雪のシーズンになると、多くの人が気になる雪が及ぼす太陽光発電への影響。
雪による発電量の低下や、太陽光パネルの破損・落雪による怪我などの被害はできるだけ避けたい問題ですよね。
この記事では雪国の太陽光発電が受ける影響や積雪対策、発電量は本当に減るのかなど、雪国の太陽光発電にまつわる話を解説していきます。
積雪によって太陽光発電が受ける主な3つの影響
積雪が多い地域では、太陽発電の導入にあたっていくつかデメリットがあります。
ひとつひとつ見ていきましょう。
①積雪による発電量の低下
太陽光パネルに雪が積もることによって、太陽光を遮ってしまうので発電量は低下してしまいます。パネル全体が雪に覆われてしまうと発電量はゼロになります。
具体的には、年間での降雪量が200㎝以上の東北や北陸の地域では発電量が少なくなる傾向にあるのです。
しかし、積雪してもすぐにパネルから落雪したり、パネルへの積雪がなく、雪がしとしとと降っているくらいであれば太陽光発電は電気を作ることができます。
こちらの記事を参照すると、太陽光パネル全面に雪が積もった場合、2〜3時間太陽光が照ることで雪は徐々に溶け出し滑り落ちるようですね。
②雪の重さによる太陽光発電設備が故障・破損するリスク
太陽光パネルは50cmほどの積雪であれば耐えられる強度に設計されており、ある程度の雪の重されであれば故障する可能性は低いです。
また、表面に強化ガラスを使用しているので、雹が降っても傷つく心配はありません。
かと言って、絶対に故障しないというわけではなく、架台が雪の重みに耐えられずに破壊されてしまうケースもあります。50cm以上積雪するようであれば、除雪作業を行った方が発電量は増えます。しかし、除雪作業が必要な際は自分で行うのではなく、専門業者に依頼するようにしてください。
素人が作業してしまうと、パネルを傷つけたり、設備の破損につながり、かえって発電量が低下してしまう原因をつくりかねません。
また、住宅用の太陽光発電を屋根に設置している場合は、パネルと雪の重さに耐えられず雨漏りの原因となってしまうこともあるようです。
③落雪の危険性
太陽光パネルに雪が積もるとに、屋根だけの状態よりも落雪の危険性が増します。
なぜなら、一般的な住宅の屋根の表面と太陽光パネルの表面では、パネルの表面の方が滑りやすくなっており、その分落雪のスピードが出て衝撃も強くなってしまいます。
万が一、人に当たると大きな怪我に繋がってしまう危険があります。
雪国での太陽光発電の稼働はアリ?ナシ?
①太陽光パネルの雪は自然に滑り落ちる
太陽光パネルは、太陽の光を電気に変える際に熱を発するので、パネルの表面の温度が上がり、雪は自然に溶けていきます。
また、雪国に太陽光発電を設置する場合、通常パネルの角度は30度で設置することが多いので、溶けた雪は自然と滑り落ちるようになっています。
②雪かきや除雪はしないほうがいい
太陽光パネルに積雪してしまうと発電量が低下し売電収入に影響してしまうので、一刻も早く雪かきや除雪をしたくなると思います。
だからと言って、ご自身で雪かきやするのはやめた方がいいです。
パネルの表面を傷つけてしまう可能性があるという理由はもちろんありますが、それ以外にも滑って転倒したり、屋根から転落してしまったりといった危険が潜んでいます。
発電量を回復させるために雪かきに行ったのに、パネルを傷つけて発電できなくなったり、怪我をしてしまって医療費がかかってしまえば出費も増えてしまう…という、なんとも言えない状況になりかねません。
それでも雪かき・除雪をするのであれば、それは自己責任です……。
③施工方法を相談もしくは熟知している業者から購入する
雪国に太陽光発電を新規で設置する場合は、その地域での太陽光発電の設計・工事になれている施工会社に依頼するようにしましょう。
確実に、施工会社の口コミや実績は必ず確認し、実績や評価のいい施工会社を選ぶためにも訪問販売は避けましょう。訪問販売のすべての業者が悪質なわけではありませんが、中には太陽光発電の知識が少ない業者もあります。そのような業者に太陽光発電の設置を依頼すると、後々トラブルになりかねないので要注意です。
すでに設置されている太陽光発電を購入する場合は、販売業者ではなく仲介業者に太陽光発電を紹介してもらうことをおすすめします。
販売業者から太陽光発電を購入すると、仲介費用がかからないため初期費用を抑えて購入できるというメリットがありますが、販売業者の中には太陽光発電について精通しておらず、とにかく売ることを重視している業者もあります。
そのため、発電量が少ない太陽光発電を買わされるはめになる可能性が高いです。
一方仲介業者の場合、仲介手数料はかかりますが太陽光発電についてのエキスパートが揃っているので、微妙な太陽光発電所を買わされるリスクは極めて低く、発電効率をあげるための対策などについても相談することもできます。
④保険に加入しておく
通常、太陽光パネルにはメーカー保証がついていますが、メーカー保証で対応できるのパネル自体の破損や損傷です。
そのため、自然災害による破損や被害は保証対象外となっています。
雪国で太陽光パネルが破損する理由は、パネル自体の何らかの不具合というよりも積雪による重みによるものが多いようです。
その場合、メーカー保証は対象外なので、『火災保険』や『動産保険』に加入しておくことをおすすめします。
また、故障の影響で発電できなくなった場合に売電収入を保証していくれる『休業補償保険』もあります。
保険に加入すると、年間で初期費用の0.3〜3%ほどの保険料がかかりますが、高額な修繕費や売電できずに収入がゼロになることを考えると加入しておいた方がいいでしょう。
雪国に太陽光発電所を所有する3つのメリット
積雪地域での太陽光発電設置には考慮すべき点がありますが、実はメリットもあります。
詳しく解説していきます。
①太陽光パネルは熱に弱いので年間でみると発電量が多い
太陽光発電は、太陽の光がサンサンと降り注ぐ暑い地域の方がたくさん発電しそうなイメージがありますが、実はそうではありません。
太陽光パネルは熱に弱く、あまりにも気温が高いといくら天気が良くても発電効率が下がってしまうのです。
雪国は雪が降って発電量が少なくなるというデメリットは確かにありますが、太陽光パネルが発電するための最適な気温は保たれるので、年間を通しての発電量は南国よりも多いケースがあります。
実際に、積雪量が全国10位の長野県は、発電量は日本一なんですよ!
②台風による影響を受けづらい
雪国は、台風による影響を受けづらいです。
そのため、台風によるパネルの破損や飛来物による傷もで例えば、台風による影響が他の地域と比較すると少ない傾向にあり、突風によって飛んできた木の枝などでパネルが傷つく危険性が少なくなります。
夏場に気温が高くなり過ぎないため、気温上昇によるソーラーパネルの発電量の損失を防ぐことができるというメリットもあります。雪国でも場所によっては夏の日射量が多いので、たくさん発電できるでしょう。
③近隣の太陽光発電所であればさらにおすすめ
産業用太陽光発電を購入する場合、初期費用や利回りを考慮してお住まいの地域ではなく遠方の太陽光発電所を購入することもあると思います。
メンテナンスや緊急時の駆けつけ対応が付いている場合は問題ありませんが、所有者ご自身でメンテナンスにいかなければならない場合、車で向かわなかったり、飛行機や新幹線などの公共機関を使うこともあるかもしれません。
となると、交通費がかさんだり、不慣れな雪道の運転で交通事故を起こしてしまう可能性があったりと、購入当初には想像しなかったことが起こり得ます。
そのため、雪国の太陽光発電を購入しようとお考えの方は、近隣にお住まいの方がおすすめです。
積雪被害から太陽光発電設備を守るためにできる対策
雪国での太陽光発電を円滑に運営するための解決策を紹介します。雪国ならではの問題も、これで解決です!
屋根から落雪を防ぐために太陽光パネルの設置を減らす
住宅用太陽光発電を導入する際、施工業者によっては、屋根の面積いっぱいにパネルを配置するように設計します。
確かに、屋根の面積を無駄にせずにパネルを設置したほうが、発電量・売電収入が増えるので、限界までパネルを設置したくなるのはよくわかります。
しかし、先ほども説明しましたが、パネルの表面は屋根だけの状態よりも滑りやすく落雪しやすいです。
一般的に、積雪の多い地域の住宅の屋根にはネットや雪止めなどの落雪防止設備が付いています。
パネルをより多く設置するために、これらの落雪防止設備を外すことを提案されることもあるようですが、安全第一に考え、落雪防止設備をつけたままでも設置できる範囲に留めておきましょう。
太陽光発電導入前には、収益がプラスになる発電量を見込みシミュレーションをした上で、どのくらいの発電量であなた自身が満足できる利益がでるのかを考えておいたほうがいいですよ。
雪かき・除雪をせず熱で雪が溶けるの待つ
自己判断での雪かきは、パネルの破損や所有者の怪我に繋がることがあります。
発電する際に発する熱で雪は自然と溶けていきますので、所有者が無理に雪かきや除雪をするのはやめておきましょう。
雪対策がされているソーラーパネルを使う
カナディアンソーラーという太陽光パネルメーカーは、カナダのメーカーです。
ご存知の通り、カナダ内陸部は雪が多く真冬はマイナス20〜30度の寒さとなるんです。想像するだけで寒そうですが、、
雪に慣れている国が作る太陽光パネルなので、積雪耐性が5,400Paと圧倒的な強度を誇っています。ちなみに、国内で一番の積雪耐性を持つのは三菱電気の太陽光パネルで、その耐性は4,800Paとなっています。
カナディアンソーラーの太陽光パネルは、業界で一番の積雪耐性なのにも関わらず、中国で製造されているので安価なので雪国で多く導入されており、その実績も確かなものです。
太陽光パネルに角度をつけて雪が落ちやすいように設置する
雪国では太陽光発電パネルは30度の角度で設置し、雪が自然に滑り落ちやすいようにします。
もちろん、南向きに設置することで日射量も増えるので、最適なパネルの設置向きは施工業者に相談・確認するようにしましょう。
実績の少ない施工業者だと、その地域ごとのパネルの最適な角度について知識が不十分な場合もあるので、信頼できる施工業者を選ぶようにしてください。
複数の見積もり会社を紹介してくれる見積もりサイトを利用すると、より簡単に優良な施工業者を紹介してもらうことができます。
太陽光発電設備が直接雪に当たらない位置に設置する
夏場など積雪が起きる前と設置時に設備の位置を確認するようにしておきましょう。
太陽光パネルの積雪による故障は稀ですが、パワーコンディショナーなどの周辺機器は雪によって故障する可能性があります。
パワーコンディショナーや集電箱、配線が集中している部分は、積雪や雪が直接当たらないように細心の注意を払いましょう。設置工事前に設置場所について担当者と相談し、最適な設置場所を検討してください。雪に埋もれないように、地面から1メートルほど離して設置するのもおすすめです。
というのも、パワーコンディショナーが故障すると交換費用で数10万円以上かかるのに加えて、どれか1つでも故障すれば太陽光発電設備全体が稼働できない状態になってしまいます。
そうなれば、積雪による発電量低下よりも大きな損失となるので、周辺機器の設置場所をよく考えておく必要があるのです。
【結論】雪国で太陽光発電を稼働しても問題ない!
確かにパネル全面に雪が積もると発電できなくなるので発電量は低下してしまいます。
しかし、熱で溶けたりパネルから滑り落ちたりと、ずっとパネルの上に積雪しているわけではないので、発電量に大きな影響を与えることはないでしょう。
雪国で太陽光発電を稼働させる場合、積雪時の対応がしっかりとできる状態にしておけば問題はありません。
しかも。。
実は太陽光パネルは熱に弱く、気温が25度を上回ると発電効率が落るので、発電量低下に影響を与えてしまうリスクがあります。
そのため、夏でもある程度涼しい気温の雪国では発電ロスが少なく、発電量も一定量保たれます。
雪国だからといって発電量が大きく減ってしまう訳ではないので、安心してください。