電力・ガスが自由化されたことで、新電力会社や新ガス会社がたくさん登場し、様々なサービスを提供しています。
この記事では「光熱費を節約したいけど、電気とガスはどこでまとめるべきなの?」と悩みをお持ちのあなたに向けて関西電力と大阪ガスでメリットとデメリットを比較してみました。
数社の電力会社・ガス会社を検討し切り替えた経験を元に、関西電力と大阪ガスのサービスを徹底的に調査しているので、光熱費を節約したい方はぜひチェックしてください。
【前提】電力・ガス自由化について
2016年4月から電力の自由化が家庭にも拡大され、その1年後となる2017年4月からガスの自由化が始まりました。(厳密には家庭向けの都市ガス自由化)
それによって、電力・ガス会社が提供する様々なメニューを見比べながら、自身のライフスタイルに合ったサービスを選ぶことができます!
関西エリアであれば、電気は関西電力、ガスは大阪ガスしか選ぶことができませんでしたが、自由化によって関西電力が「ガス」の提供を始め、大阪ガスが「電気」の提供を始めています。
その結果、関西電力・大阪ガスともに「電気とガス」を提供しており、それぞれをセットメニューとして用意しています。
電気とガスをまとめる3つのメリット
関西電力も大阪ガスも若干の違いはあるものの、両社ともに電気とガスのセットメニューを提供しています。
では、具体的に電気とガスをまとめるメリットはなんでしょう?
電気とガスをまとめるメリットは3つあります。
①まとめることで割引が適用される
一般的に同じ会社で色んなサービスを受けることで「セット割引」なるものがあることはご存知かと思います。これは電気やガスも同様です。
関西電力も大阪ガスもセットで電気とガスを契約することで限定のセット割引を受けることができます。これは契約をまとめるメリットと言えます。
しかし、割引が適用されるからといって必ずしもトータルでお得になるとは限りませんので、シミュレーションを必ず行いましょう。
②請求をまとめて管理できる
これまで「電気は電力会社、ガスはガス会社」のように別々の支払先でしたが、電気とガスの契約をまとめることで支払先を一本化することができます。
さらに支払先が一本化されるだけでなく、請求がまとまることで「明細」がまとめて発行されるため、家計管理がかなりシンプルになります。
③引越し時の手続きが楽チン
前述の支払先と同じように引越しで契約を変更する、もしくは引越し先で新たに契約が必要な場合も別々の会社へ連絡する手間がなくなります。
電気とガスをまとめることで、ひとつの会社へ連絡するだけで電気とガスの契約手続きが完了する点もメリットですね。
電気とガスをまとめることの2つのデメリット
電気とガスをまとめるデメリットは2つあります。
①実は割高なケースがある
電気とガスをセットで契約することで限定割引を受けることができますが、「セット割引」というキーワードに騙されてしまってはいけません。
例えば、電気の場合は家族構成や電気の使う時間帯によってはセット契約の方が割高になる場合もあります。
セット割引は魅力的ですが、光熱費全体で「お得になるか?」を確認することが重要です。
②LPガスは契約できない場合がある
ガス自由化によって色んな企業が「ガスの小売事業」を開始しましたが、都市ガスに比べてLPガスの方が参入障壁が高く、都市ガスは切替できますがLPガスは対応していない…といったケースがあります。
ご自身が都市ガスかLPガスかを十分に確認したうえで、切り替え候補のガス会社が対応しているかを確認するようにしましょう。
さて、ここまで一般的な話を中心に紹介してきましたが、ここからは具体的に関西電力と大阪ガスの比較をしてみようと思います。
比較基準は「①電気料金 ②ガス料金 ③付帯サービス」です。
関西電力のセットメニューの特長
関西電力はガス自由化によって「なっトクパック」という電気とガスのセットメニューを展開しています。
「なっトクパック」は、電気料金メニュー「なっトクでんき」と関電ガス「なっトクプラン」を組み合わせたもので、それぞれ関西電力「従量電灯A」、大阪ガス「一般料金」と比べて誰でも料金がおトクになります。
関西電力の「なっトクでんき」
なっトクでんきは関西電力の従量電灯Aに相当するメニューです。すべての料金単価が関西電力の従量電灯Aよりも安く設定されている(第一段階は同単価)ので切り替える(もしくはプランを変える)だけで電気代を節約することができます。
関西電力 「従量電灯A」 | 関西電力 「なっトクでんき」 | ||
最低料金(最初の15kWhまで) | 433.41円/件 | 377.40円/件 | |
電力量料金 | 15~120kWh | 20.31円/kWh | 20.31円/kWh |
120~300kWh | 25.71円/kWh | 24.10円/kWh | |
300kWh~ | 28.70円/kWh | 27.80円/kWh |
関西電力の「なっトクプラン」
なっトクプランは大阪ガスの一般料金に相当するメニューです。
すべての料金単価が大阪ガスの一般料金よりも安く設定されているので切り替えるだけでガス代を節約することができます。
ガスご使用量 | 料金区分 | 大阪ガス 「一般料金」 | 関西電力 「なっトクプラン」 |
0m³から 20m³まで | 基本料金 | 759.00 | 758.90 |
従量料金 | 174.81 | 158.77 | |
20m³をこえ 50m³まで | 基本料金 | 1,364.81 | 1,262.33 |
従量料金 | 144.52 | 133.66 | |
50m³をこえ 100m³まで | 基本料金 | 1,635.74 | 1,266.83 |
従量料金 | 139.10 | 133.53 | |
100m³をこえ 200m³まで | 基本料金 | 2,074.72 | 1,683.41 |
従量料金 | 134.71 | 129.34 | |
200m³をこえ 350m³まで | 基本料金 | 3,506.75 | 3,043.33 |
従量料金 | 127.55 | 122.52 | |
350m³をこえ 500m³まで | 基本料金 | 3,834.72 | 3,353.47 |
従量料金 | 126.62 | 121.61 | |
500m³をこえ 1,000m³まで | 基本料金 | 6,981.94 | 6,357.69 |
従量料金 | 120.32 | 115.58 | |
1,000m³ 超過分 | 基本料金 | 7,307.87 | 6,673.44 |
従量料金 | 120.00 | 115.27 |
大阪ガスセットメニューの特長
続いて、大阪ガスの電気料金プランです。
ここでは、一般的な家庭向けプランの中から、「ベースプランA-G」と「スタイルプランP」について紹介していきます。
ベースプランA-G
「ベースプランA-G」は関西電力の従量電灯A相当のプランです。24時間同一の段階制料金で関西電力「従量電灯A」と比べて最低料金は割安。電力量料金は120kWhまで同額、121kWh以降は割安な設定になっています。
関西電力 「従量電灯A」 | 大阪ガス 「ベースプランA-G」 | ||
最低料金(最初の15kWhまで) | 433.41円/件 | 377.40円/件 | |
電力量料金 | 15~120kWh | 20.31円/kWh | 20.31円/kWh |
120~300kWh | 25.71円/kWh | 24.90円/kWh | |
300kWh~ | 28.70円/kWh | 27.83円/kWh |
スタイルプランP
Amazonプライムがセットになったプランです。現在Amazonプライムを使っている方でも契約できます。
ひと月の電力使用量が330kWh以上の場合、年間でAmazonプライム年会相当額以上お得になります。また、360kWhまでの電力量料金単価が、ベースプランA-Gよりも安くなっています。
大阪ガス 「スタイルプランP」 | ||
最低料金(最初の15kWhまで) | 766.47円/件 | |
電力量料金 | 15~120kWh | 20.56円/kWh |
120~360kWh | 24.82円/kWh | |
360kWh~ | 28.70円/kWh |
【比較基準①】電気料金
まずは各社のセットメニューを契約した場合の電気料金について比較してみました。
※シミュレーションに燃料費調整単価・再生可能エネルギー促進賦課金は含まれていません。実際の電気料金はシミュレーション結果より高くなります。
一人暮らしにおすすめ!関西電力の電気プラン
なっトクでんきは関西電力の従量電灯Aよりも安く設定されている(第一段階は同単価)ので切り替える(もしくはプランを変える)だけで電気代を節約することができます。
実際にひとり暮らし(月間使用量200kWh)の場合でシミュレーションしてみると、年間で2,218円節約できる結果となりました。
その他のシミュレーション結果は以下の通りです。
電力使用量 | 関西電力 「従量電灯A」 | 関西電力 「なっトクでんき」 | 年間節約額 |
200kWh/月 | 4,622円/月 | 4,437円/月 | 2,218円 |
400kWh/月 | 10,063円/月 | 9,627円/月 | 5,230円 |
600kWh/月 | 15,803円/月 | 15,187円/月 | 7,389円 |
大阪ガスの電気プラン
「ベースプランA-G」は関西電力の従量電灯A相当のプランです。24時間同一の段階制料金で関西電力「従量電灯A」と比べて最低料金は割安。電力量料金は120kWhまで同額、121kWh以降は割安な設定になっています。
実際にひとり暮らし(月間使用量200kWh)の場合、年間で約1,450円お得になります。
その他のシミュレーション結果は以下の通りです。
電力使用量 | 関西電力 「従量電灯A」 | 大阪ガス 「ベースプランA-G」 | 年間節約額 |
200kWh/月 | 4,622円/月 | 4,501円/月 | 1,449円 |
400kWh/月 | 10,063円/月 | 9,628円/月 | 5,223円 |
600kWh/月 | 15,803円/月 | 15,194円/月 | 7,312円 |
全ての使用量で、電気料金は関西電力のなっトクでんきが安いことが分かりました。
では、続いてガス料金はどうでしょうか。
【比較基準②】ガス料金
関西電力のガスプラン
なっトクプランは、すべての料金単価が大阪ガスの一般料金よりも安く設定されているので切り替えるだけでガス代を節約することができます。
実際にひとり暮らし(20㎥)の場合、年間で約3,851円お得になります。
ガス使用量 | 大阪ガス 「一般料金」 | 関西電力 「なっトクプラン」 |
20㎥ | 4,239円/月 | 3,934円/月 年間3,660円割引 |
35㎥ | 6,404円/月 | 5,940円/月 年間5,568円割引 |
50㎥ | 8,564円/月 | 7,945円/月 年間7,428円割引 |
関西電力のなっトクプランの場合は、電気とガスをセットで契約することでガス料金(基本料金および従量料金の合計)から約3%の割引が適用されます。
※上記シミュレーションは割引適用済み
大阪ガスのガスプラン
大阪ガスの電気またはインターネットを契約した場合、一般料金よりも約3%割引の「まとめトク料金」が適用になります。
さらに、電気とインターネット両方を契約した場合、約6%割引の「もっとまとめトク料金」を利用できます。
実際にひとり暮らし(25㎡)の場合、年間で約1,980円お得になります。
大阪ガス 「一般料金」 | 大阪ガス 「まとめトク」 | 大阪ガス 「もっとまとめトク」 | |
20㎥ | 4,239円/月 | 4,114円/月 年間1,500円割引 | 4,114円/月 年間1,500円割引 |
35㎥ | 6,404円/月 | 6,210円/月 年間2,328円割引 | 6,064円/月 年間4,080円割引 |
50㎥ | 8,564円/月 | 8,306円/月 年間3,096円割引 | 8,015円 年間6,588円割引 |
※上記シミュレーションは割引適用済み
ガス料金は関西電力のなっトクプランが安いことが分かりました。
【比較基準③】その他のサービスの充実度合い
ポイントサービスは両方にあり
関西電力 「はぴeポイント」 | 大阪ガス 「マイ大阪ガスポイント」 | |
付与 | 電気代1,000円につき8ポイント ガス代1,000円につき5ポイント | 料金チェック(毎月20ポイント)やおみくじなどサイト利用で貯まる |
使用 | 電気・ガス料金支払い アイテムに交換など | 豪華プレゼント抽選に参加など |
交換 | JALマイル ANAマイル Tポイント 楽天ポイント dポイント WAONポイント Pontaポイントなど | Tポイント 楽天ポイント dポイント WAONポイント Pontaポイントなど |
関西電力には独自ポイントサービスの「はぴeポイント」が貯まります。電気代1,000円につき8ポイント、ガス代1,000円につき5ポイントが自動で付与されます。
貯まったポイントは電気・ガスの支払いにも使えますし、Tポイントを始めとする有名ポイントにも交換することができます。
大阪ガスでは「マイ大阪ガスポイント」が貯まります。会員登録・LINE連携などで貯まる他、毎月の料金・使用量確認やお楽しみ企画に参加することで付与されます。
こちらも提携先のポイントに交換できるのに加え、豪華賞品があたる抽選に参加することも可能です。
駆けつけサービスが無料なのは「関西電力」
関西電力 「はぴeでんきの駆けつけサービス」 | 大阪ガス 「住ミカタ・サービス」 | |
料金 | 無料 | 220円 |
対応日時 | 24時間365日訪問対応 | 24時間・365日受付 |
内容 | 電気のトラブルのみ 簡易な不良電気設備の取替OK 電気工事店での本格的な修理が必要な場合は取次(電気工事店の修理は有料) | ガス機器、水まわり、住まい(賃貸では入居者の所有物のみ)、エアコンのトラブルの一次対応 技術料・部品代は有料 |
関西電力には電気のトラブルが起きた際の駆けつけサービスが無料で付いています。何かあった際の駆けつけサービスは非常に安心ですね。ただし、対応できるのは電気のトラブルのみです。
大阪ガスの駆け付けサービスは月額220円(税込)です。その代わり、ガス機器・水まわり・住まいの修理・エアコントラブルなど、対応範囲が多岐に渡っています。
さらに、ガス機器・水まわり設備・床下のシロアリチェックや、ダスキンのサービス、パソコン・IoT機器トラブル対応が特別価格で利用可能です。
プランの豊富さなら「大阪ガス」
大阪ガスは関西電力に比べて電気のプランが豊富です。
GAS得プランの中に以下のような割引プランが用意されています。
スマート発電料金 | エネファームを使用している家庭向けプラン 一般料金と比べて約34%お得 |
あっためトク料金 | ガス温水床暖房を使用している家庭向けプラン 一般料金に比べて約17%お得 |
家事トク料金 | ガス衣類乾燥機またはガス温水浴室暖房乾燥機を使用している家庭向けプラン 一般料金に比べて約10%お得 |
ハウス空調料金 | 家庭用空調機器(ガスエンジンヒートポンプ方式およびガス吸収式の機器)をを使用している家庭向けプラン |
エネファームや床暖房といったガス機器を持っている方は、大阪ガスがおすすめです。
さらに、Amazonプライムが付いてくる「スタイルプランP」。再生可能エネルギーを使用した「スタイルプランE」など、自分のライフスタイルに合わせて電気プランを選ぶことができます。
結論:関西電力と大阪ガスか?
最終的に、どちらを選ぶとお得かをまとめます!
関西電力でまとめるのがお得な人
- 従量電灯A・一般料金プランを使っている
- 駆け付けサービスは電気のみでOK
- オール電化住宅
関西電力の「従量電灯A」と大阪ガスの「一般料金プラン」を使用している方は、関西電力ででんきとガスをまとめた方が料金が安くなります。
また、電気のトラブルに無料で駆け付けサービスが付いているのも嬉しいポイントです。
大阪ガスにはオール電化住宅向けの電気料金プランはありません。エコキュートなどの夜間蓄熱式機器を使用している方は、関西電力で契約をまとめましょう。
大阪ガスでまとめるのがお得な人
- エネファームや床暖房などの割引プランを使っている
- 幅広いサポートを受けたい
- インターネットの契約をまとめたい
- Amazonプライムを使っている
エネファームや床暖房といったガス機器を使用している方は、大阪ガスで契約をまとめる方が光熱費が安くなります。
大阪ガスで電気とガスとインターネットの契約をセットにすると、全部まとめてお得になります。Amazonプライムを使用している方は、「スタイルプランP」を選べばさらに節約できる可能性が高いです。
さらに、大阪ガスの駆け付けサービス(月額220円(税込))なら、電気だけではなく水回りやエアコンのトラブルまで対応してもらえます。
ガスと電気をまとめたい家庭の疑問を解決
光熱費をまとめて安くしたいと考えている方が、気になる点についてまとめました。
どんな家庭でも電力会社とガス会社を乗り換えられる?
今の電力会社・ガス会社の契約を、直接個人でしている家庭であれば、新電力会社・新ガス会社に乗り換えられますので、ほとんどの家庭が乗換可能です。
ただし、大型マンションなどで一括受電・一括受ガス契約をしている場合は、乗り換えられません。まずは現在の契約内容を確認してみてください。
電力会社とガス会社の乗り換え方法は?
多くの新電力・新ガス会社は、Webで申し込むことができます。
検針票やマイページなど、現在の電気・ガスの契約内容が分かるものを用意して、公式サイトにアクセスしてみてください。
切り替えにかかる期間は、乗り換え先によって異なりますが、1~2ヶ月程度かかります。
引越し先で使用したい方や、乗り換えたい時期が決まっている方は、早めの申し込みがおすすめです。
新電力会社・新ガス会社に乗り換えても電気やガスは安定供給される?
各家庭のメーターまでは、これまで通りの電線・ガス管を通って届けられるので、電気やガスは安定供給されます。停電しやすくなったり、ガスの質が変わったりといったことはありません。
ただし、新電力会社の中には、燃料費高騰の影響で事業から撤退したり、新規受付を停止したり、大幅な値上げを行ったりしたところもありました。
もし新電力会社が撤退・倒産した場合でも、再度大手電力会社と契約できるので、突然停電になったりすることはありませんが、また新電力を探す手間がかかります。
新電力会社・新ガス会社も、企業情報や口コミをチェックして、信頼できるところを選びましょう。
まとめ
電気とガスの使い方によって、おすすめな人は異なります。
一般的な家庭の場合、関西電力の電気・ガスセットの方が光熱費を節約できます。
エネファーム・床暖房・乾燥機などのガス機器を使用している方は。大阪ガスの割引プランの方が断然お得です。電気とインターネットの契約をまとめれば、光熱費・通信費の管理をまとめてすることができさらに便利でしょう。
自分の電気・ガスの使い方に応じて、電力会社・ガス会社をうまく選んでくださいね!