申請すればいい?
保証で対応したいということは、どこかに不具合が生じていると思います。まずは、太陽光発電設備を導入した際の、販売店や設置業者に連絡し、修理を依頼してください。
機器の異常や使用状況の確認を業者が行い、故障個所がメーカー保証の適用内だった場合、メーカー保証が使えます。
メーカーによっては、修理申込窓口を設置しているところもありますので、電話やWEBで相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
太陽光パネルは、寿命が長く大切に使えば20年以上も持ちます。
何事もなく20年が経過すればいいですが、20年間のうちに何が起こるかは予測できません。太陽光パネルが寿命を全うするまで安心・安全に使用するためには、メーカー保証の対象期間や保証内容を事前に把握しておくことが大切です。
保証の内容を知らなければ、
「もしかしたら故障かもしれないけど、修理のお金がもったいないし、発電はしているから様子を見よう……」
このように、逆に損をするもったいないケースに直面してしまうかもしれません。
また、「メーカー保証があるから大丈夫!」と、保険に加入してなければ、災害時などの破損に対応できず、思わぬ出費に苦しんでしまう可能性もあります。
太陽光発電を安心・安全に稼働し、より多くの利益を生み出すためには、メーカー保証と保険の組み合わせがベストです!
とは言え、メーカー保証の内容を知らなければ意味がありません。購入前に忘れずに確認するようにしてくださいね!