エコキュートが発売されてから20年近くの年月が経とうとしていますが、より注目を集め出したのはつい最近のことです。
エコキュートを導入すると光熱費の削減ができたり、災害時でもお湯や生活用水が使えるといったメリットがあります。
しかし、まだまだ価格も高く導入するのを躊躇している方が多いのも事実です。この記事では、エコキュートの仕組や、なるべく価格を抑えて導入できるように補助金制度や交換費用などについても解説していきます。
エコキュートとは
エコキュートは、空気中の熱を利用してヒートポンプ技術を駆使してお湯を沸かす、地球に優しい給湯器です。
沸かしたお湯は、お風呂やキッチンなどで使用することができるので、地球に優しいだけではなくガス代の節約にもなるので家計にも優しいことから、近年注目されています。
近年注目されている理由は、エコで家計の助けになるというのはもちろんですが、災害対策として導入する家庭が増えているからです。
エコキュートの仕組み
出典:ダイキン
エコキュートは大きくわけてヒートポンプと貯水タンクに分かれます。
ヒートポンプは、大気中の熱を組み上げて温めたり冷やしたりするエコキュートの中心となる部分です。
ガスを使ってお湯を沸かすよりも、ヒートポンプの熱を使ってお湯を沸かす方が大幅にCO2の排出を抑えることができます。
一方、貯水タンクは沸かしたお湯を貯めておく容器のことです。
ヒートポンプ側に内臓されている水熱交換機を通して、水からお湯を作り貯水タンク側へと移します。
貯水タンクに溜まったお湯は日常生活で使用することができる他、災害に断水してしまった場合に生活用水として使えます。
エコキュートの設置費用・工事費はどのくらい?補助金はもらえる?
設置費用・工事費用
エコキュートの本体価格は容量によって異なりますが、50〜90万円程度です。本体価格以外に工事費用で20万円ほど追加でかかります。
初期費用がかかるので、導入を躊躇している方も少なくないと思いますが、地域によっては自治体から補助金を受け取ることができます。
補助金申請について
エコキュートを導入するにあたり、補助金制度を活用することができます。
エコキュートの補助金制度は自治体ごとに行なっているものなので、お住まいの自治体のホームページや電話での問い合わせで詳細を確認するようにしましょう。
補助金の申請は着工前です。万が一、補助金の申請に通る前に着工してしまうと、補助金が受け取れなくなる可能性もあるので、工事日程を決める際には補助金の申請許可との兼ね合いも考慮しておく必要があります。
補助金内容の例として、
東京都の場合、補助金として現金を受け取るのではなく、『東京ゼロエミポイント』として付与されます。
三鷹市の場合、エコキュートの導入で10,000ポイントが付与されます。
この東京ゼロエミポイントは、JTBギフトカードやLED割引券に交換でき、ショッピングセンターなどで使用可能です。
また、兵庫県宝塚市では、エコキュートを設置すると10,000円の補助金が受け取れます。
このように地域によって、補助金額や補助方法が異なります。申請期間も決まっているため、補助金申請を検討している方は事前に確認しておきましょう。
補助金申請に必要な書類
エコキュートの補助金申請のために必要な書類は以下の通りです。
- エコキュートの設置の見積書または契約書の写し
- エコキュートの形状や規格などの資料(カタログ)
- 申請者の住民票または運転免許証の写し
- 環境にやさしい生活宣言書
- エコキュートを設置する住宅の位置図または住宅地図の写し
- 市町村税を滞納していないことを証明できる書類(納税証明書など)
書類に漏れがあった場合、申請ができなくなることもあるので、事前にしっかりと準備しておきましょう。
【エコキュートの寿命・耐用年数】交換時期と費用はどのくらい?
エコキュート自体の寿命は、約10〜15年と言われています。ただし、普段の使い方やメンテナンスによって寿命が左右されるケースもあるため、一概に10〜15年とは言えません。
さらに、エコキュートは部品によって寿命が異なります。
大気中の熱をエネルギーに変えるヒートポンプの寿命は、約5〜10年です。エコキュートの中では重要な役割なので、ヒートポンプが故障すると、お湯を沸かせなくなる可能性もあります。
そのため、エコキュートが寿命を迎える前に先に、ヒートポンプが寿命を迎え交換しなければならなくなるでしょう。
交換費用は、約15万円です。
保証期間中であれば無料で修理・交換ができるので、修理依頼前にはメーカー保証を確認するようにしてください。
エコキュートには、ヒートポンプだけれはなく貯水タンクも欠かせません。
貯水タンクの寿命は約10〜15年です。エコキュートの寿命と同じくらいですね。貯水タンクの修理・交換には30万円程度の費用がかかります。
この場合、交換するよりもエコキュート自体を買い換えた方が安くつくパターンもあるので、修理前にメンテナンス会社や見積もり会社に相談するのが得策です。
エコキュートの電気代は高い?
エコキュートの電気代は月々だいたい約1,250円、年間にすると15,000円程度となります。
これだけみるとやや高いと感じるかもしれませんが、エコキュートを導入するとお湯を沸かすことができるので、ガス代が節約できます。またお湯を使わないときには自動沸き上げモードを停止したり、季節によってモードを使い分けることでエコキュートにかかる電気代が節約可能です。
エコキュートの3つの選び方
①地域によって選ぶ
エコキュートは使用する地域によって種類を選びます。
⑴一般地域:最低外気温がマイナス10℃を上回らない地域
外気温がマイナスになる場合、凍結防止工事が必要となります。
⑵塩害地域:海浜・臨海地区で海から300メートル〜1キロメートル離れた地域
塩害地域の場合、防錆・防腐対策がされている対重塩害仕様のヒートポンプを設置しましょう。
⑶寒冷地域:最低外気温がマイナス25℃を上回らない地域
外気温がマイナス15℃を上回る地域の場合、室外の設置は凍結のリスクが高いため、室内に設置します。
②家族人数で選ぶ
人数 | 容量 |
2〜5人家族 | 370L |
4〜7人家族 | 460L |
5〜8人家族 | 560L |
容量の目安は上記の通りですが、お湯の使用量が増えることが見込まれるのであれば、お湯切れが発生してしまう可能性があるので、あらかじめ1つ大き目の容量を選ぶことをおすすめします。
せっかく節約のためにエコキュートを導入したのに、お湯切れが発生してしまうと追加でガス代がかかってしまうので、結局光熱費が高くついてしまうという事態になってしまうことも考えられます。
③お風呂タイプで選ぶ
自動給湯器(お湯張り、足し湯、追い炊きなどが全て自動)のフルオートのお風呂か、給湯専用(蛇口を捻って自分でお湯を足すタイプ)のお風呂かを選びます。
フルオートの場合、湯量や湯温の調整が自動でできるので、家族が多いご家庭やお風呂に入る時間がバラバラになることの多いご家庭におすすめです。給湯専用の場合はご自身で調整する手間がかかりますが、フルオートに比べて価格が安いので、初期費用を抑えて導入することができます。
エコキュートのおすすめメーカー
①パナソニック
出典:パナソニック
パナソニックでは一般地域と寒冷地域向けのエコキュートを販売しています。
パナソニックのエコキュートの特徴は、浴室に人が入ってくると感知し、加熱を開始する『エコナビ』と、夜間の炊き上げの際の費用を節約する『ぬくもりチャージ』です。
その他にも、太陽光発電で発電した電気を使用してお湯を沸かす機能が付いている製品もあります。
太陽光発電を設置している方や今後設置を検討している方は、発電した電気を無駄にすることなく自家消費が可能となります。
そのため、卒FITしたご家庭や電気代の値上がりを受けて、電気代をもっと節約したいというご家庭に、パナソニックのエコキュートは特におすすめです。
②三菱
出典:三菱
三菱のエコキュートはご家庭のお湯の使い方を学習して、それぞれのご家庭にぴったりのの湯量に調整してくれる高機能なエコキュートです。
さらに、節電モードやお急ぎ湯張りモードなど他のメーカーにはないような機能が付いています。
節電モードを使用することで、お湯張りにかかる時間を25%程度短縮することができます。節電できるだけではなく時間の有効活用もできるので、共働きでお忙しいご家庭におすすめです。
③コロナ
出典:コロナ
コロナは世界で初めてエコキュートを開発した実績と歴史があるメーカーです。
災害に対応できる設計になっており、耐震性が高く、停電時でもお湯が使えるようになっています。
自然災害の多い日本という地形にぴったりなコロナのエコキュートですが、他にも高圧
パワフル給湯なので、2階や3階にお風呂が設置されている場合でもシャワーの圧が弱まることなく使用することができたりと、生活をより快適に送るための設計となっています。
導入前に知っておきたいエコキュートに関するQ&A
①騒音トラブルになるリスクはある?
エコキュートの運転音は40dBほどです。
「一般的に静かだな」と感じるのは45dB以下だと言われています。
基本的にエコキュートは夜間稼働させてお湯を作るので、静かだなと感じるレベルの音でも、みなさんが寝静まった深夜帯に音が聞こえると「うるさい」と感じる人もいるかもしれません。
設置場所を寝室から離れた場所にしたり、近所トラブルにならないように設置前に説明をしておけば問題発生リスクは最小限に抑えられます。
②水圧が弱いって聞いたけど本当?
エコキュートはお好みの水圧のタイプを選ぶことができます。
高圧タイプのエコキュートを選べば、シャワーの圧が弱いと感じることはないでしょう。
また、浴室を設置している階数によっても高圧給湯器を選択した方がいい場合もあるので、見積もりの際に浴室の設置階数と好みの水圧を考慮してもらうように伝えてくださいね。
③雪国でも設置できる?
エコキュートの選び方の章でも説明しましたが、最低外気温によっては屋外に設置すると凍結の恐れがあります。
この場合は、事前に対策をしておかなければなりません。
屋外に設置する場合、軒先に設置すると屋根からの落雪によりエコキュートが故障する可能性があるので、落雪しない場所に設置したり、エコキュートに屋根をつけたりといった対策をしましょう。
④メンテナンス・水抜きは簡単にできる?
エコキュートの日常的なメンテナンスはフィルターの掃除や配管洗浄などです。
通常の掃除と同じなので、特に労力のいるものはありません。
しかし半年に1回ほど、漏電遮断器の点検や逃し弁の作動点検、タンク内の掃除が必要になります。とはいえ、説明書通りに行えば難しいことは何もないので、すぐに点検することができます。
もしも故障が疑われる場合は、メーカーに問い合わせしてください。
⑤サイズはどのくらい?置き場所はどこが最適?
ヒートポンプと貯水タンクを設置するスペースが必要です。
壁から何センチは離して設置しなければいけないという決まりがメーカーごとにあるので、事前にどこにおくのかを考えておかなければなりません。
エコキュートの大きさは、設置する容量によっても違うので採寸は必須です。
設置場所は先ほど説明したように、寝室の近くは避けるのが望ましいです。
基本的には、キッチンやお風呂などのお湯を使う場所の近くにエコキュートを設置すると便利だと言われています。エコキュートから蛇口までの距離が近ければ近いほど、お湯が到達するまでの時間が短くなり、家事の時間を短縮することが可能です。
まとめ
エコキュートは導入費用がかかる分、設置をすることに足踏みしてしまっている方もまだまだ多いです。
しかし、電気代が値上がりしている今だからこそ、光熱費が家計を圧迫する前に備えておく方が後々お得になるでしょう。
また、太陽光発電と合わせて、エコキュートや蓄電池を設置するのもおすすめです。
太陽光発電で発電した電気を使用するので、電気代・ガス代を大幅に削減して光熱費を浮かすことができるからです。
これから “電気をつくる・電気を使う” は自宅ですべて賄う時代になる可能性はかなり高くなるでしょう。
1年後、2年後ではなく、10〜15年後の長いスパンで考えてみることをおすすめします。