2016年に一般家庭向けの電力自由化が始まり、いろいろな電力会社が電気事業へ参入しましたよね。これを機に、多くの人が電力自由化を意識するようになりました。
しかし、実は法人向けの高圧電力は、2004〜2005年から電力自由化に向けた取り組みが始められており、一般家庭向けの電力に比べて多くの実績があります。
とはいえ、高圧電力の新電力は供給エリアが全国区でなかったり、料金プランが少なく、安くなるどころかかえって電気代が割高になってしまうケースも多いです。
この記事では、法人向け高圧電力に対応している新電力の選び方やおすすめの電力会社のご紹介をしています。
法人向けの高圧電力を見直す際の注意点
法人向け高圧電力の見直しを決めた場合、いきなり契約の切り替えやアンペア数の変更をするのはやめたほうがいいです。
なぜなら、新電力に切り替えると電気代が必ず安くなると思っている方が多いですが、そうとも限らないからです。
基本的には、事前に見積もりサイトや各新電力会社のホームページから、電気料金・プランのシミュレーションをすれば安くなります。
しかし、電気料金プランは複雑化しているという側面があり、見落としや勘違いが原因で、せっかく新電力に切り替えたにも関わらず、かえって割高になるケースがあるので要注意です。
切り替え後に割高になる原因【高圧電力と低圧電力の違い】
高圧電力と低圧電力は、
・契約電力
・キュービクルの有無
・電気を変圧して使うかそのまま使うか
この3点が異なります!
一般家庭のような低圧電力の場合、契約電力は50kW未満となりますが、工場やオフィスビルのような高圧電力は50kW以上です。
低圧電力の場合、発電所から使用箇所(自宅など)に送電する過程で、電圧を徐々に下げ、最後に使用箇所の近くの電柱に設置されているトランスという変圧器で電圧を100Vと200Vにした電気が供給されるので、共有された電気をそのまま使用します。
一方、高圧電力の場合、電力会社から送電された電気はトランスの手前で電圧6,600Vまで下げられます。その電気を自社内や施設内のキュービクルという受電設備で受電し、キュービクルによって電圧を100Vと200Vに変圧した電気を使用する仕組みです。
キュービクルが必要となるのは高圧電力のみです。
また、高圧電力の場合は、電気事業法で電気主任技術者が必要だと定められています。さらに、特別高圧の場合は、電気主任技術者の選任はもちろん、事業者や従業員も電気保安協会で講習を受け、労働安全衛生規則に従わなければなりません。
そもそも高圧電力の基本料金の仕組みを正しく理解できてる?
高圧電力の電気代は、
基本料金 + 電力量料金 + 再エネ賦課金 + 燃料調整費 |
です。
さらに基本料金は、
単価 × 契約電力 × 力率割引 |
で計算されます。
中でも間違いやすいのは、契約電力がどの仕組みで設定されているかどうかです。
法人向け圧電力は、特別高圧電力と高圧大口、高圧小口の3種類に分かれています。
特別高圧 | 高圧大口 | 高圧小口 | |
契約電力 | 2,000kW以上 | 500kW以上2,000kW未満 | 50kW以上500kW未満 |
使用箇所 | 大規模な工場や病院、デパート、オフィスビルなど | 中規模の工場やオフィスビル、スーパー | 小さめの規模の工場やオフィスビル |
電気料金の設定方法 | 協議制 | 協議制 | 実量制 |
高圧電力の電気料金は、500kw未満の場合と500kw以上の場合で料金の設定方法が異なります。
法人向け高圧電力の500kw未満で適用される実量制とは、過去1年間の電気使用量のうち、最も使用量が多い月、つまり料金が高かった月を基準として電気料金を設定することです。
上記の表で考えると、電気使用量の最も多い8月の500kWが基準となり、電気料金が設定されます。
一方で、次の8月の使用量が7月の使用量を下回った場合、
その時点で、料金設定の基準月は9月〜8月で一番電気使用量が多い7月ということになります。
これが実量制の料金設定の仕組みですが、理解してしまえば「なるほど、そういうことか!」と簡単に思えてしまいますが、わかるまでは少し難しいかもしれません。
事前に、契約する電力会社にしっかりと説明をしてもらってください。
実量制の仕組みを理解できていないまま新電力に乗り換えてしまうと、電気代が安くなるどころか予想外に高額になってしまう可能性があります。
電力切り替えに伴いシミュレーションをする際は、年間のピーク時の電気使用量を多めに見積もるか、実量制以外のプランを探して見直すなどの工夫をしましょう。
ちなみに、
実量制が適応されるのは、特別高圧・高圧大口・高圧小口のうち500kW未満の高圧小口だけです。
高圧小口を契約している場合は、切り替え後にかえって高くなってしまう可能性があることを理解しておきましょう。
法人向けの高圧電力を見直す3つのメリット
①電気料金が安くなる場合も
法人向け高圧電力を見直すことで、現状の電気料金が適正価格なのかを確認できます。
法事向け高圧電気料金の場合、電気使用量のピーク時を基準に料金設定をするケースもあるので、想定以上の支出に繋がっている可能性もあります。
電気代は見直しすれば容易に削減することができるので、利益を増やすことに直結しやすいです。
コロナウィルスの影響で利益額が減ったり、固定費の見直しをしたりしている企業も多いかと思いますが、一番削りやすい光熱費の見直しをすることで、無駄な支出を最大限に減らして、本当に必要なことにコストをかけることができます。
②事務処理を1本化できる
事業者の中には、本社以外に複数の事業所や店舗、工場を所有しているケースも多いですよね。
このような場合、全国各地や遠方に支社や工場があると、電気料金の請求書が各電力会社から届くので、支払いや事務作業が面倒です。
しかし新電力の中には、電力会社の乗り換えを行うことで、支払先を1本化できるケースがあります。その分、事務処理にかかる煩わしさや負担を軽減できます。
③生産活動及び売り上げの向上に間接的な効果が見込める
事業者によっては、わざわざ電気料金を見直すよりも、生産活動に力を入れる方が利益が出ると考えている方が多いです。
確かに売り上げを上げることは企業の目的なので、電気料金の見直しが売り上げに直結するわけではありません。
しかし、電気料金を安くできれば、その分支出を抑えられるだけでなく、生産活動のために今よりも電気を使用したとしても負担は変わりません。
法人向けの高圧電力を見直し方
電力会社を見直して新電力に移行する際、家庭の電気(低圧)は新電力への切り替えがメジャーになってきた分、切り替え方法や料金プランも多いですが、法人向けの高圧電力の場合、まだまだ情報が少なく、電気プランや電力会社の見直し方法がわからない方も多いようです。
新電力の中から比較検討する
法人向け高圧電力を見直すためには、まず新電力の中から自社にあった電気プランやサービスを選んでいきますしょう。
とはいえ、かなり多くの新電力が参入しているので、ひとつひとつの電力会社の電気プランを比較していくのは面倒です。
たくさんあるが故に、どれがいいかわからなくなり、結局「切り替えなくてもいいかな…」と思ってしまう方も多いようです。
そんな方に朗報です。
最近、家庭向け新電力のように高圧電力向けの新電力見積もりサイトが増えてきました!
見積もりサイトを使うと、簡単に現在の電気プランと比較することができ、最適なプランの提案もしてくれます。
そのため、忙しくて電気プランのことばかり調べられない!というような方でも、効率よく電気料金プランの見直しが可能です。
現在契約している電力会社で電気料金プランを変更する
法人向け高圧電力を見直す方法は、新電力や電力会社への乗り換えだけではありません。
現在契約している電力会社でも、電気料金やアンペア数を変更することができます。
大手の電力会社では、法人向け高圧電力の電気料金プランを複数提供しており、アンペア数についても幅があるので、契約中の電気会社の電気プランを見直すだけでも効果が期待できます。
高圧電力も新電力への切り替えで安くなる!【電力会社の選び方】
供給エリア
高圧電力の新電力の場合、家庭用の低圧電力とは違い、供給エリアが限定している場合があります。
所在地によっては、新電力が電気を供給できるエリアではなく、新電力のプランを利用することができないこともあります。
そのため、あらかじめ供給エリアの確認を忘れずにしておきましょう!
これまでの実績
新電力の中には、電力自由化が開始した2016年以降に電力事業へと参入してきた会社も多く、実績や電気に関するノウハウがないこともあります。
このような新電力に乗り換えてしまうと、後々倒産したり、トラブルに発展してしまう可能性が考えられます……。
そのため、電力会社の乗り換えで新電力を選ぶ場合は、もともと電気事業を行なっていた新電力や、親会社が電気事業をしているような新電力を選ぶことをおすすめします。
シミュレーションが正しい
法人向け高圧電力の契約ができる新電力では、電気料金の算定方法に関する取り決め内容が異なるので、1つひとつ丁寧に確認することが大切です。
高圧電力の電気料金プランには、基本料金と電力量料金の他に予備電力や自家発補給電力といった様々なプランと料金項目があります。
高圧電力の料金プランは比較項目が多数あるので、ご自身でプランを決めるよりも見積もりサービスを利用して、適切なプランを検討するのがおすすめです。
比較して決めたい!おすすめの高圧向け新電力一括見積もりサイト
タイナビスイッチビズ
タイナビスイッチビズは、法人向け高圧電力専用の見積もり比較サイトです。
タイナビスイッチビズの主なサービス内容には、
・電力会社の一括見積もり
・電気料金プランの切り替えに関する相談窓口の申し込み
・法人向けコンテンツ
となります。
タイナビスイッチビズの一括無料見積もり申し込みはWebまたは電話となります。
必要事項を伝えるだけで、最大5社の新電力と電気プランを見積もってくれるので、簡単に比較することができます。
しかも、タイナビスイッチビズを使って見積もりをすると、各電力会社との交渉や見積もり手続きは、タイナビスイッチビズの担当者が進めてくれます。
自分で手続きする手間が省けるので、忙しい方でも楽に電気料金の見直しができます。
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法人向け高圧電力の場合、家庭用の低圧電力とは違って供給エリアが限定されていたり、そもそも高圧向けの料金プランがないこともあります。
また、高圧電力の料金プランがあったとしても、現在供給している電力が高圧小口の場合は実量制が適用されるので、安くなることを期待して新電力に乗り換えたのに、かえって電気代が高くなってしまう可能性もあります。
そのため高圧電力の場合は、今契約している電力がどのプランなのか、どのプランであれば安くなるのかを事前にしっかりと確認しておきましょう。
この記事でご紹介した高圧向け新電力の比較サイトは、最適な電気料金プランを提案してくれるので、失敗することもなく、簡単に見積もりを出してもらうことできます。
無料で電気料金がどのくらい安くなるかを知れるので、一度お試しで見積もりしてもらうのもおすすめですよ。