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住宅用も産業用太陽光発電も自家消費型に移行する時代へ【ホントに売電するより得?】

再生可能エネルギーの普及のための施策の一環として、国は固定価格買取制度(FIT)を運用していますが、ここ数年で状況が変わりつつあり、太陽光発電利用者も方向転換を考えるようになっています。

その状況というのは、固定買取価格が年々下落傾向しているということです。要因は、太陽光発電の製造コスト低下など様々ですが、それ以上に売電価格の低下が進んでいることから、売電収入を軸にした運用は厳しいと考える方も増えています。

このような背景から、近年は個人・法人問わず、全量自家消費型太陽光発電に注目が集まっています。

今回は、全量自家消費型太陽光発電の概要とメリット・デメリット、そして固定価格買取制度と売電の関係について解説していきます。

自家消費型太陽光発電とは?

自家消費型太陽光発電は、電気の使用方法で大きく2種類に分けられます。

完全自家消費型

完全自家消費型は、太陽光発電で発電した電気すべてを家庭内(産業用の場合は企業や工場内)で使用する方法です。

蓄電池との併用で、夜間でも発電した電気を使用することができるので、大幅な電気代の削減やCO2の排出を抑えることができます。

また、電気の需要と供給のバランスを保つための出力抑制の影響を受けないため、「せっかく発電したのに、売電できない…」ということになりません。

余剰売電型

余剰売電型は、発電した電力を家庭や自社内で消費し、余った電気を売電する仕組みです。 

電気代を削減できる上に売電収入を得ることができるので、利益が増え、初期費用の回収スピードも早いです。

自家消費型太陽光発電の3つのメリット

自家消費型太陽光発電を導入すると、次のようなメリットがあります。

  1. 電気代が安くなる
  2. 非常時でも電気が使用できる
  3. 節税できる

詳しく解説していきましょう。

①電気代が安くなる

太陽光発電で発電した電気を自家消費することで、これまで電力会社から買電していた分の電気代を浮かせることができます。

蓄電池を設置していれば、夜間の太陽が沈んでいる時間帯でも蓄電池に貯めた電気を使うことができるので、買電する電気量を大幅に抑えることができます。

その結果、月々の電気代が安くなるというわけです。

売電する場合と自家消費する場合、どのくらいの金額差になるかは後ほどシミュレーションしていきます。

早く知りたい!という方は、こちらからどうぞ。

②非常時でも電気が使用できる

台風や地震などの自然災害の影響で電気や水道などのライフラインが止まってしまう可能性があります。

2019年の台風15号を例にあげると、被災地では長期に渡って停電や断水が起こりましたよね。

電気が使えないため必要な情報が手に入らなかったり、断水の影響で飲用水や生活用水が足りず、被災地に住む方々は大変つらい想いをしたと思います。

このような災害時でも自宅や企業に太陽光発電設備を設置していれば、太陽が昇っている間は電気を使うことができます。

さらに、蓄電池やエコキュートを一緒に設置している場合、夜間でも電気を使えたり、お湯を沸かすこともできるのです。

③節税できる

10kW以上の産業用太陽光発電の場合、自家消費すれば、生産性を高めていると評価され事業用資産として認められます。

そのため、国に申請をして事業用資産であると認定を受ければ、固定資産税の減税対策ができます。

太陽光発電と節税対策はあまり結びつかないかもしれませんが、固定資産税だけではなく、減価償却もできるので、中小企業をはじめとした法人企業の注目を集めています

自家消費型太陽光発電のデメリット

太陽光発電は日中の太陽が出ている時間帯に発電します。曇りや雨の日は発電量が低下しますが、発電自体はできます。

しかし、夜間の太陽が出ていない時間帯には発電することができません。

そのため、夜間に稼働している工場や設備を稼働しなければいけない事業にとっては、全量自家消費型太陽光発電を導入してもあまりメリットを見出せないと感じる方もいるはずです。

この場合、太陽光発電と蓄電池をセットで設置することで、日中に発電した電気を使用することはできます。

ただ、それでも “蓄電率 = 発電率” というわけにはいかないので、蓄電した電気をすべて使うことはできません。

蓄電効率は、一般的に80%とされているので、20%程はエネルギーロスが発生してしまいます。したがって、夜間に機械設備などを稼働させる事業よりかは、日中に稼働させている事業の方が自家消費のメリットを得やすいです。

これからは売電よりも自家消費型がお得になる

少し前までは、太陽光発電と言えば売電収入で利益を得るという印象が強かったのではないでしょうか。

しかし、今では発電した電気は自家消費に充てた方がお得になっており、今後もその傾向が強くなると考えられます。

電気代は高くなる

東日本大震災以降、電気料金が年々高くなっています。電力自由化の影響で一度は値上がりも落ち着きましたが、燃料費高騰の影響などによりまた値上がりしています。

2023年現在、東京電力(従量電灯B)の電力量料金単価は、1kWhあたり30~40.69円です。

一方で、2023年度の売電価格は先ほども触れた通り、

住宅用太陽光発電(10kW未満):16円

産業用太陽光発電(10kW以上50kW未満):10円

産業用太陽光発電(50kW以上入札制度対象外):9.5円

となります。

となると、売電するよりも電気代を浮かせるという意味で、太陽光発電で発電した電気を自家消費するほうが得になるということがわかります。

電気料金30~40.69円 > 売電価格16円(住宅用)、9.5〜10円(産業用)

このように並べてみるとよくわかるかと思いますが、売電するよりも家庭内・企業内の電気として消費し、電気代の支払い額を減らした方がメリットが大きく、得するというわけです。

FIT価格で売電するよりもお得

FIT制度が開始した2012年の売電価格は、住宅用太陽光発電は48円、産業用太陽光発電は24円でした。

しかし、2023年度には住宅用太陽光発電は16円、産業用太陽光発電は10kW以上50kW未満は10円(余剰売電)、50kW以上(入札制度対象外)は9.5円(全量売電)まで価格が下がっています。

売電価格が下がった理由は、太陽光発電が良くなかったというものではなく、FIT制度が始まった当初、高額だった設置費用が、技術の進歩で設置費用が安価になったことに加え、発電効率もかなり良くなったことにあります

とはいえ、これ以上売電価格が下がると、これまでのように収益が出なくなると思う方も増えるでしょう。

しかし太陽光発電は、売電価格9.5~10円となった2023年度の価格でも20年間で初期費用を回収し、利益を出せると言われています。ただし、固定価格買取期間が終了したあとはFIT制度の後ろ盾がなくなる分、電気を買い取ってもらう電力会社の買取価格に従わなければなります。

なお、買取価格は8円程度になると予想されています。

4人家族を例とし、2023年度の価格でどのくらい利益差がでるか計算してみましょう。

4人家族の1ヶ月の平均電気使用量は450kWhです。電気料金は東京電力の従量電灯Bで計算しています。(実際は電力料金のほかに基本料金がかかります。燃料費調整単価・再生可能エネルギー促進賦課金は考慮していません。)

<条件>

  • 5kWの太陽光発電を設置
  • 1kWあたりの1日の発電量:約3kWh
  • 1日の合計発電量:約15kWh
  • 1ヶ月の合計発電量:約450kWh
  • 1kWhあたりの電力量料金:30~40.69円
  • 1ヵ月あたりの電力量料金:16,291円
  • 1kWhあたりの売電価格:16円

【完全自家消費の場合】

電力量料金:0円
売電収入:0円
合計利益:0円

【余剰売電(250kW自家消費とする)】

電力量料金:8,358円
売電収入:4,000円
合計利益:マイナス4,358円

上記を比べるとわかるように、現在の売電価格・電気料金では、完全自家消費するほうがお得だということがわかると思います。実際の電力量料金には、燃料費調整単価と再生可能エネルギー促進賦課金が加算されるので、さらにお得です。

固定価格買取期間が終わると売電価格が下がってしまうので、その後も自家消費で電気料金を削減した方がメリットが大きくなります。

また、初期費用の回収も売電するより完全自家消費する方が早いです。

ポイント支払い

2016年から始まった電力自由化により、多くの企業が電気事業に参入してきました。

中には、家庭内で使いきれなかった電気を買い取ってくれる新電力もあります。

例えば、ENEOSで有名なJXTGエネルギーは、2020年1月にFIT期間が終了した住宅用太陽光発電の余剰電力をTマネー(Tカードにチャージして使う電子マネー)として買取することを発表しました。

キャッシュレスの推進と消費税増税に伴い、電子マネーやクレジットカードで支払いをすれば、2020年6月末までポイント還元されますよね。

余剰電力の買取を現金ではなくポイントで行うことで、よりお得になる仕組みです。

FIT期間が終了した住宅用太陽光発電を所有している方は、賢く自家消費するために、このようなサービスの利用を検討するのもいいでしょう。

自家消費型太陽光発電でお得にするためのポイント

自家消費型太陽光発電を実現するためには、以下のようなポイントを押さえておきましょう。

太陽光パネルの向きや角度

自家消費でメリットを得るためには、発電量が多いに越したことはありません。

なぜなら、使える電気の量が多い方が電力会社から買電する量も減り、無駄なコストがかからないからです。

一般的に、発電にもっとも適している太陽光パネルの向きは南向き、角度は30度と言われています。

ただし、緯度や発電所の周りの環境よっても最適な向きや確度は変わりますので、施工会社との十分な打ち合わせと発電量のシミュレーションをしておきましょう。

蓄電池やエコキュートと一緒に設置する

日中発電した電気を蓄電池に貯めておくことで、電力会社から買電しなくても、発電量が少なくなる悪天候時や太陽が沈んで発電できない夜間帯でも電気が使えるようになります。

1日を通して発電した電気が使えるので、せっかく発電した電気を無駄にすることもなく、買電しなくてもいいので、より電気代を節約することができます。

また、電気を使ってお湯を沸かすエコキュートも一緒に設置することで、さらに電気代を安く抑えられます。

電気代が安い夜間帯にお湯を沸かしておくことで、日中に使用することができます。

つまり、電気代だけではなくガス代も削減することができるので、光熱費自体が安くなるということです。

自家消費型太陽光発電でより利益を出すには、太陽光発電だけではなく、蓄電池とエコキュートを併用するのがおすすめです。

これからはストレージパリティ実現のために太陽光発電は追い風に

「ストレージパリティ」とは、太陽光発電システムに蓄電池を導入した方が、導入しない場合よりも経済的にメリットがある状態のことです。

太陽光発電と蓄電池を組み合わせると、昼に発電した電気を貯めておいて夜間に使うことができ、太陽光発電由来の電気で全ての電気を賄う状態を目指すことができます。

2050年までにカーボンニュートラルな社会を実現するために、ストレージパリティの促進は欠かすことができません。

環境省ではストレージパリティ達成のための補助金事業を行うなど、太陽光発電と蓄電池の同時導入に力を入れています。

このような社会の流れは太陽光発電に追い風となり、今後も蓄電池と併せて普及が進むでしょう。

まとめ

太陽光発電は、導入の費用がかかることや売電価格が低下しているといった課題がまだまだ残されています。

しかし、補助金を受ければ初期費用を抑えて導入することができたり、税金対策になると考えればメリットも大きいです。

全量自家消費型太陽光発電として適切に運用できれば、自家消費型を軸にして電気代削減でき、長期的にはかなり利益を生み出すことができます。

ただし、全量自家消費型太陽光発電の場合、売電を行わないため太陽光パネルが多ければ多いほどいいというわけではなく、電力使用量に対して適切な施工が必要となります。

売電型の太陽光発電よりも難しい運用となりますが、固定買取価格の下落傾向が続く現状では全量自家消費型太陽光発電を検討する方がいいでしょう。

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