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【太陽光発電】農地転用で固定資産税を抑える!手続きに必要な費用と期間

この記事を読んでいる方は、農地や草木が生えてしまった工作牧草地を所有していて、その土地の活用方法にお困りの方ではないでしょうか?農業をしていても安定収入が見込めないことや期待以上の利益を得られない場合、農地以外での土地活用を検討している方も多いようです。

農地以外というと、住宅用地や駐車場などの不動産、太陽光発電事業用地が挙げられますが、どのように使用していくかは関係なく、農地以外で土地を活用する場合は「農地転用」という手続きが必要になります。

しかし、中には農地転用できない土地があったり、手続きを間違えると農地以外での利用ができなくなってしまいます。

そこでこの記事では、農地転用手続きの流れや費用についての解説をしています。

た、農地転用後に不動産用地として活用するのではなく、あえて太陽光発電を設置することのメリットを記載していますので、農地転用型の太陽光発電の導入も検討してみてください。土地は持っているだけで固定資産税がかかってしまいますので、農地転用型太陽光発電で収入を確保することをおすすめします。

農地転用とは?

農地転用とは、これまで農地として使われてきた土地を農地以外として使用することです。

所有している土地が農地かどうかは、いまの状態を元に判断されますが、農地の登記謄本の地目には田んぼや畑と記載されているケースが多いです。

農地転用後には、太陽光発電事業用地や駐車場、宅地として使用することが可能です。

しかし農地は、国の保護政策によって、無許可で別の事業へ転用できないという法律が適用されています。

そのため、農地転用する場合は、農地転用手続きをする必要があります。

農地転用の手続きに関する法律

農地転用をするには所定の手続きを取らなければいけないことが法律で決まっています。

農地を他の地目に変更したいだけであれば第4条の手続きを、さらに所有者の変更をする場合は第5条の手続きをしなければなりません。4条と5条の違いについては以下の通りです。

農地法第4条では、農地の所有者が農地を農地以外で使用する場合に農業委員会に届出あるいは許可を受けなければいけないことが明記されています。

農地転用後も所有者が変わらず、地目(土地の用途)だけを変更する場合に第4条が適用されます

一方、農地を第三者に売買したり貸したりする場合には農地法第5条の手続きが必要です。

土地の売買や賃貸は、農地法第5条の手続きが完了した後です。

農地法第4条と第5条に関してはよく勘違いされている方がいるので、間違えないように注意しましょう。

農地転用ができる土地とできない土地の違い

農地転用手続きに関する法律は上記の通りですが、残念ながら土地によっては農地転用ができないケースもあります

農地法では、土地は農用地区域内農地や第一種農地など、土地の活用状況や市街地との関係性から区分され、農地転用の可否が定められています。

青地と白地による区分

農地転用を行う際には、農地のある場所が「市街化調整区域」と「市街化区域」のどちらに該当するかによって区分が変わります。

  • 市街化調整区域:農地を含む自然保護を優先され、開発などが制限される地域
  • 市街化区域:住宅地や商業施設などが無許可で建てられ、積極的に開発できる地域

上記については後ほど詳しく説明しますが、市街化区域は農地転用をする上で厳しい審査はありません。

しかし市街化調整区域は、さらに農業を盛んに行う地域(農業振興地域内)とそうではない地域(農業振興地域外)に分けられ、審査の難易度が異なります

農地転用 手続き チャート

農地が市街化調整区域に該当している場合は、農業振興地域内かそうでないかを確認し、農業振興地域内の場合は、「青地」か「白地」かどうかを特定しましょう。

農用地区域外(白地)の区分(表)
難易度立地条件
甲種農地原則不許可甲種農地や第1種農地以外の立地が難しく、農業公共投資後8年以内の農地など。複数の条件あり
第1種農地原則不許可10,000㎡以上の農地で、甲種農地や第1種農地以外の立地が難しい場合。他にも条件あり
第2種農地許可されるケースも

比較的ある

第3種農地で立地できない場合などに許可
第3種農地原則許可市街化が進んでいる地域であること
条件例

第3種農地として区分されるケース:上下水道やガス管が農地の目の前に設置されていて、なおかつ500m以内に病院や学校などが建てられていること。

青地に区分される地域の場合は農地転用できないため、農業振興地域から外してもらうための申請を行い、それから農地転用に関する複数の書類申請(建築・開発に関する許可申請)を進めます

しかしこの場合、申請に1年以上かかるだけでなく、非常に難易度の高い区域のため審査に通過する可能性はかなり低いです。

白地の場合は、甲種・第1種・第2種・第3種とさらに細かくわけられ、許可が必要な農地も原則不許可な農地もあります。

農地転用手続きは “許可” と “届出” で難しさが変わる

農地転用手続きの難易度は、届出のみか審査と許可が必要なケースによって大きく変わります。

  • 届出:書類を行政機関へ必要書類を提出・通知することで、転用手続きを進められる

対象)市街化地域、市街化調整区域内の農業振興地域外の2つ

  • 許可:農地転用の審査を通過しなければいけないため、「届出」よりも難易度が高い

対象)農業振興地域内の白地(農用地外と定められる土地)の第2種と第3種

  • 原則不可:農地転用できる可能性が限りなく低いため、審査を通過しやすくするための対策が必要(後ほど解説します)

対象)農業振興地域内の青地もしくは、白地の甲種と第1種

農地転用手続きにかかる期間と費用

農地転用手続きにかかる期間と費用は、市街化区域内と市街化調整区域内で異なります

市街化区域内の場合の手続き期間

市街化区域内の手続きは、農地転用に関する申請書類を農業委員会へ直接届出し受理してもらうという流れです。

必要書類
  • 農地転用予定の土地登記簿
  • 農地転用予定地の地図(土地計画図など)
  • 土地改良区の証明書
  • 土地改良区域除外決済金

(融資する場合は融資証明書など、追加で必要な書類もあります。)

また、行政書士への依頼する場合は、農地転用と土地改良手続きに関する費用を支払います。市街化区域の場合は5万円前後です。

農地転用の手続き完了までの期間は、農地の状況や申請の混雑状況によっても変わりますが、一般的に2ヶ月前後かかります。

市街化調整区域内の場合の手続き期間

市街化調整区域内の農地転用の手続きは、農業委員会へ許可申請や届出を行ってから、農業委員会が県知事や農林水産大臣などから回答をもらった上で、農地転用が可能であれば許可書を申請者へ送付する流れとなっています。

申請者→農業委員会→県知事・農林水産大臣と、審査や協議が発生して、市街化区域よりも手間がかかかるのが特徴です。

さらに市街化調整区域内の場合は、農地転用の許可申請(農地法第4条の許可)から行う必要があります。

手続き完了までの具体的な期間は提示されていませんが、農地転用後の土地活用について決まっているのであれば余裕をもって手続きを進めることをおすすめします。

必要書類
  • 農地転用予定の土地登記簿
  • 農地転用予定地の地図(土地計画図など)
  • 土地改良区の証明書
  • 土地改良区域除外決済金

(融資する場合は融資証明書など、追加で必要な書類もあります。)

手続きにかかる費用

基本的に許可申請のためにかかる費用はありません

しかし、必要書類を揃えるための手数料がかかります

書類ひとつにつきかかる費用(手数料)は、450円〜1万円程度です。

参考程度ですが、農地法第4条の手続きにかかる費用は約3〜5万、農地法第5条の手続きにかかる費用は約6〜8万円と言われています

また、申請の際に行政書士に手続きを依頼する場合、10〜20万円程度の費用が追加でかかります。

ここまでで農地転用に必要な手続きや費用は理解できたと思います。そこでここからは農地転用型の太陽光発電のメリット・デメリットについて解説していきます。

農地転用で太陽光発電を始める主なメリット

農地転用の許可を得るまでには、多くの手間と費用が必要がかかりますが、そもそも農地は日当たりがよいので、同じように太陽の光が必要な太陽光発電を設置して発電するにはもってこいの土地です!

実際に農地転用して太陽光発電を始める人も多く、後継ぎがいない農業者にとって有効な土地活用方法と言えます。

太陽光発電事業用地として使用する場合のメリットを詳しくご紹介するので、農地の活用方法に悩んでいる方は前向きに検討してみてくださいね。

①日照量が太陽光発電向き

太陽光発電の収入に影響を与える要素は、日当たり・日射量・日照時間です。

その点農地は、農作物の育つ日当たりの良い土地なので売電収入に影響を与える要素を兼ね備えている優良な土地だと言えます。

また、土地付き太陽光発電物件を探すよりも手間が少なく、収支計画を立てやすいといったメリットもあります

一般的に、農地周辺は障害物が少ないため、太陽光パネルの設置枚数増加や設備規模拡大も可能です。

土地を探す手間もかからず住宅や事業所の屋根に取り付けるよりも発電量がより期待できるのが農地転用ならではのメリットです。

②耕作放棄地を活用できる

日本は食料自給率が低いため、農地を減らす動きに慎重なので、農地を減らしてしまう農地転用を許可制にしているのです。

農地の減少を抑える措置だと考えると、許可制となっていることも正当な理由だと言うことができますよね。

しかし、農家の高齢化や後継者不在などの事情で、やむなく農業を縮小したり廃業したりすることがあるのも実情です。

農地の放置状態が続くと手入れができていない耕作放棄地になってしまい、雑草が生えて、残念ながら農業を再開するにはふさわしくない土地となります。

耕作放棄地になってしまうと、収入が得られないにも関わらず、固定資産税がかかります

つまり、お金は出て行くばかりになってしまうのです

しかし、農地転用をして太陽光発電を行えば耕作放棄地を有効活用できます。

太陽光発電に関してはこちらの記事で詳しく解説しています

太陽光発電メリットとデメリット!2021年以降の設置は”得”になる?

農地転用で太陽光発電を始める4つのデメリットと注意点

農地転用をして太陽光発電事業をする場合は、さらに4つの注意点を把握・対策した上で準備するようにしましょう。

①光害による近くの田畑への影響

農地転用を行う時は、光害に注意しましょう。

必要以上に光が植物や農作物にあたってしまうと、農作物の生育に影響を与える可能性があります。

一般的に農地は、他の方が管理している農地と隣接していますよね。

事前調査や確認をとらず太陽光発電設備を設置してしまうと、太陽光パネルから反射した光が作物や建物などに当たり、他の農家の作物に悪影響を及ぼしかねません

弱い光であれば作物などへの影響は限定的です。

また、太陽光パネルの多くは反射を抑えるコーティングなどを施しているので、反射光が強すぎることはありません

しかし、日光と同時に反射光も当たってしまうと、作物や周辺の温度が上がりやすく、生育環境に影響を与える可能性が生じてしまうのです。

太陽光発電設備の近くに家や施設がある場合、住宅の中まで反射光が入ってしまい、「いつもまぶしくて、ストレスになる……」といったご近所トラブルに繋がってしまいます。

人口が少なく周辺に人や建物がなければ、光害について深く考える必要はありませんが、このように住宅が隣接してる場合や、太陽光発電を設置した土地に農地が隣接している場合は慎重に検討・運用しましょう

②土地の造成工事が必要

農地転用をし、太陽光発電を始める場合は、書面による許可手続きだけでなく造成工事も必要です。

造成工事には、土地の整理・土留め工事・地盤工事・岩や木などの除去作業が含まれます。

主な工事内容は以下の通りです。

  • 土の入れ替え
  • 土留め工事
  • 架台を設置するための基礎ブロック埋め込み
  • 岩や石、ガラス片などの除去
  • 舗装

農地は、農作物が根をはりやすいように柔らかい土で作られているため、土地の整備をせずに基礎工事をしたり架台をのせたりしても安定せず、万が一台風や強風が直撃してしまうと容易に飛ばされる危険性もあります。

そのため造成工事で土をまるごと入れ替え、安定した地盤を作る必要があります。

農地が水田の場合は、特に地盤が軟弱のためよりしっかりとした造成工事が求められます。

造成工事の費用は内容によって変わりますが、高くても数100万円程度ですので、売電収入でまかなうことが可能です

田畑の造成費用例
  • 1㎡単位で計算
  • 約50㎡
  • 整地費用:約17万円
  • かさ上げ工事など(土の高さを調整する場合):約320万円

造成工事の工期は、一般的に半年~1年程度かかります

農地転用は、申請手続きの手間や太陽光発電設備の費用だけでなく、造成工事費用もかかることを覚えておきましょう。

③工事費用が通常の太陽光発電に比べて高額

造成工事で柔らかい土を入れ替えて、太陽光発電設備を設置できるような土地が完成しても、通常と同じタイプの太陽光発電設備を設置できないケースもあります

このような場合は、架台の高さや設備規模を一定に保ちつつ、各部材の材質を変えて重量や耐久性を調整しなければなりません。

耐久性を変えずに軽量化した場合は、特注になるので通常の設備費用にプラスして費用がかかります。

太陽光発電を始めるために農地転用する場合は、一般的な設置方法よりも初期費用がかさむことを頭の片隅にいれておきましょう。

④農地法を知らずに違反する可能性

農地転用する際は、必ず所定の手続きを進めて国から許可を得る必要があります。

しかし、手間と費用(行政書士に依頼した場合は15万円前後)がかかるため、面倒と感じる方もいるかと思います。

だからといって農地転用の許可を得ず、勝手に造成工事と太陽光発電設置を行ってしまうと罰則を受けることになります。

無許可の設置および農業委員会の命令に従わない場合、行政代執行による施設解体・3年以下の懲役もしくは罰金300万円以下です。

農地転用する際は必ず認可手続きを行いましょう。

農地転用許可をもらいやすくするためには

農地転用は、土地活用という点でもメリットがありますが、許可されない可能性もゼロではありません。

そこで、農地転用の許可を受けやすくするためには、どのような準備や対策が必要なのかをご紹介します。

①行政書士に依頼する

農地転用手続きは一般の方には難しいため、書類不備や適切に農地転用の趣旨を伝えられず不承認されてしまうことも珍しくありません。

全部任せたい、面倒だという方は行政書士に依頼するのがおすすめです。費用はかかりますが、行政書士に依頼すれば契約書類や公的機関に提出する書類の作成から提出まで代行してくれます。

具体的には、届出と許可申請を行ってもらえます。

農地転用手続きは、上記の他に測量や開発許可・地目変更も必要となるので、行政書士が司法書士など別の専門業者へさらに依頼・管理し手続きを進めます。

不備なく迅速に完了できるため、追加費用がかかっても行政書士に依頼したいという方は多いです。

②ソーラーシェアリングとして活用する

ソーラーシェアリングとは、営農型太陽光発電とも呼ばれ、農地で太陽光発電を設置・運用しながら農業も続けられる仕組みです。

メリットは農業を一切しない農地転用とは違い、農業も継続できるので、農林水産省からの許可が得られやすいことでしょう。

農地転用は不要ですが、代わりに一時転用許可が必要になり、許可を得やすくするためには、本業(農業)に支障がないかどうかアピールすることがポイントです。

先ほど説明した白地の甲種や第1種、市街化調整区域の青地で転用許可が難しい農地を所有している方は、ソーラーシェアリングを一度検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

後継がいない農地を譲り受けていたり、農地の一部が耕作放棄地となっているような場合は、農地転用をして土地を有効活用することをおすすめしています。

基本的に農地は田舎や広大な場所にあるケースが多く、農作物を育てるための日射量が十分に確保できる土地です。

使い道がない農地や耕作放棄地となってしまえば、固定資産税がかかるだけで、とてももったいないです。

このような農地を所有している方は、太陽光発電の設置を検討してみませんか?

太陽光発電は、2012年頃にメジャーとなりましたが今ではブームが去ったと言われていたり、発電した電気を電力会社に売る売電価格が低下していることから、

「時代遅れだ」「儲からない」

と思っている方も多いです。

しかし、設置した後は放っておけば太陽が有る限りは電気を生み出し、売電すればお金が入ります。

農地の活用方法に悩んでいる方は、ぜひ農地転用後に太陽光発電事業を始めることを考えてみてくださいね。

(参考:再生可能エネルギー発電設備を設置するための農地転用許可:農林水産省