太陽光発電は沖縄のような暑い夏が有利?北海道の寒い冬には発電量が激減するのか

太陽光発電の性能などについては、常識的な考えが当てはまる部分と、当てはまらない部分があります。

また、日照時間についても想像と違うデータに驚かされることがあります。

代表的な例でいうと、沖縄は太陽が燦々と降り注いでいて、太陽光発電にはもってこいの場所ではないかと思われがちです。また、北海道のような寒い地域は太陽光発電には不向きと考えている方もいるでしょう。

しかし、その想像は合っているのでしょうか?

そこで、沖縄の日照時間と北海道の気温差による発電量の関係性や、ソーラーパネルの意外な弱点について探ってみました。

沖縄の日照時間は短い?

沖縄は年間を通じて本州などよりも日照時間が長いように思われていますが、意外や意外、冬場から初夏にかけての日照時間は全国平均を大きく下回っています。

特に1月から4月の半ばにかけては、全国平均よりも平均数時間も日照時間が短い状況です。その理由として、冬から春先にかけては、晴れの日が少ないという点が挙げられます。

しかし、沖縄の日照時間は5月から10月にかけて全国平均を大きく上回ります。

全国平均の日照時間は、4月と8月を頂点とするM字形の折れ線グラフを描くのに対して、沖縄では7月を頂点にした山の形で折れ線グラフが推移します。特に7月は全国平均の1.3倍もの日照時間があります。

沖縄での年間の日照時間は全国平均を下回るものの、6月から10月にかけての夏の間は全国平均の日照時間を大きく上回るため、合計した沖縄の発電量は全国平均よりも高い状況です。ただし、夏場は台風などが到来するため、設置場所には充分注意する必要があります。

太陽光発電に使用するソーラーパネルの性質について、気温差で発電量が変わるのか?

一般的な想像では、日照時間とソーラーパネルがどれだけ光を吸収するかで、太陽光発電の効率が変わると考えるでしょう。しかし、実際は急激な気温上昇による発電効率の影響もあるのです。

つまり、太陽光発電に使用するソーラーパネルの表面温度が上がると、熱損失が生じて発電量を大きく低下させてしまいます。

沖縄県は最高気温が全国平均よりも高い?発電効率が下がる?
沖縄で太陽光発電を設置すると、最高気温が日本で最も高いイメージがあるので、ソーラーパネルの発電効率を低下させてしまうと感じるでしょう。

ここでも想像と違う結果があり、夏場の沖縄での発電量は全国平均を大きく上回っています。なぜなら、真夏に極端な気温上昇が起こりにくいからです。

沖縄の最高気温が、本州や北海道、九州や四国よりも低いなんて嘘のような話しですが、海に囲まれているため、真夏の異常な気温上昇はなく、熱による損失が生じにくい環境です。また、年間を通じて温暖な気候であるため、太陽光発電にはとても向いている地域といえます。

実際、沖縄で35℃を超える真夏日はほとんどありません。「真夏には沖縄へ避暑に!」という旅行会社のキャッチフレーズがありますが、事実沖縄の方が涼しいという事実があります。

ただし、沖縄の場合は強烈な台風が到来するため、豪雨・強風に耐える太陽光発電の設置が必要になります。

また、強風だけでなく海から吹き付けてくる潮風の被害対策も必要になります。太陽光発電を設置する際には、塩害耐性の認証を取得しているメーカーを選択することや、塩害を防止するために錆びにくいステンレス鋼などで骨組みを作るといった工夫が必要です。

さらに塩害は発電効率を低下させるだけでなく、太陽光発電設備そのものを故障させてしまう可能性や火事のリスクがあるので、台風後のテスト稼働には注意しましょう。

北海道などの寒冷地は気温よりも雪に気を付ける

さきほどは、高温になると電気変換のロスが増して熱損失が生じ、発電量が低下することに触れましたが、それでは気温が下がった場合はどうなのでしょうか。

ソーラーパネルの性質にもよりますが、ほとんどの場合、寒い気温での発電効率にはさほど影響がないことがわかっており、猛暑が続く関東や関西に比べて北海道の方が太陽光発電には向いているという事になります。

また、そのような理由を考慮すると、効率よく発電するためには気温の低い北海道のような気候が適しています。実際、北海道で夏と冬の発電量を比較した場合、冬の季節の発電量の方が夏場よりも高くなっています。

ちなみに、札幌の1年間の平均発電量が6000kwHであるのに対して、東京では5600kwH、仙台では5800kwH、大阪でも5800kwH、福岡では5600kwHというデータがあります。

ただし、北海道などの寒冷地では、毎年大雪となっているのでソーラーパネルに雪が被ると発電効率が0に近くなってしまいます。ですから、雪を積もらせたままにしてしまうと、年間の発電量が日照量の短い地域よりも低下することがあるのです。

従って北海道の場合は、気温よりも雪による光の吸収を妨げる現象を避けましょう。

ソーラーパネルが熱に弱い理由

ソーラーパネルは表面をガラスでカバーしていますが、太陽電池の部分はシリコン(半導体)でできています。シリコンの場合は高温になると半導体の性能が著しく低下するという性質を持っています。そのため、ソーラーパネルの表面温度が日照などで60度や70度と高温になるにつれて、発電効率が著しく低下します。

また、ソーラーパネルは日本の平均気温である25℃を基準にして設計されており、25℃から1℃気温が上昇するごとに、約0.4〜0.5%の発電効率が低下するといわれています。

ですから、この計算で平均気温よりも10℃気温が上昇した35度の場合、発電効率は4%から5%低下することになります。近年の日本では、本州でも最高気温が35度に達する地域が増えているので、ソーラーパネルにとってダメージです。

暑さに強いソーラーパネルはないの?

ソーラーパネルの研究開発は日進月歩で進化しており、高温に強いタイプのソーラーパネルも登場しています。

現在注目されているソーラーパネルは、HIT(ヘテロ接合型ソーラーパネル)があります。このパネルは、アモルファスシリコンという物質を従来のシリコン素材に結合させたパネルで、真夏の高温時でも安定して発電するという特質を持っています。

ちなみにですが、夏場のソーラーパネルは気温の30~40度プラスした表面温度になります。例えば、気温が35度の場合ソーラーパネルの表面温度は、約65度付近まで上昇します。シリコンタイプのソーラーパネルでは、発電効率を維持できませんが、HITであれば耐える事ができます。

HIT(ヘテロ接合型ソーラーパネル)は、三洋電機が開発したものですが、現在はその事業をパナソニックが引き継いで製造しています。

年間発電量は北国の方が有利な場合もある

発電量に関して一般的なイメージでいえば、日射量が多く温暖な沖縄や九州地方などの「南国」が有利で、雪が多く寒冷な北海道や東北地方など「北国」が不利であるかのように思われるかもしれません。

しかしながら、太陽光発電システムの発電量においてはそういった単純な図式は成り立ちません。確かに日射量は大事ですが、単純に日射量が多ければ多いほど良いというものではありません。その理由は次のとおりです。

南国では日射量の多さで発電量が増えるイメージですが、実際はソーラーパネルの表面温度が仕様基準よりも高温になり、変換効率が落ちるので減衰ロスが生じます。

一方、北国では日射量は多くありませんが、ソーラーパネルの仕様基準より表面温度が上がりにくい気候なので、減衰ロスが少なく高効率を発揮する場合もあります。

ですので、日照時間が少ないと思われがちな北海道などは梅雨がないため、年間の日照時間は東京とほぼ変わりはありませんし、仕様基準を超える気温にはなりにくいです。
そういったことから、南国と北国の間では年間の発電量において大きな差はないといえます。

つまり、太陽光発電の設置を検討する際は、単純な日射量で判断するのではなく、正確な日照時間のデータや年間の気温変化、更には台風や雪などの自然災害も織り込む必要があります。

全国発電量の目安

参考 発電量はどれくらい?panasonic

太平洋側に比べ日本海側の地域は冬の日射量が少なく、大雪の傾向があるため年間発電量は少ない傾向にあります。それでも、どこか特定の地域のみが特別条件が悪いというわけではありません。

データによれば各地域で差があるのは確かですが、基本的には日本中どこでも十分な年間発電量が確保できるのは確かのようです。ですから、今住んでいる地域を気にして太陽光発電設備の設置を考えるよりも、設置後の運用方法を検討する方が建設的です。