テレビCMをはじめとする広告媒体の効果もあり、最近知名度が高まっているエネファーム。
しかし、まだまだ導入しているご家庭も少なく、エネファームの仕組みや導入するメリット・デメリットなどを十分に理解できていない方が多いようです。
エネファームを設置する際、各自治体や市町村から補助金をもらうことができたり、停電時でも電気が使えたりといったメリットもあります。
この記事では、エネファームの設置後に後悔しないために、仕組みや寿命、評判、メリットデメリットなどを簡単に解説していきます。
【エネファームとは?】仕組みを解説
エネファームは、都市ガスやLPガスなどを使って発電する「家庭用燃料電池」の機能と、発電の際に発生する熱を利用し、給湯や暖房などに使用する「コージェネレーションシステム」との二つの機能を持ちあわせた機器のことです。
家庭用燃料電池は、都市ガスやLPガスなどを改質器に通すことで水素に変え、その水素と空気中の酸素とを反応させることによって電気を発電する仕組みとなっています。
エネファームは、発電に使用できない熱に変わるエネルギーを二次利用したコージェネレーションシステムによって、お湯を沸かしたり床暖房として利用することができます。
ガスや石油を使わずにエネルギーを作ることができるので、オール電化やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅にも導入されています。
エネファームの設置費用相場
パナソニック(補助金適用前) | 100万円前後 |
---|---|
京セラ(補助金適用前) | 120万円前後 |
アイシン精機(補助金適用前) | 200万円前後 |
エネファームの本体価格は、メーカーや種類によって変わりますが、おおよそこのくらいの費用です。
さらに、本体価格に加え、設置工事費用が30〜80万円程度かかります。
上記の価格はあくまで相場なので、詳しく知りたい方はリフォーム会社や一括見積もりサイトなどを利用して見積もりをしてもらうのがおすすめです。
エネファームの設置時に利用できる補助金制度
2023年度(令和5年度)の補助金制度について
「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」の事業が、令和4年度の補正予算で決定されました。
家庭用燃料電池(エネファーム)を導入する場合、1台につき15万円の補助を受けることができます。
対象期間は、2022年11月8日~遅くとも2023年12月31日となっています。交付申請期間は、2023年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで)です。
詳しくは、事業の公式サイトを確認してください。
エネファームの寿命は何年?メンテナンスは必要?
エネファームの寿命
エネファームの平均寿命は20年となります。寿命を迎えると都度交換しなければなりません。
また、設置したらそれだけでOKなわけではなく、定期的にメンテナンスが必要になります。
定期メンテナンス
エネファームの寿命は20年程度です。
20年間、一切メンテナンスが必要ないというわけではありません。長く使うためにも定期メンテナンスをしておくことをおすすめします。エネファームの定期点検は設置から約10年後です。「約」10年というのは、10年毎の決まりがあるわけではなく、発電量によるからです。メンテナンスが必要になるとモニターに「点検」の表示がでます。(メーカーによって異なる)
表示がでると、1ヶ月以内にメンテナンスを受けないとそのまま運転が止まってしまうので要注意。メンテナンスは販売店やメンテナンス事業者などに依頼してください。
エネファームは、排管が詰まったり、発電できなくなったりといったトラブルや故障が起こり得ます。
一般的にエネファームは10年の保証期間があるので、故障や不具合が生じた場合は点検や修理をしてもらえますが、保証期間を過ぎるとメンテナンス費用は全額実費となるため、導入時には修理費用や交換費用の積立も考慮しておきましょう。
お手入れについて
エネファームは、機器の外装やリモコンの汚れを拭き取ったり、年に2〜3回ほど貯湯タンクに沈殿している固形物などを流すために、貯湯タンクの底に溜まっている水を抜く作業が必要です。
作業自体は難しくなく、説明書に手順が書かれているので、それにしたがって作業を進めれば問題ありません。
また作業手順はメーカーによって異なる場合があるので、説明書を事前に読んでおきましょう。
エネファームを設置する6つのデメリット
- 設置するためのスペースが必要
- 設置価格が高い
- 天然ガスの相場に左右されやすい
- 貯蔵タンク内にある湯の温度で発電が制限される
- 寿命が短く20年毎に買い替えが必要
- 発電した電気は売電できない
①設置するためのスペースが必要
発電時に発生する熱でお湯を沸かして貯蔵する必要があるため、貯湯タンクを設置するスペースが必要になります。
エネファームはご自宅の庭などに設置するパターンが多いです。
エネファーム自体は幅70〜100cm、高さ160cm程度の大きさなので、都会のように土地面積が狭い場合は、邪魔になってしまったり、景観が悪くなるといった口コミもありました。
②設置価格が高い
価格相場でも説明しましたが、エネファーム本体に加えて設置工事代もかかるので、合計150〜300万円程度の費用がかかります。
補助金制度を使用すれば、費用を抑えられますが、とはいえ高額な出費になので設置をためらっている方も多いです。
しかし、エネファームを設置することで毎月の光熱費を削減できるので、初期費用の回収をしていくことができます。
補助金制度を活用し、初期費用をなるべく抑えて導入するようにしましょう。
③天然ガスの相場に左右されやすい
都市ガス用のガスの原料であるLNG(液化天然ガス)は、ほとんどが海外から輸入されており、輸入価格が高騰するとガス料金も高くなってしまうリスクがあります。
ガスの契約では、エネファーム用のお得な料金プランを利用できます。しかし、原料費調整制度によって、LNG価格の変動をガス料金に反映させているため、燃料費が高騰するとガス料金も高くなるのです。
また、原料費調整額の上限を撤廃するガス会社が増えており、これまで以上にガス料金が上がる可能性があります。
④貯蔵タンク内にある湯の温度で発電が制限される
一部の製品では、貯蔵しているタンク内の湯が沸くと発電しないような仕組みになっているので、湯を使用する頻度や量によって、発電量が左右されてしまいます。
また、夏場は気温・水温が高く、お湯の使用量が少ないため、貯湯タンクが満タンになりやすく、冬よりも発電時間が短くなる傾向があります。
メーカーによっては発電時間を設定できるものもあるので、事前に確認しましょう。
⑤20年毎に買い替えが必要
先ほど触れた通り、エネファームの寿命は、定期的なメンテナンスや修理を行ったとしても20年程度です。その都度買い替えが必要になります。
また、エネファームは無償メンテナンスを受けられる保証期間が10年間ありますが、10年を過ぎると自費でのメンテナンスとなり、1回で約10万円ほどの費用が発生します。
⑥発電した電気は売電できない
太陽光発電システムとは異なり、エネファームで発電した電気を電力会社に販売することはできません。
そもそもエネファームは、お湯を沸かすときに一緒に発電するものであり、エネルギーを効率よく使用することが目的なので、余剰電力はほとんど出ません。
太陽光発電はFIT制度の対象であり、余剰電力を売電して収入を得ることができますが、エネファームではできないため、初期費用の元を取ることが難しいです。
ですが、今後法改正などが行われて、売電できるようになればメリットとして活用できる可能性もあります。
エネファームを設置する5つのメリット
- 発電後のエネルギー効率が既存の発電システムより極めて高い
- 自宅で発電するので送電ロスがない
- 利用するガス会社によっては優待プランなどが設けられている
- 騒音が原因で近所トラブルになる可能性は低い
- 発電の様子が観察できる
①発電後のエネルギー効率が既存の発電システムより極めて高い
エネファームは、火力発電所や原子力発電所などとは違い、発電する際に発生する熱エネルギーを余すことなく利用することができるので、石油や天然ガスで作ったエネルギーの消費を減らすことができます。その結果、石油や天然ガスの使用量を23%程度削減することができます。
エネルギーを作る際に有害物質の排出をする石油などの使用量が抑えられることで、地球温暖化防止や環境汚染の防止につながります。
ちなみに、エネファームでエネルギーを作る際の反応物は水だけなんです!
クリーンでエコだと言われる所以はここにもあるんですね。
②自宅で発電するので送電ロスがない
エネファームは太陽光発電とは違い、遠方の発電所などで発電して、送電線を使って電気を送るシステムではなく、各ご家庭で発電するので送電の際に起きる送電抵抗がほぼ0%です。
一般的に、電気は距離に比例して減衰しますが、エネファームを使用し、ご自宅で発電した電気を使えば、距離による減衰の影響を受けません。
③利用するガス会社によっては優待プランなどが設けられている
各ガス会社によって専用料金のメニューや優待割引制度などが設けられているので、ガス料金が安くなる可能性があります。
また、エネファームで作られた電気を使用することができるので、電気代などの光熱費も削減することができます。
④騒音が原因で近所トラブルになる可能性は低い
エネファームは、燃料電池で発電するので、ガソリン式の発電機などと比較すると、静音性が高く騒音リスクを抑えられます。
ただし、エネファームからは低周波音が発せられるので、人によってはうるさく感じるかもしれません。
エネファーム設置の際は、念のためご近所へ挨拶周りに行っておくのもおすすめです。
⑤発電の様子が観察できる
モニターやリモコンの画面で発電量が確認できるので、電気に対する意識が高まり、省エネルギーにつながります。
停電時や災害時はエネファームは使える?
エネファームは、電力会社から購入した電気で動くわけではないので、自然災害や停電などによって影響を受けることはありません。
そのため、「電線が切れて送電できなくなった」「復旧に時間がかかる」といったことがなく、ご自宅で発電を続けることができます。
また、断水してしまった場合、エネファームに貯水している水を生活用水(洗濯や洗い物など)に使用することもできるので、“電気を発電する” という用途以外でも非常時にとても役立てることができます。
エネファーム・エコキュート・蓄電池・太陽光発電は合わせて設置するとよりお得!
最近、エネファームと太陽光発電システムを併用するご家庭も増えています。
エネファームと太陽光発電システムをダブルで稼働し、発電させることで、当然発電量も増えるので、電力に余裕が生まれ、より効率的な発電システムとして運用できます。
つまり、エネファームと太陽光発電システムを組合わせることによって、より安定した自家発電が可能になるということです。
エネファームで発電した電気は売電できないので、優先的にエネファームで発電した電気を消費し、太陽光発電で発電した電気を売電に回したりと、うまくダブル発電を使いこなせればできれば電気代の節約だけではなく、売電収入も得られます。
少し費用は嵩みますが、蓄電池も合わせて設置しておくと発電した電気を貯めておけます。そのため、夜間の電気代が高い時間帯に蓄電池に貯めた電気を使えるので、より電気代・光熱費を削減できます!
浮いたお金で家族で旅行に行ったり、いつもより豪華な外食に行ったりできちゃいますよ♪
もちろん、太陽光発電や蓄電池を合わせて設置をすると、高額な初期費用がかかります。
なるべく費用を抑えるためには、複数の施工会社から相見積もりをして比較・交渉したり、もらえる補助金を調べておきましょう!
おすすめの太陽光発電見積もりサイト徹底比較!設置費用を100万円安くする裏技とは?最大100万円安くなる!おすすめの太陽光発電無料見積もりサイト3選
エネファーム・エコキュート・蓄電池・太陽光発電などの設置費用を、まとめて無料で見積もりできるおすすめサイトを3つ紹介します。
業者名 | おすすめポイント |
タイナビ | 大手の太陽光発電業者 350社の中から最大5社の見積もりが可能 |
ソーラーパートナーズ | 280社の中から最大3社の見積もりが可能 NHKやメディアでの紹介実績があり 太陽光発電の国家資格を持ったスタッフが多く在籍しているので太陽光発電初心者におすすめ |
グリエネ | 最大5社から比較購入 審査に通過した業者のみ掲載! |
①タイナビ
タイナビのおすすめポイント
- 大手の太陽光発電業者
- 最大5社一度に見積もり可能
- 査定後のキャンセル無料
- 住宅用太陽光発電も産業用太陽光発電も見積もり可能
タイナビの特徴は、最大の5社から一度に見積もりを取れる点です。
複数社で見積もりを取れるので、相場の適正価格を知りながら安全に購入できます。
またタイナビには、太陽光発電の専門スタッフが在籍しているので、わからないことや不安などがあったときに、すぐに解消できる体制が整えられています。
②ソーラーパートナーズ
ソーラーパートナーズのおすすめポイント
- 登録業社数280社のうち最大3社の見積もりが無料
- 販売からアフターフォローまで対応してくれるのでもしもの時も安心
- メディア掲載されるほど多くの人が利用している
ソーラーパートナーズは4年連続No1に選ばれるほど、多くの方からその実績を評価されています!
ソーラーパートナーズが他の見積もりサイトと違うのは、見積もりを出して終わりではなく、実際に販売時も施工もアフターフォローも一貫して対応してくれるので、万が一の時にも相談しやすく安心できるという点です。
また、ソーラーパートナーズを利用して業者を比較すると、中には100万円以上費用を抑えられるケースもあるようです。
太陽光発電についての知識があまりない、施工完了後も何かあったら相談したい、という太陽光発電初心者におすすめの見積もりサイトとなっています!
③グリエネ
グリエネのおすすめポイント
- 最大5社一度に見積もり可能!
- 業者の選定に厳しい審査を導入!
- 蓄電池の見積もりも可能!
グリエネもほかの業者と同様に複数社から見積もりを取得できます。
約450社の中から最大5社で見積もりを取れるので、相場を知りながら比較購入可能です。
また、グリエネは窓口がこの会社のみなので、いきなり太陽光発電の業者から電話などが入ることもありません!
まずはグリエネを通して連絡が入るので、業者からの電話が多くてうんざりしている方にもおすすめの業者です。
さらにグリエネは、選定する業者に独自の厳正な基準を設けています。
「工事保険の加入」「健全な財務状況」など、厳しい審査に通過した業者のみをユーザーに紹介しています。
エネファームに関するよくある質問
エネファームの設置を検討しているときに、気になる点についてまとめました。
エネファームとエコキュートの違いは?どちらがおすすめ?
エコキュートとは、ヒートポンプを利用した給湯器です。安価な夜間電力を利用し、空気の熱を取り込んで効率よくお湯を沸かします。給湯器ですので、エネファームのように発電することはできません。
エコキュートがおすすめな方
- オール電化住宅に住んでいる方
- 初期費用・ランニングコストを抑えたい方
エコキュートは電気のみを使用するので、オール電化住宅に向いています。ガスの契約をせずに電気一本にまとめることで、基本料金を節約し、光熱費全体が安くできます。また、エコキュートの初期費用はエネファームの2分の1程度で、ランニングコストも安いというメリットもあります。
エネファームがおすすめな方
- ガスで沸かしたお湯の使用量が多い方
- 自家発電を行いたい方
ガス床暖房・ミストサウナなどガスでお湯を沸かす量が多い家庭の場合、発電量も多くなり、エネファームのメリットが大きくなります。また、エネファームは発電ができますので、災害に備えたり、エネルギー効率を高めたりしたい方に最適です。
エネファームと蓄電池の相性は?
エネファームで発電した電気を貯められる蓄電池もありますので、連携は可能です。(メーカーによっては連携できないものもあるので要確認。)
エネファームは電力を蓄えることはできず、停電時にもガスが使えないと発電できません。蓄電池を一緒に導入しておけば、停電時の電源として利用でき安心です。
ただし、導入費用が高く、お湯の使用量が少ない家庭では光熱費削減で元を取ることは難しい場合があります。
エネファームを作っているメーカーは?
エネファームはパナソニック・京セラ・アイシン精機が製造しています。それぞれの特徴は次の通りです。
パナソニック | 大容量で大家族におすすめ 「発電アシストふろ予約」で発電時間を長く確保 |
京セラ | 業界最高水準の発電効率 ガス給湯器に後付けも可能 |
アイシン精機 | エアコンの室外機と同レベルのコンパクト設計 スマホアプリから操作可能 |
ニーズに合わせて、ご家庭に合ったものを選んでくださいね。
まとめ
エネファームは環境にもお財布にも優しいシステム機器ですが、設置費用が高いことや設置場所を確保する必要があることから、まだまだ導入している人が少ないです。
しかし、エネファームを導入することで、家計の助けになることはもちろんですが、停電時や断水時などの非常事態でも使用することができます。
近年自然災害が増えており、ニュースでも取り上げられていますよね。
「もしものとき」を考え、導入を検討してみてください。
(参考:エネファームって?|エネファーム パートナーズ)
(参考:エネファームについて | 燃料電池普及促進協会(FCA))
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